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間取りと暮らし方

特集:多治見市モザイクタイルミュージアム

タイルと歩んだ町

岐阜県南部に位置する笠原(現多治見市笠原町)は、モザイクタイルとともに歴史を刻んだ町です。
現在もタイル生産量日本一を誇る同町に、懐かしくて新しい、モザイクタイルの魅力を訪ねました。

タイルの魅力を再発見するミュージアム

岐阜県にある多治見市モザイクタイルミュージアムは、多治見市と笠原町の合併10周年を記念して2016年に開設された博物館です。DIYブームも手伝い、オープンから1年を待たずに10万人以上が来館する注目の施設になりました。東海地方を中心に、日本各地から老若男女のタイルファンが訪れています。

最上階の4階に展示されているのは、青空を背景にきらきらと輝きを放つ無数のかけら。近寄って見ると、ワイヤーに貼り付けられたモザイクタイルが太陽の光を受けて輝いていることがわかります。通常は床や壁などに面状に貼られるモザイクタイル。あえて空中に浮かせることで、色や形や質感などのキャラクターを際立たせたアート「タイル・カーテン」が誕生しました。

このアートの施工には笠原町民も参加し、一つひとつ手で貼り付けたのだそうです。この町の人々の、モザイクタイルに対する想いが伝わってくるようです。

他に展示されているのは、戦前に使われてきたタイル貼りのかまど、高度成長期に集合住宅をカラフルに彩ったタイル製浴槽や流し台、銭湯や個人宅のお風呂を飾ってきたタイル絵など多岐にわたります。

40代以上の人には懐かしく、もっと若い世代には新鮮に映る「作品」たち。耐水性や耐候性に優れたタイルは、外光や外気の当たる場所に展示されることで本領発揮し、日差しの強い日にも雨や雪の日にも生き生きとした表情を見せています。

大浴場などの壁を飾っていたモザイクアートやタイル絵

世界中で愛された笠原町のモザイクタイル

明治時代、日本におけるタイルは装飾的要素の強い高価な素材でした。マジョリカタイル、テラコッタやスクラッチタイルといった高級なタイルが、上流階級の住まいや公共建築の飾りとして用いられていました。

モザイクタイル(表面積が50cm2以下のタイル)が登場するのは明治末期です。大正時代になると、西洋の生活スタイルを手本とした「衛生思想」の普及から、一般家庭の水回りに清潔さが求められるようになりました。そして、水や汚れに強いモザイクタイルが風呂の床材などの建築材料として重宝されました。

昭和10年頃、後に「笠原のモザイクタイルの先駆者」と呼ばれる山内逸三氏(1908~1992)が施釉磁器モザイクタイルの量産に成功します。これを機に、もともと茶碗製造を地場産業としていた笠原町はタイル産業の町へと変貌し、同時にモザイクタイルは床用建材という存在から一般家庭の水回りの装飾を担う存在になっていきました。

タイルの一大産地となった笠原町では、昭和20年代にはインドやアメリカ、東南アジアへ、そして世界各国への輸出が拡大。30年代には人手不足から集団就職を募るほどの盛況ぶりでした。人々の生活が豊かになった高度成長期には、モザイクタイルの流し台や浴槽が次々と取り入れられ、昭和の生活を彩ってきました。

しかし、オイルショックやバブル崩壊などの時代を経て、モザイクタイルの人気は下火に。新たな需要の減少に加え、安価な輸入品の増加も笠原のタイル産業に苦境をもたらしました。

そうした中、笠原町の有志たちはタイルの収集を始めました。高度成長期の建物が老朽化を迎えて次々と取り壊されるのに伴い、そこに用いられたタイルもゴミとして処分されていく。そこで、タイルの文化を守るため、貴重なタイルを後世に残すために、日本各地のメーカーや商社の工場や倉庫の片すみに残ったものを集め、解体現場でもタイルを回収してまわりました。現在、ミュージアムに展示されているのは、20年をかけてコツコツと集めたコレクションの一部。有志の想いが託された「作品」なのです。

