大和ハウス工業株式会社

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TWO-WAY 総技研とあなたをつなぐ2WAYコミュニケーション・ペーパー03

研究ピックアップ

研究ピックアップ 1

環境振動対策としてのTMD/AMDから地震への備えまで

山下 仁崇/住宅系技術研究室

山下 仁崇の写真

より簡便で安全性の高い免震・制振技術の開発

免震・制振の技術開発に取り組んできた住宅系技術研究室の山下が現在、携わっているのは重量鉄骨住宅「スカイエ(skye)」向けの環境振動対策及び制振の要素技術開発、地震後の物件対応を行う技術開発である。

環境振動対策では、車や電車などの振動による揺れや強風時の上部階の揺れを軽減するために、TMD(Tuned Mass Damper)あるいはAMD(ActiveMass Damper)といった制振装置(おもり)を建物の規模に合わせて上部に置き、日常的に不快な振動を抑え、やすらぎの暮らしを守る。

TMDというのは、振り子の原理を利用し、建物の揺れを抑える動力不要の制振装置である。AMDは、比較的小規模な建物の揺れを電力を用いて制御し、効率よく抑える

山下が言うには「この、おもりが建物の揺れを打ち消すように、逆方向に戻す働き(制振)をする」のだそうだ。

免震については阪神・淡路大震災以降、住宅への免震技術適用を検討し研究に取り組んできた。一般に、地震の揺れについては、建築基準法で震度5弱~5強で建物が大きく壊れないことを想定しており、また多少壊れたとしても、その後も繰り返し使えることを想定している。山下によれば、「元来、大和ハウス工業の住宅『スカイエ(skye)』のように工場で生産されている重量鉄骨住宅は、本質的に極めて耐震性能に優れており、建物の設計は、建築基準法に準拠している。地震を恐れるあまり、住宅の強度をむやみに上げることが真に必要なことなのか」という思いもある。むしろ、「揺れた後に補修しやすい構造、補修時の丁寧な説明、補修後の情報提供といったアフターフォローの側面が有効なのではないか」とも。

現在は免震装置を販売していないが、「より安価で広く提供できる新しい免震技術の開発に取り組んでいきたい」と語ってくれた。

*建物の揺れ方により効果が異なります。

山下が免震装置を開発していた時に、テクノギャラリーに展示していた地震体験装置。

制振装置TMD/制振装置AMD 制振装置により、交通振動を抑える。

山下 仁崇(やました よしたか) 住宅系技術研究室

工学研究科出身/1996年入社/環境振動から地震の揺れまで、幅広い研究活動で培った知見を活かして住宅の免震・制振技術の開発に取り組んでいる。

研究ピックアップ 2

地震後の早期復旧に貢献する「DKB弾性すべり免震支承」

森 貴久/建築系技術研究室

河目 裕介の写真

材料の特性に着目し、独創的な免震支承を商品化

「物流倉庫の荷崩れなどを防ぎ、早期復旧をするには免震構造が有効ですが、ネックは建設コストでした」と語るのは、学生時代から「構造」を研究テーマにしてきた建築系技術研究室の森である。

基礎杭の上に直接免震装置を設置し、建物を支える「杭頭免震」構造にすれば工費も工期も大幅にダウン可能だが、そのためには杭頭免震として機能する高性能な免震装置が必要になる。そこで、「コストダウンができれば、物流業界のニーズに応えることができる」と考えた森は、免震装置の上を建物が滑ることで地震の揺れの力を逃がす「すべり支承」の開発に着手した。事前の解析で求めた最適なすべり係数(約3%)を実現するために、すべり材の材料をいくつか試したが、なかなか目標性能をだせなかった。

DKB弾性すべり免震支承は、杭頭免震にも採用可能な免震支承。大和ハウス工業(株)・黒沢建設(株)・(株)ビービーエムの共同開発製品で、DKBはそれぞれの頭文字を組み合わせたもの。

そこで、作用する圧力が高くなるほど摩擦係数が低くなる特性をもった材料(ポリアミド材)に着目した。最適な摩擦係数を得るためにはすべり材に高い圧力を作用させる必要があることから、小さなメダル状のすべり材を水玉模様に配置することでこれを実現。特徴的な外観となった。また、杭頭免震に使用するために必須となる杭の変形に追従する機能についても、ゴム層が変形しやすいような工夫を加えて、より大きな変形に追従できるものとなった。

このような試行錯誤の末にようやく期待通りの性能を得たときには、2011年の開発着手からすでに3年が過ぎていた。

「D K B 弾性すべり免震支承」は2014年に販売を開始し、開発担当の森はこの年、総合技術研究所長賞を受賞した。

森の足元に見えるのが、メダル状のすべり材を水玉模様に配置することで低摩擦化を実現した、DKB弾性すべり免震支承の原寸大パターン図。

森 貴久(もり たかひさ) 建築系技術研究室

理工学研究科出身/2003年入社/RC構造と鋼構造が融合した混合構造や物流倉庫のすべり免震支承(写真)など建築構造関連の研究開発に携わる。

研究ピックアップ 3

家庭用リチウムイオン蓄電池システムの研究・開発

原田 真宏/フロンティア技術研究室

原田 真宏の写真

電力効率利用と災害対策

災害時に非常用電源として活躍する蓄電池システムの開発に、他社に先駆けて取り組んだのがフロンティア技術研究室の原田である。入社後、すぐに「家庭用リチウムイオン蓄電池システム」の開発を担当することになったが、このときプロジェクトは始まったばかりで、原田自身も学生時代の専門分野とは違っていたため、全く白紙の状態からのスタートだった。

「蓄電池システムを早急に商品化するため、当時事務所などで使っていたものを応用することにした。そのため住宅用として使うには、機器が出す熱や音の対策、地震に対する設置方法など問題が山積みでした」。そのため、原田を中心としたチームは、総技研内の別のチームなどの協力を仰ぎながら、様々な試験を繰り返し、課題を一つひとつ解決することで商品化に繋げていった。現在までに、蓄電池メーカーのエリーパワー社と共同で4種のシステムを順次開発。お客さまの生活に合わせ、蓄電容量や必要なシステム部材の最適化など、バージョンアップを続けている。蓄電池のバージョンアップと並行して進めたのが、3電池最適制御システム(蓄電池+燃料電池+太陽光発電)の開発である。「日々のランニングコストを下げて、より多くのお客さまに使ってもらいたい」と、原田たちのチームは独自の蓄電池の制御方法をエリーパワー社と共同で開発した。

蓄電池システムの開発は、東日本大震災が発生する前から手掛けてきた。自ら開発した家庭用リチウムイオン蓄電池システムを前に「お客さまにとって、より使いやすく、低価格な商品を開発し、更なる普及に努めていきたい」と言う。

研究・開発を始めてから、蓄電池システムなどに関する特許出願数はすでに100件近い。総技研内でトップの実績だ。

原田 真宏(はらだ まさひろ) フロンティア技術研究室

工学研究科出身/2009年入社/大学での研究者を目指していたが、社会に役立つ商品づくりをしたいと大和ハウス工業に入社。消費者メリットを第一に考えた研究・開発を心がけている。

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