家庭では水風呂や小さなプール、屋外では公園の人工池など、遠くまで出かけなくても、水遊びの機会が増えるこの季節。バシャバシャと水を跳ね上げてはしゃぐ子ども達は本当に楽しそうです。ただ、水にまつわる事故が報道されるのもこの時期。水の楽しさの裏には命にかかわる危険があることを認識しておきたいものです。国内外における災害救護をはじめ、けがの予防、応急手当などの知識や技術の普及につとめる日本赤十字社にお話を伺いました。
子どもの成長のスピードは、ときに親の予測をあっさりと超えてしまうもの。昨日まではできなかったのに、テーブルに手が届いたり、踏み台に上ったり、お風呂のふたをあけたり。そこに子どもならではの好奇心が加わるのですから、親御さんがヒヤッとする場面もあることでしょう。
とくに子どもは水が大好きです。水の事故において特徴的なのは、命に関わる重大事故につながりやすいこと。わずかコップ一杯の水でも鼻と口がふさがれてしまえば、溺れる可能性があります。危険を感じた子どもはパニックに陥りやすく、たとえ泳げる子どもでも、適切に対応することはできません。
お風呂場にはため水をせず、洗濯機はチャイルドロックをかけることを習慣に。家庭用プールで遊ぶときも、目を離さないようにしましょう。大切なのは子どもの成長のさらに一歩先を予測しておくことです。お子さんと目線をそろえ、子どもにとって家庭はどのように見えるかをチェックすると、危険を発見する手がかりになります。
今年の夏、川や海へのレジャーを予定しているご家庭も多いことでしょう。事故を防ぐために大切なポイントがいくつかあります。
現地に到着したら、まず大人も子どももいっしょにルール確認。どこまで行ってよいか、何時まで遊んでよいかを事前に決めておきましょう。子ども同士ペアを組み、お互いの居場所を確認し合うようにすることも有効。遊び感覚で取り組めます。
また、複数の家族で出かけると、つい「誰かが見ていてくれる」と注意がおろそかになりがちです。「どこかに自分の子どももいるはず」と油断せず、子ども一人ひとりをきちんと確認しましょう。
万一の事態が起きたとき、子どもには絶対に自分たちで解決しようとせず、大人に知らせることを伝えてください。まずは自分の命を守ることが基本です。
誤解されている方が多いのですが、溺れた人を救助したとき、水を吐き出させようと喉に指を入れてはいけません。すみやかに119番し、意識確認、呼吸確認を。反応がなければ心臓マッサージ、人工呼吸をしながら救急車を待ちます。
事故の話をすると、「怖くて、どこにも連れて行けなくなる」という親御さんもいますが、そんなことはありません。むしろ大人の目が届く環境のなか、家庭や戸外で思い切り体を動かし、体力をつけることも、事故防止につながります。年齢とともに行動範囲も広くなり、小学校に入れば登下校など、子どもだけで行動する時間もあります。用水路や川など、危険な場所ほど近づきたくなるのが子どもです。親子で近隣の危険箇所を確認し、なぜ近づいてはいけないのか、どんな危険があるのかを話し合ってみてください。
事故が起こったとき、我が子のこととなれば、親も気が動転して闇雲に水に飛び込んでしまうなど、適切な行動がとれないもの。心臓マッサージや人工呼吸も実際に行ったことがなければ、なかなか実行には移せないでしょう。ぜひ、けがの予防や事故の対応を学ぶ講習会、着衣泳体験などに定期的に参加してください。
事故の予防と、万一のときのための知識と経験。その両面から子どもの命を守っていきましょう。
講習会情報
全国にある日本赤十字社の支部では、定期的に救急法などの講習会を実施しています。詳しくはリンクをご覧ください。
http://www.jrc.or.jp/search/study-link/index.html
電子講習室
「赤十字WEB CROSS」では検定形式・クイズ形式で人命救助や安全な暮らしについての知識を高められます。
http://www.tokyo.jrc.or.jp/application/webcross/index.html