高度成長期に個人宅や団地などで使われたタイル浴槽。当時の高級品で、憧れの対象だったそう

一つひとつが人の手作業を経て

ここでモザイクタイルの製造工程を簡単にご紹介しましょう。日本各地から調達した原料の土や石を細かく砕き、泥しょうにした後スプレードライヤーで坏土を作り、高圧プレス機で固めて成型した後、釉薬をかけて焼成します。

モザイクタイルは小ぶりなサイズですから、施工効率を上げるための紙貼り工程も欠かせません。紙貼りとは、規定サイズのシート状にモザイクタイルをあらかじめ貼り付ける工程。「貼り板」と呼ばれる道具にタイルを並べ、紙貼り用の紙を貼ったら、板からはずし乾燥させ出荷します。この作業は昔から人が手作業で行っています。

貼り板に並べられたデッドストックのモザイクタイル

また、モザイクタイルのデザインは、各メーカーの職人らが自ら考案してきました。ミュージアムに展示されている貼り板の豊富なバリエーション、レイアウトされたタイルの色柄の組み合わせ、鮮やかさや美しさ。専門のデザイナーではなく、名もなき職人の手によるものだという事実に改めて驚かされます。

今も昔も、人の手で丁寧に作られているモザイクタイル。ミュージアム2階に展示されているメーカーの最新製品からも、それを作った人の手の温かみが伝わってくるようです。

耐水性の高いタイルは、戦前、かまどにも用いられた

タイルの美しさや温度を建物でも表現

多治見市モザイクタイルミュージアムは、展示の面白さもさることながら、建物自体のユニークさでも各方面から注目されています。JR多治見駅から15分ほど車を走らせると見えてくる、巨大な土のかたまり。一見すると、博物館のようには思えない不思議な建物が市街地に突然現れます。

ミュージアムの外観。タイルの原料を採掘する、多治見の山がモチーフになっている

この建築を手掛けたのは、独創的な作風で世界的に評価されている建築家・藤森照信さんです。「タイルを美しく見せてほしい」という市側のシンプルなオーダーに対して、藤森さんが出した答えは、山をイメージした建物でした。タイルの原料を構成する重要な素材「粘土」を与えてくれる多治見の山。それを模した建築こそが、タイルの魅力を伝えるのにふさわしいと考えたのです。2011年頃から構想を練り始め、5年の歳月をかけて2016年6月にようやく完成しました。

車を停め、緑の芝生の間をくねくねと渡る小路を歩いて、ややくぼんだ位置にある入り口へと下りていきます。近づくと、外壁の模様のように見えた部分は大小さまざまなモザイクタイルや、かつてこの地方の名産品だった茶碗のかけらをあしらったものということが見て取れます。

入館し、1階から4階へと上っていく大階段は、まるで登り窯の内部を思わせる巨大な土のトンネルのよう。壁に塗られた漆喰(しっくい)には藁(わら)が練り込まれ、温かみのある素朴な質感を表現しています。ほの暗い階段の先に見える自然光は神々しさを帯び、笠原町とモザイクタイルの明るい未来を象徴しているようにも感じられます。

新しくお住まいを建てる方はもちろん、リフォームを検討している方、ご自身の手でちょっと部屋の模様替えをとお考えの方も、モザイクタイルの懐かしくて新しい魅力を取り入れてみませんか。多治見市モザイクタイルミュージアムをのぞいてみれば、タイルの世界にきっと魅入られることでしょう。

登り窯内部を彷彿させる大階段。荘厳な光に包まれる

左:さまざまな色・形のモザイクタイルが外観を彩る
右:ミュージアムの入り口は小ぢんまりと可愛らしく

階段の踊り場に据えられた陶芸作品。自然光によってその存在が強調される

多治見市モザイクタイルミュージアムご見学情報

開館時間/9:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)
観覧料/[個人]常設300円、年間パスポート1,000円 ※高校生以下は無料
休館日/月曜日(休日の場合は翌平日)、年末年始

http://www.mosaictile-museum.jp/guidance/

取材協力/多治見市モザイクタイルミュージアム
住所/岐阜県多治見市笠原町2082番地の5
TEL/0572-43-5101
http://www.mosaictile-museum.jp/

2017年8月現在の情報となります。

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