贈与税

暦年課税制度:贈与税を納める義務があるのは、財産の贈与を受けた人です

贈与税の仕組み

受贈者(贈与を受けた人)は1年に1人当たり110万円の基礎控除があります。1月1日から12月31日までに贈与を受けた財産の合計額から基礎控除110万円を引いた額が贈与税の課税対象となります。申告、納税は翌年の3月15日までに行います。(2015年1月現在)

贈与税の税率構造

贈与税を計算するときの評価額

贈与税の計算のための財産の評価には、相続税評価額をそのまま使います。

贈与税の優遇措置

贈与税の軽減制度は、自分が住むための家か、その家のための敷地にしか用意されていません。賃貸住宅や駐車場、株式などに対しての軽減措置はありません。

相続開始前3年以内に贈与された財産の取り扱い

被相続人の死亡前3年以内に相続人や受遺者が、被相続人から贈与を受けた財産がある場合、その財産は相続税の課税対象となるので注意が必要です。ただし、贈与税の配偶者控除については、対象外とされていますので、相続開始直前の駆け込み贈与も有効となります。

配偶者が自宅の贈与を受けたとき(贈与税の配偶者控除)

自宅の土地建物やそれを購入するための金銭の贈与を受けたときの軽減措置として、長い間連れ添った配偶者に「贈与税の配偶者控除」があります。(相続税法第21条の6)

配偶者控除を受けられる贈与のパターン

現物贈与

居住用の土地、または家屋の贈与を受け、贈与年の翌年3月15日までに贈与を受けた配偶者がそこに住み、その後も住み続ける見込みである場合。

金銭贈与

居住用の土地、または家屋を買うための金銭で、贈与年の翌年3月15日までにその金銭の贈与を受けた配偶者が自宅を買ってそこに住み、その後も住み続ける見込みである場合。

配偶者控除を受けるための条件

配偶者控除の条件は、以下の3項目です。

  • ●婚姻期間20年以上の配偶者から
  • ●上記2つのパターンいずれかに当てはまる贈与を受けたこと
  • ●以前に同じ配偶者から贈与を受けてこの特例を利用していないこと

相続時精算課税制度

親から子への生前贈与について、贈与の時点では一定の額までは贈与税をかけず、そのかわり親から相続するときに、すでに贈与された財産も含めて相続税をかけるというものです。生前贈与に対する課税を相続のときまで猶予する制度とも言えます。

この制度を選択するための条件

相続時精算課税制度の適用対象となるのは、贈与者(贈与する人)は60歳以上、受贈者は贈与者の子および孫で20歳以上の者とされています。

贈与税の課税

この制度を選択すると、その選択した贈与者からの贈与に限っては基礎控除が適用されず、選択した年以後は110万円を控除することはできません。しかし、そのかわりに複数年にわたって利用できる非課税枠2500万円が用意されます。その贈与者からの贈与の累計が2500万円に達するまで贈与税はかかりませんし、累計が2500万円をオーバーしたら、オーバー分に一律20%の税率をかけて計算した贈与税を払えばよいのです。ここで支払う贈与税は相続税の前払いの性格を持っています。相続発生時に贈与済財産も含めて相続税を計算し、その額から既に支払った贈与税相当額を控除した金額が、納付すべき相続税となります。支払い済みの贈与税のほうが相続税の額より多い場合、支払いすぎの贈与税は還付されます。

※12月に行った贈与についてのみ相続時精算課税制度を選択したつもりでも、その年1月1日以降に行われた贈与がすべて相続時精算課税制度の対象となるので注意が必要です。

相続時精算課税制度のポイント

選択制
この制度は一定の条件をクリアした人の間での贈与にしか適用されず、しかも選択制です。選択をしなければ暦年課税の贈与税として扱われます。
一般の贈与と区分
この制度を選択した贈与者(親)から受けた贈与財産は他の贈与財産と区分して、贈与税を計算します。この制度を選択していない人からの贈与については、基礎控除(110万円)を使うことができます。
種類・回数に制限なし
この制度の対象となる贈与には財産の種類、金額、贈与する回数にはいっさい制限がありません。不動産のほか、現金や株でもOKです。
相続税の課税
相続時精算課税にかかる贈与者が亡くなったときに、それまでに贈与を受けた相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の価額と相続や遺贈により取得した財産の価額とを合計した金額をもとに計算した相続税額から、既に納めた相続時精算課税にかかる贈与税相当額を控除して算出します。この制度は「贈与税の非課税制度」とも言われますが、実は同じ財産にあとから相続税をかけるというものなのです。