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専門家に「心地よいトイレ空間のつくり方」を伺いました。

間取りと暮らし方

トイレ空間設計のパイオニアに聞く、心地よいトイレ空間のつくり方

新しい家をつくる、新しい家にリフォームする。その時、どれくらいトイレが重要視されているのでしょうか。家族みんなが毎日使う場所だからこそ、もっとじっくり考えてほしい。そこで、トイレの在り方や、家を建てる時に考えるべき間取りのポイントなど。これまで200以上の商業施設や公共トイレの設計を手掛けてきた、建築家の小林純子さんに、「心地よいトイレ空間のつくり方」を伺いました。

部屋のひとつとして考えられるようになったトイレ

小林さんが、トイレの設計に携わるようになったのはいつ頃なのでしょうか?

小林さん「約30年前、バブルが全盛だった時代です。当時、トイレの『汚い・暗い・怖い・臭い』、いわゆる4Kといわれた場所を見直して、話題性を持たせて差別化しようという動きがありました。そのひとつに、1986年に開通した瀬戸大橋の公共トイレを『東洋一のトイレ』にしようと、初めて依頼されて設計しました。その数年後、いわゆる『バブル崩壊』が起こるのですが、公共トイレを設計するお仕事は不思議となくなりませんでした」

世の中の景気が後退する中、トイレの設計のニーズが無くならなかったのはなぜですか?

小林さん「トイレは人間にとって基本的な場所です。しかし、先ほどの4Kという意識もあり、ずっと放っておかれていたのですね。昔はご不浄といって、忌み嫌う場所として考えられていました。それが、初めて脚光を浴びて、清潔性を維持できるようになり、世の中の価値観が変化したのだと思います。手放せなくなってきたというのが、ずっとトイレ設計に携わってきた実感です。以前のトイレは排泄の場所でした。機械的に、時間をかけずに、長居をしない場所。それが、トイレは建築の中で、部屋のひとつとして考えられるようになったのですね。部屋とのつながりを感じてホッとしたり、逆に他の部屋と切り離して、心を落ち着けたり。キレイな場所になれば、居心地も良くなるわけで、そういう変化が少しずつ起こったのではと思います」

ゲートモールタワー高島屋名古屋:設計/設計事務所ゴンドラ
海ほたるPA男子トイレ

「もちろんメーカーの方々の努力もあります。1986年には、外国から輸入した様々な便器や洗面台を、約800点展示したショールームがとても大きな反響を呼びました。また、「温水洗浄便座トイレ」のテレビCMも話題になりましたね。技術の進歩とともに、トイレを身近に考えるきっかけをつくってくれました」

技術革新とともに、イメージ革新が行われたのですね。

小林さん 「その通りです。機器の技術とイメージが相まって、今のトイレの文化を作ってきたのだと思います。トイレの清潔性が技術によって高まると同時に、公共のトイレも清潔性が向上した時代です。商業施設でもお客さんに来場してもらうために、清潔で利便性の高いトイレ空間をつくるのが当たり前になっていきました。以前は特定のトイレを設計する仕事が中心でしたが、今は、例えばその自治体でも全体のトイレ環境を変えていこうとしています。この30年間でトイレの歴史を考えますと、その変化はとても大きいものでした」

トイレの間取りを考えるときに大切な、“のりしろ”

住まいのトイレに目を向けると、気を付けなくてはならないことは何でしょうか?

小林さん 「昔は脱衣所にトイレがある家が多かったですね。家を建てる上で、お風呂とトイレと脱衣所を集めると配管が短くすむので、コストを抑えられるメリットが大きかった。だけど、誰かが入っている時は、他の家族が使いづらかったりして、トイレは別に配置することが多くなりました。とはいえ、リビングから見える位置だと、やっぱり気になる。玄関のすぐ横にあるのも、来客時に気を使ってしまいますね。どこがいいのかは、それは家族の暮らし方や関係性にかかわってくるので、本当にそれぞれにあったものを見つけることが大事です」

トイレを作る上での間取りのポイントを教えてください。

小林さん 「自分も家族も、十数年後の生活を予測するのは難しいですね。なので、少し大きめに間取りをとっておくと良いのではないでしょうか。手すりが必要になることや、一人で入れなくなる可能性だってあります。トイレだけではないのですが、住まいは今だけではなく、将来の人間関係の変化に備える『のりしろ』という可変の幅を持たせることが大切なのだと思います」

「掃除のしやすさを考えても、広さが関わってきますね。マンションだと幅は80cm、その中で便器が40 cmくらい。両脇はわずか20 cmほどのスペースしかなく、奥に手が届かなくなる。掃除のことを考えて、寸法を考える。それが基本です。また、トイレの一番汚れやすいのは、床と腰から下の壁部分。ですので、清掃のしやすい素材の床やクロスを選ぶことがポイントです」

プライベートな空間であり、誰かとシェアする空間

トイレでもっと快適に過ごすにはどうしたらよいでしょうか?

小林さん

「これまではトイレは機能性だけが重視されてきました。それと、家づくりで予算配分を考えた時、しわ寄せにあうのがトイレ。必要最小限の広さで、ビニールクロスの壁と照明がひとつ。そういうトイレが一般的になっていました。清潔であることはとても大切ですが、もっと情緒性にも気を配ってみてはいかがでしょう。ちょっとした本棚だったり、好きな物を飾ったり。それと、照明はすごく大事。全体は間接照明で、それから、戸建てでしたら、窓を付けることをお勧めします。自然光ほど、人を自然体にしてくれるものはありません。外から見えないように工夫しながら、外とのつながりを工夫すると、心地よさが変わります。それに、明るいと清潔なトイレをキープできます」

最後に、小林さんの考えるトイレとはどのようなものでしょうか?

小林さん 「トイレはプライベートな空間でありながら、誰かとシェアする空間なのです。シェアするプライベート空間とも言えるかもしれませんね。公共の施設であっても、家族同士であってもそれは同じです。なので、シェアすることを意識しながら、次に使う人、家族のプライベート感を守ることが大切です。1日の時間で考えると、過ごすのはせいぜい15分くらい。だからこそ、別の雰囲気を持たせることで、トイレに入るとちょっと気分のスイッチを変えることができる、そんな場所であってほしいと思います」

「私が公共のトイレを設計する時は、使う人の年代や人数、利用される時間帯などを、設計する前に徹底的に調査します。それは今も、昔も同じです。そうしないと、その場所にあって、誰もが気持ちよく使えるトイレにならないのですね。住まいのトイレでも、家族にとってトイレがどんな場所なのか。シェアする場所として、リビングやキッチンと同じように、それぞれが落ち着くあり方を、みんなでぜひ話して頂けたらと思います」

トイレで自分だけの時間を

時代の移り変わりとともに、住まいのあり方も変わってきました。アイランド型のキッチンや、家族の気配をどこにいても感じるリビング、それらは家族のコミュニケーションを育む上でとても大切です。でも、小林さんのお話にあったように、たとえ家の中であっても、一人になって考えたり、素に戻れる時間というのもまたすごく大切ではないでしょうか。トイレはそれができる場所。あなたにとっての、あなたの家族にとっての、ホッと一息つけるようなトイレ空間づくりを、家を建てる際に考えてみてはどうでしょうか。

小林純子さん
設計事務所ゴンドラ代表。
東京タワーや東京駅など200以上の公共施設のトイレの設計を手掛ける建築家。
今までにおこなったトイレの設計は東京タワー、東京駅、松坂屋、京王百貨店など、数多くの実績を持つ。
日本トイレ協会 副会長。

※掲載の情報は2019年3月現在のものです。

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