家族構成で考える
暮らし上手提案
平屋・2階
交通事故による頚椎損傷で車椅子生活を余儀なくされたKさまが、ご自宅を新築されたのは10年前のこと。ご家族団らんの場となるLDKは２階に設け、1階にKさまの寝室や洗面・トイレ・浴室を配置。介助が受けやすく、可能な限り自立した暮らしができるよう、生活動線や設備を工夫されました。現在は２人のお子さまに恵まれ、楽しい毎日をお過ごしのKさま。「車椅子で家中を自由に動き回れますし、ガレージ直結の玄関やエレベーターのおかげで１人でも外出できるので、アクティブに暮らせます」と笑顔が弾けました。
高い窓からも光が差し込む吹き抜けの明るいリビング
ダイニングともひと続きに
入浴介助のヘルパーさんと動線が重ならないよう、LDKは2階に配置して家族のプライバシーを確保。吹き抜けのハイサイドウインドウからもリビングに光が差し込み、開放感もひとしおです。リビングとダイニングはライトスルースクリーンで間仕切り。開けると扉が隠れてLDKがひとつながりに。
ダイニングの隣に
趣味の絵画に
集中できるアトリエを
趣味で絵画をされるKさまは、ダイニングの隣に約10畳大のアトリエを設け、白い大理石調フロアに墨色クロスの天井でコントラストを効かせてお洒落な雰囲気に演出。壁の棚に作品やお子さまの写真を飾って楽しまれています。
車椅子で自由に出て外の景色が楽しめるワイドなバルコニー
4枚引き違い戸のフラットスルーウインドウでダイニングと段差なくつながるバルコニー。「小さな力で開閉できるアシスト把手をつけてもらったので、自力で出入りできます」とKさま。手すり壁のスクリーンの一部を透明にして、車椅子の高さでも景観が楽しめるように配慮しています。
洗面・トイレ・浴室と直接つながる寝室
天井走行リフトレールも設置
1階のKさまの寝室は洗面室・トイレ・浴室へも直接つながる動線で、将来、介助が困難になったときのために天井走行リフトのレールも設置しています。ガレージからも車椅子のままエレベーターの庫内を通り抜けてスムーズに出入りできるので、外出の際も便利です。
車椅子対応の洗面化粧台
トイレは移乗しやすく坐位が保ちやすい形状に
洗面室はトイレ・浴室へと続く通路も兼ねて広々と確保。洗面化粧台は車椅子に座った状態で使用できるよう、カウンターの下がフリースペースになったタイプを採用しました。トイレは車椅子から移乗しやすい高さで、クッションの材質や形状にこだわり、長時間坐位が保てて、疲れにくい環境を実現しています。
ガレージ直通の玄関から車椅子のまま自走してエレベーターホールへ
ガレージ内で車を乗り降りし、車椅子で自走してエレベーターホールへ。ドアに近づくだけで施解錠できるノータッチキーを設置し、片引きドアは手が不自由でも操作できる軽量タイプを採用。ガレージとの床段差も解消しています。「１人でも自由に外出できるのがうれしいですね」とKさま。
外観
リビングダイニング
アトリエ
バルコニー
寝室
洗面化粧台/トイレ
ガレージ/エレベーターホール
外観
リハビリ施設を退去後、家族と住む介護住宅を建てる必要があり、妻が横浜市在住の義姉とみなとみらい住宅展示場に行って、いろいろなハウスメーカーに相談してくれました。その中で、何もわからず戸惑っていた妻の話を親身に聞き、車椅子で私が不自由なく暮らせる家づくりに意欲を持ってくださったのが営業担当の大塚さんでした。設計担当の鈴木さんが描いてくれたプランも私たち好みのデザインで気に入りました。
この家に住んで10年経ちました。振り返ると、私の怪我で家族の人生設計ががらりと変わり、不安だらけの中で始まった家づくりでしたが、営業担当の大塚さんと設計担当の鈴木さんが横浜から大分県のリハビリ施設まで来てくださるなど、熱心に取り組んでもらえた日々を思い出します。ガレージからのスムーズな動線やトイレのクッションの形状など、私の動作を確認し、身体の状態に合わせて工夫してもらえたおかげで、現在も車椅子で家中を自由に動き回り、自力で外出もできて快適に暮らしています。
Kさまは大分県のリハビリ施設、妻のKさまは広島市に在住で、建設地は福山市、私たちスタッフは横浜支社と、拠点が４カ所に分かれたなかで家づくりがスタートしました。妻のKさまが横浜に来られた際に打合せを行うと共に、メールで頻繁にやりとりし、一方で大分県のリハビリ施設に出向いてKさまのご意向や理学療法士の方の話を伺い、介護住宅のプランや設備について勉強しながら進めました。２人のお子さまにも恵まれ、ご家族で楽しく快適に暮らしていらっしゃるのは、我が事のようにうれしく思います。
偶然にも私の大学の卒業研究のテーマが「頸髄損傷者の温熱環境」だったことから、頸髄損傷者のボランティアをしていた経験もあり、Kさまの家づくりに熱意を持って取り組みました。ガレージから車椅子で直接寝室に出入りできる動線や、段差をなくしたフラットスルーウインドウ、ホームエレベーターの活用で、バルコニーも含めてKさまの車椅子での行動範囲を大きく広げたのが設計のポイントです。ご家族が増えた現在、ホームエレベーターは買い物の荷物運びなど日常にも役立っていると喜ばれています。
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