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あいさつは、「言える」ことより
「感じる」気持ちを育てる

「こんにちは、は?」「ありがとう、でしょ?」と子どもの背中をつついてみたり、「どうしてごめんなさいが言えないの?」と泣き顔の子どもに言ってみたり。コミュニケーションの基本であるあいさつが、なかなか口に出せない子どもは多いようです。 私たち大人は深く考えずにあいさつをしていますが、子どもたちはまだ「なんでごめんなさいなんだろう?」とひとつひとつ考えている段階。今回は、あいさつが言える心の育て方について考えてみましょう。和洋女子大学の鈴木みゆき先生にうかがいました。

あいさつできる環境をつくるのは親の役目

大人だって、よく知らない人にいきなりあいさつしてくださいと言われたら難しいでしょう。子どもにとってまだ社会は知らない人ばかり。「こんにちは」というのはとてもハードルが高いことなのです。まずはそんな気持ちを理解してあげましょう。

子どもは親の気持ちを敏感にくみ取ります。親が警戒心や緊張感を持って接している相手には同じような気持ちを抱きますし、親しい気持ちでお付き合いしている人には安心して素直になれます。親にとっても安心できるコミュニティのなかでゆっくり「こんにちは」の練習をしていきましょう。言葉にできなくても、笑顔でいるだけで、「今日も元気でいいね」と喜んでくれるような人とのつながりを知ることで、子どもは自分の気持ちが相手に伝わるうれしさを知り、自信を持つようになります。言葉にするのはそれからあとでも十分。あせらず気長に見守りましょう。

これから育つ共感力や想像力気持ちと気持ちをつなげてあげることも大切

子ども同士、感情がぶつかり合ってケンカをしたり、言葉にできなくて叩いてしまったりするのは普通のことです。親にすれば「まずはごめんなさいでしょ」と思うことでしょう。でも「ごめんなさい」や「ありがとう」は、相手の気持ちを汲み取る想像力や共感力が養われてから生まれるものです。

大切なのは他人の喜びや痛みを子どもに気づかせること。たとえば相手の子どもを突き飛ばしてしまったなら、親が「痛かったね。びっくりしたよね」とその子の気持ちを代弁してあげましょう。それを聞いた子どもは、そこで初めて相手の気持ちに気づきます。「あなたが悪いことをしたんだから、あなたが謝りなさい」ではなく、親も一緒に謝る。その姿から子どもは多くのことを学びます。

言えていますか? 親から子への「ごめんなさい」「ありがとう」

多分、日常生活のなかで数えてみたら、子どもが親に「ありがとう」「ごめんなさい」と言っている回数のほうがずっと多いのではないでしょうか。まだまだしてもらうことが多いのが子ども、叱られることが多いのが子どもです。でも、どうぞ親も出し惜しみせず、子どもと同じくらい「ごめんなさい」「ありがとう」と言ってください。あいさつする気持ちは、言うだけではなく、むしろ言われた経験で育ちます。親が心を込めて言う「ごめんなさい」「ありがとう」は子どもの心にまっすぐに届きます。

子育てのなかでは「なにができるようになったか」ではなく「子どもの心になにが育ったか」が大切です。豊かな心から「こんにちは」「ありがとう」「ごめんなさい」という気持ちが生まれれば、そう遠くないときにきちんとあいさつができるようになります。

鈴木 みゆき

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