NEW

2022年2月、埼玉県和光市に誕生した「プレミスト和光丸山台」は、コロナ禍という未曽有の変化と向き合いながらファミリー層に新たな生活様式を提案し、当社初の「埼玉県子育て応援マンション」にも認定されました。第1回目は、プレミスト和光丸山台が生まれた背景と、地域に根差した新しいデザインについて、企画を担当した柏瀬が解説します。
和光の地に触れ、時代の声から「新しい住まい方」を導き出す
埼玉県の南端に位置し、東京都23区の練馬区・板橋区と隣り合う和光市。「和光市」駅は東京メトロ有楽町線・副都心線の始発駅であり、東武東上線「池袋」駅まで13分*1という利便性から、都心直結のベッドタウンとしての役割を担ってきました。その「和光市」駅から線路沿いに真っすぐ伸びる道を進み、緩やかな坂を上った高台に建つのが「プレミスト和光丸山台」です。
2020年4月からこのプロジェクトに加わった柏瀬は、交通の利便性、学校や生活施設、公園などが充実した環境から、若いご夫婦やお子さまのいる共働きファミリー層をメインにしたプランを想定していったと語ります。
柏瀬:「計画当初、朝から夜まで一日和光市内に滞在し観察を続けたのですが、前と後ろにお子さまを乗せた3人乗り自転車が非常に多いことが強く印象に残りました。朝はお父さんがお子さまを保育園に送ったあと駅の駐輪場に自転車を預けて出勤し、昼はお母さんがお子さまを乗せて公園に出かけていく。そんな風景を目にして、子育てに和光市を選ばれている方が多くいらっしゃることを改めて実感できましたね」

和光市に何度も足を運んで街の姿を捉えていった柏瀬でしたが、もう一つ取り組むべき課題となったのが、当時大きな影を落としていたコロナ禍への対応でした。

柏瀬:「ちょうど緊急事態宣言が始まり、これから在宅ワークが一般的になりそうだという時期。そういった新しい働き方にも対応できる生活様式を、プランに取り入れていかなければと思いました」

前例がなく、まだ誰も正解を持たない状況を打開するべく、柏瀬は社内アンケートを実施*2。東京本社・本店の全社員に質問を投げかけたところ、1781名からの回答がありました。

柏瀬:「現状のテレワーク環境、理想の環境としてどんなワークスペースが欲しいか、テレワークをする時にどんな環境が必要か、あれば便利だと思う設備やアイテムは何か、など広く意見を求めました。ユーザーとしての要望に加えてハウスメーカー社員というプロ目線からの専門的・技術的な回答もたくさん集まり、自分にとっても大きな収穫になりました」

こうして生まれたテーマは“子育て世帯へ送る新しい生活様式と多様性のある生活提案”。社内アンケートで子育て世帯の希望が最も多かった“多目的空間”や、要望が多かった設備やサービスを組み込みながら、コロナ禍はもちろん、後に状況が変化しても永く便利に使っていただけるような物件づくりを目指した計画が進められることとなったのです。
「地層と光」で和光市の歴史と未来を表現
  • 今回、新たな挑戦として自ら物件のデザインを担当した柏瀬。デザインイメージを醸成する上で、和光市の「遺跡」が大きなヒントになったと振り返ります。
    柏瀬:「市内の図書館や民家園に足を運んで文献や論文を調べたのですが、和光市には43ヶ所の遺跡があって、集落跡や出土品も数多く発見されているんですね。旧石器時代から人が住んでいたこの土地の歴史を、デザインにも取り入れたいと思いました」

    デザインコンセプトは【地層と光 -都市と歴史が共存する、古来より人が共存してきた街、和光市-】。
    歴史の地層と和光市の“光”をモチーフに、明るくかつ重厚感のあるレジデンスを創り上げています。
  • 柏瀬:「敷地前の十字路に面する東の角地に注目が集まるよう、強いデザイン性のあるコーナーサッシを入れ、都会的でクラシカルなイメージを持たせました。

    外観のマテリアルは、スラブ(床版)のラインを横に長く重ねて「地層」の積層感を出しながら、最上階は庇の高さを変えてリズム感が出るようにしています。建物中央部の住居のタイルの色を変えて囲い状にし、縦ラインで切ることで平坦感をなくしました。妻面はコの字型にして白黒白の複層ラインにするなど、強い印象を残すように。壁面タイルも質感の違う面状を3種類ぐらい互い違いに並べ、遠景と近景で印象が変わるようにしています。
    メインエントランス反対側の南西面も、窓の位置を均等にして黒いタイルで内側に入り込むような縦ラインを出すなど、三方どの方向から見てもデザイン性が失われないよう気を配りました」
  • 柏瀬:「メインエントランスは、「和光市」駅から伸びる道路に接するよう北東面に配置しています。
    エントランスと外構は、壁面よりもさらに素材感のあるタイルを使って「地層」を表現しました。
    エントランスには大庇を設け、一部を大きく開けて植栽の緑を入れながら引きを取る形でゲート感を演出。行燈のような透かし積みレンガを両サイドに入れて、迎賓感と温かみを加えています」
  • 柏瀬:「東南面にもサブエントランスを設けました。計画当初、エントランスは1か所にする予定だったのですが、反対側に商業施設があり新しくスーパーが開業する計画も立っていたため、買い物に便利な生活動線として設置することにしました」

柏瀬:「外構には、コーナーサッシと同じようにクラシカルなデザインの照明を、建物を凹ませるようにしていくつか組み込んでいます。以前、この敷地周辺には街灯がなく夜はとても暗かったため、防犯面を考慮して人の顔が見える高さで設計しました。周囲に住む方の往来や、近隣の中学校に通う生徒さんの登下校・部活動など、近くを通る時にも安心感を持っていただいています」

エントランスからラウンジへと繋がる道筋にも「地層と光」のデザインは続きます。
柏瀬:「エントランスから入った目の前には光壁を設けています。地層感やデザイン、光の当たり具合などにこだわり、何度も検討を重ねました。ラウンジのテレワークスペースの立柱にも温かみのある光を入れつつ、外観のコーナーサッシのクラシカルなデザインを、光の縦横ラインとして引き込んでいます。ラウンジの奥の壁にも、地層感のある模様を入れて統一感を持たせました」
歴史に彩られた重厚なデザインを実現したプレミスト和光丸山台。次回はプレミスト和光丸山台が掲げた「子育て世帯に向けた新しい生活様式と多様性のある提案」について詳しくお伝えします。(第2回へ続く)
*1 東武東上線急行、準急、快速利用。
*2 アンケート実施概要 (1)実施期間:2020年7月6日~13日 (2)調査対象:東京本社・本店全職員 (3)回収結果:回答数1781名