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子どもの遊びと学び①「失敗しない子」ではなく「失敗を通して強くなれる子」へ

生活習慣や社会のルール。親から子どもに教えたいことはたくさんあります。正解を知っている大人だからこそ、回り道しそうになったら声をかけ、転びそうになったらつい手を出して、子どもにまっすぐな道を歩かせたくなってしまうものですね。でも、「失敗のなかにこそ育ちのチャンスがたくさんある」と語るのは、埼玉県内で保育園、発達支援事業所を運営する中村敏也さん。失敗を失敗のままで終わらせず、子どもの自信へとつなげるためには、どんな見守りや働きかけが必要なのか。子どものたくましさを育むために私たちができることをいっしょに考えてみましょう。

挫折→克服→成功3つのループを完成させよう

最近、ビジネスリーダーやトップアスリートや学者など、すばらしい功績をあげている人には共通して「やり抜く力」が身についている、といわれるようになりました。まだ社会経験も浅く、体力のない子どもにとって、日々の生活はできないことばかりです。ただ、挫折や失敗を叱るだけ、正解を教えるだけでは「やり抜く力」は育まれません。大切なのは、挫折→克服→成功へと大人が導き、子どもに多くの成功体験をさせてあげること。そうすれば、失敗の数だけ子どもは成功を体験することができます。

子どもの成長のなかで一人遊びは大切だといわれますが、一人でつみ木遊びをしているとき、うまくできなくて途中やめてしまうのであれば、挫折の段階で終わってしまいます。大人が少し手伝ったり、「こんなふうにしてみたら?」と声をかける。上達を見逃さず「かっこいいロボットがつくれるようになったね。毎日つみ木で遊んだから上手になったんだね」と、子どもの成長の過程を認めることで、子どもは挫折から成功までのループにちゃんと乗っかることができます。一人遊びといっても、やはり親のあたたかいまなざしはとても大切だと思います。

年上に憧れ、年下を世話する異年齢遊びの大切さ

子ども同士の交流ももちろん必要です。とくに異年齢集団のなかにはたくさんの学びがあります。「世界一子どもが幸福な国」といわれるオランダでは、異年齢集団での教育プログラムが積極的に取り入れられています。年下の子どもは年上の子どもを身近な理想モデルとして真似したり、追い付こうと少し難しいことにチャレンジします。年上になれば自分の経験を活かして年下の子を世話し、自分の成長を実感して自信につなげていくのです。

私の運営する保育園は異年齢保育を採用していますが、遊びを見ているととてもおもしろいです。たとえば鬼ごっこでも、いつも足の遅い年下ばかりが鬼では、みんなつまらない。そこで「3歳の子にはハンデをつけよう」と年長児が提案し、独自のルールを考えてみんなが楽しめるように工夫しています。今は、一人っ子も多くなり、なかなか異年齢集団で遊ばせることは難しいかもしれませんが、地域の子ども会や、公園で遊んでいるグループの輪に積極的に入っていってほしいと思います。

失敗したときに抱きしめてくれる安全地帯はお父さんお母さん

子どもは、失敗したときはなによりお父さん、お母さんに抱きしめてなぐさめてほしいとまっしぐらに走っていきます。そして成功すれば、まずお父さんお母さんのほうを見ます。「すごいでしょ? 見てたよね?」と確かめるためです。そのくらい、子どもにとってお父さん、お母さんは絶対的な安全地帯です。

今は育児の情報がたくさんあって、過保護とのびのび放任のバランスのとり方に悩んでいる保護者の方も多いようです。やはりたくましさを育てるために、失敗してもおおらかに受け止める気持ちで育ててほしいなと思いますが、放任と放置は違います。いつも親が自分を見ていてくれるという安心感のなかでこそ、子どもは存分に遊びまわることができる。「いつもあなたを見ているよ」というサインを子どもはしっかり感じ取っています。

次回は、「親子のブレない絆の作り方」について。年齢に応じた注意の仕方、就学前に身につけたいコミュニケーションの取り方などを取り上げます。

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