大和ハウス工業株式会社

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TWO-WAY 総技研とあなたをつなぐ2WAYコミュニケーション・ペーパー01

研究ピックアップ

研究ピックアップ 1

エネルギー吸収型耐力壁「D-NΣQST(ディーネクスト)」の開発

西村健/工業化建築技術センター

西村 健の写真

「繰り返し地震」に耐える新構造を開発

一般的な住宅と比べ、30㎝以上高い2m72㎝の天井高を誇る「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」。天井を高くしながらも、柱や壁の少ない大空間・大開口を実現したのが、独自のエネルギー吸収型耐力壁「D-NΣQST(ディーネクスト)」だ。

その開発の中心メンバーとして活躍したのが、当時入社2年目の西村だった。従来の構造形式を全く新しいものに…。しかしそんな開発の最中に起こったのが、2011年の東日本大震災だ。

「大空間・大開口に耐えうる構造に加え、長時間の地震や繰り返される余震への強さを開発テーマとしていたxevoΣですが、東日本大震災でさらにその重要度が増しました」。

そうして西村たちは、必要な構造性能をクリアし、商品開発の設計部隊に持ち込んだ。しかしながら、結果は大幅な変更を求められることになる。繰り返し地震に強い構造であっても、デザイン上の制約が増え、大幅なコストアップはマーケットに受け入れてもらえない、という理由だった。

発売開始に向け工業化申請の期日が迫る中、西村はいくつもの仮説を立てていった。「K形のブレースも検討しましたが、接合部が増えて生産や施工の手間がかかる…。そこで生まれた発想が、柱間を片筋交いで通し、端部にデバイスを設けるという形状です。そこからさらにデバイスだけでも縦形や横形など数十パターン試し、最も効果的に地震エネルギーを吸収する現在のΣ形に行き着いたのです」。

リリース前には、建物1棟を使った実大震動台実験が行われ、震度7相当の地震波を繰り返し加えても、新築時の耐震性能が維持されると証明された。プレッシャーで眠れない日が続いたという西村だったが、実験が無事終わった時は、言い知れぬ達成感があったという。

世の中が困っていることは何か、という観点で事業展開する大和ハウス工業に共感し、入社したという西村。テクノラボの門型試験機の前で。

「自分の研究成果が、年間何千棟もの住宅に標準搭載され、たくさんの方の生活を支える。これ以上のやりがいはありません」。難題に挑み、大きな開発を成し遂げたその表情には、充実感があふれていた。

「D-NΣQST」の仕組み 揺れを受けると「Σ形デバイス」が上へ下へとしなやかに動く応力を「Σ形デバイス」に集中させることで柱や梁の損傷を防ぐ

xevoΣ耐力壁の実大震動台実験成功を記念し、歓喜に沸く社員らによる集合写真。 ※国立研究開発法人防災科学技術研究所の実大三次元震動破壊実験施設「E-ディフェンス」にて、2013年9月、xevoΣの大規模な加震実験を実施しました。

西村健(にしむらけん) 工業化建築技術センター

工学研究科出身/2009年入社/xevo03耐力壁、xevoΣ耐力壁の開発、skye接合部の改善・改良など構造系開発に従事。住宅構造のさらなる合理化に取り組む。

研究ピックアップ 2

大気浄化壁面緑化システムの開発

天保 美咲/フロンティア技術研究室

天保 美咲の写真

緑あふれるまちづくりに貢献

学生時代、いつか農業従事者になりたいと農学の道を選んだ。そして植物の生育を助ける共生菌の研究に没頭した。就職先に選んだのは、大和ハウス工業の研究員だった。周りからは「ハウスメーカーに、なぜ?」と驚かれたが、「ちょうど植物工場を始めると耳にして。研究も栽培もできるのでは…?」と迷わず決めた。

そんな天保が入社2年目で携わったのが、壁面緑化で空気をきれいにするシステムの開発。植栽基盤に“土壌”を用い、その土壌基盤に通気させることで、大気汚染を浄化できる画期的なものだ。

「機械的に浄化する方法とは異なり、意匠性が高いのもポイントです。立体駐車場やオフィスビルの無機質な印象も和らげてくれます」。

このシステムは3年の研究・試験期間を経て2015年にリリースされ、植物や土壌の微生物で二酸化窒素やPM2.5を浄化する方法として注目された。今はさらに汎用性に優れた薄くて軽い壁面緑化工法の開発に奔走中。「まちにもっと緑を増やせる研究をしたい」と意気込む。

入社して最初に植栽設計を担当した大和ハウス工業神戸支店(現:神戸支社)の壁面緑化。

総技研の敷地内には、天保らのチームが手掛けた壁面緑化が随所に。

天保 美咲(てんぽ みさき) フロンティア技術研究室

生命環境科学研究科出身/2011年入社/緑化による環境改善効果などの研究開発に携わる。産休・育休を経て、現在は時短勤務制度を活用し仕事と育児の両立に奮闘中。

研究ピックアップ 3

東南アジア向け省施工技術の開発

中川 学/工業化建築技術センター

中川 学の写真

海外向けの省施工技術を構築

多くの日系企業が進出するインドネシアでは、工業団地の開発が加速中。物流倉庫等の建設ニーズが高まる一方、在来工法による施工期間の長さや、品質上の課題も浮き彫りとなっていた。そんな中、床省力化工法の開発を任されたのが中川だった。

用いた手法は、現場内でコンクリート構造部材“トラス鉄筋付きハーフPCa板”を製造し、躯体工事の省施工化を図るもの。「日本では一般的な工法ですが、同じ技術を持ち込むだけでは面白くない」。

そこで彼らが試みたのは、あらかじめ“ムクリ”をつけたトラス鉄筋を矯正した状態でコンクリートを打設し、その後矯正を解くことで簡易的にコンクリート部分に圧縮力を加え、曲げ性能を向上させる手法だった。

開発着手から2年半、あとは現地導入を待つ段階だという。英語とジェスチャーを交えた現地メンバーとの打ち合わせ、現地輸入規制への対応など、苦労は数えきれない。だが「国内では体験できないトラブルは、自分を大きく成長させてくれました」と笑顔で振り返る。

本館にある情報ライブラリーには、研究に役立つ貴重な図書や資料がぎっしり。時にはここにパソコンを持ち込んで、仕事に没頭することも。

現地の職人とコミュニケーションをとり、作業を進めるのも海外での業務の醍醐味。

中川 学(なかがわ まなぶ) 工業化建築技術センター

工学部建築学科出身/2009年入社/海外向けや、大型建築向けの要素技術開発、木ー鋼のハイブリット構造技術の開発を担う。

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