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2020年1月、東京都江戸川区に完成した地上9階建・全96邸の「プレミスト新小岩 親水公園」。景観資源との一体性や街との親和性で評価をいただき、「江戸川区 第10回景観まちづくり賞」を受賞しました。前編は、「プレミスト新小岩親水公園」で大和ハウス工業が体現した、「環境との調和」の魅力について企画担当者の西村がお伝えします。
  • “親水公園沿い”の魅力をさらに深めるレジデンスを
    「新小岩」は「東京」駅から約10km圏※1にあり、JR総武線・総武線快速が利用でき「東京」駅や「新宿」駅などに直通で行けるアクセスの利便性でも知られるエリアです。「新小岩」駅を出て下町情緒の残る「新小岩ルミエール商店街」の賑わいを抜けると、街並みはやがて落ち着いた住宅街へ。「小松川境川親水公園※2」の木立と水面の煌めきの中に見えてくるのが「プレミスト新小岩 親水公園」です。
マンションのプランニングにおいて大きなテーマとなったのは、隣接する「小松川境川親水公園」との調和でした。かつては俳人・松尾芭蕉※3の歌にも詠まれ、古人に親しまれてきた小松川。1993年の整備によって水遊び、アスレチック、ウォーキングなど四季を通して親しめるスポットに生まれ変わり新たな歴史を刻んできました。今もなお全長約4,000mにわたってこの地域の暮らしを彩る緑の風景を提供しています。
西村:「計画当初、このエリアに長くお住まいの方々にヒアリングを行いました。すると、新小岩の利便性や下町の温かさとともに、この親水公園で子どもの頃からよく水遊びをしていたこと、今も家族でよく利用していることなど、思い出に残るエピソードがたくさん出てきたのです。地域の皆さまがこの公園をとても好ましく感じ、親しんでいらっしゃることを実感しました。そこで、新小岩という立地、そして“親水公園沿い”という自然と触れあえる環境に魅力を感じてくださる子育てファミリー層を中心に、しっかりとアプローチができる住まいづくりをしたいと考えました」
こうして生まれたコンセプトは「Tokyo Deep Breath」。
都心に寄り添いながら自然の水辺と緑を感じ、まるでリゾートの中にいるように心地よく深呼吸をしていただけるような住まいでありたい、という想いが込められています。
西村:「特にこだわったのは、住まう方が五感で心地よく感じられるような演出でした。親水公園の自然や川のせせらぎ、鳥のさえずり、季節が醸し出す植物の香りなど、目や耳、鼻で感じる魅力がもとからある環境だからこそ、このマンションを通して、さらにその魅力を感じていただくことを大切にしたいと考えました。視覚や聴覚、嗅覚など五感を癒せるような仕掛けを、マンションの随所に散りばめるよう意識しています」
  • 水と緑に呼応した、潤いのある景色を醸成
    外観デザインが目指したのは、緑に寄り添い、豊かで落ち着きのある佇まい。住棟の壁面は分節して見た目のボリューム感を減らし、壁材には自然を感じる質感や色合いのある素材を用いました。親水公園の緑を借景に、風景に溶け込む工夫が施されています。

  • 西村:「特徴的なのはバルコニーデザインです。バルコニーをガラス部分とルーバー部分に分節し、ガラスは緑に着色、ルーバーは色を混ぜ合わせることで自然な風合いに。ガラス部分を前方に押し出し、ルーバー部分と凹凸をつけることで、ファサードに彫りの深い表情が生まれました。またルーバーは風が通り抜けながら目隠しにもなるので、ガラス越しに見える空間では快適にくつろぎ、ルーバー側には洗濯物を干すといったように、メリハリのある使い方ができます。このデザインで壁面に表情や軽やかさを持たせることができただけでなく、快適な生活スタイルもご提案できる、という相乗作用を生み出すことができました」
  • 「南西棟は、区の規制に沿って階段状にセットバック。デザイン処理には苦労しましたが、親水公園を臨む広いルーフバルコニーを設けることができました。景観を楽しむ場所として、入居者様に有効に活用していただいています」
  • 「北西棟に配置されたエントランスは、親水公園に向けて大きく開口。前を通り過ぎる方にもマンションの良質感を感じていただけるよう、奥行のある美しい佇まいをつくりました」
  • 「また北西面は親水公園と景観が繋がるよう、開けた親しみやすいイメージのある有機的な空間をつくり上げています。透かしレンガ積みのデザインウォールを使って、緑や光が透けて見え、風が通り抜けるようなイメージに。外構にベンチを置き、ゆったりと寛いでいただけるようにしました。植栽は親水公園の大きな樹木とのバランスを考慮し、四季を彩る中木を多く入れています」
  • 「緑の潤いが住居内にも続いていくよう、屋内にも壁面緑化を設けました。風除室からラウンジに向かうエントランス奥の正面に、爽やかなアイキャッチとして緑の壁が広がるようにしています」
  • 親水公園の緑を敷地内に繫ぐのが、住棟に囲まれた坪庭。
    西村:「坪庭にも外構と同じ植生と透かしレンガ積みの柱を入れ、外観のイメージを中に引きこみました。敷地内でも親水公園側と同じように緑の潤いが感じられるような誂えにしています」
親水公園が織りなす自然と調和し、表情豊かな質感で街の新たな景観をつくりあげた「プレミスト新小岩 親水公園」。次回はレジデンスに内包された「心地よさ」についてお伝えします。(後編へ続く)
※1 「東京」駅約10kmとは「東京八重洲北口」を起点とした直線距離であり、道路距離は「東京駅八重洲北口」から約10,900mです。
※2   現地より徒歩1分/約20m
※3 「秋に添うて 行かばや末は 小松川」1692年(元禄5年)


※掲載の現地写真は2020年1月に撮影したものです。