相続税

相続税は財産総額をもとに計算され、財産を相続した人にかかります

相続税は亡くなった人(被相続人)が所有していた財産の相続税評価額をもとに計算され、その財産を相続した人にかかります。ただし、被相続人の配偶者には特例が設けられています。

相続税の対象となる財産について

相続税の課税対象となる金額は、被相続人の遺産総額のうち墓所・仏壇や生命保険金(一定の条件があります)、死亡退職金についての非課税枠を除いた残額から、借入金や葬儀にかかった費用を引き、さらにその残額から相続税の基礎控除を引いた残額です。なお、相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産がある場合は、それら贈与財産の価額(贈与時の評価額)を遺産総額に含めます。

※被相続人の死亡前3年間に贈与された財産は相続財産とみなされます。

注)子ども、兄弟姉妹には、代襲相続人を含みます。

生命保険金・死亡退職金の非課税枠

被相続人が保険料を支払っていた生命保険の死亡保険金を受け取った場合や被相続人の死亡により相続人に死亡退職金が支払われた場合は、それぞれについて法定相続人(相続放棄をした人を含みます)の数×500万円が非課税となり、生命保険金・死亡退職金からそれぞれの非課税金額を控除した残額が相続税の課税対象となります。(相続税法第12条第1項第5号、第6号)

相続税がかかる財産について

相続税を計算する前に、被相続人の財産と負債をすべて明らかにする必要があります。相続税がかかる財産とは次のようなものです。

  1. ①土地や建物などの不動産
  2. ②有価証券(上場株式や社債、割引債、証券投資信託や貸付信託の受益証券など)
  3. ③現金・預貯金(銀行貯金)
  4. ④事業用の財産
  5. ⑤書画・骨董、美術品、貴金属、宝石など
  6. ⑥生命保険金、死亡退職金(本来は相続財産ではありませんが、相続財産とみなされて課税対象になります)
  7. ⑦被相続人が亡くなった日から遡ること3年以内に、被相続人から贈与された財産(相続や遺贈で財産をもらった人が、被相続人の死亡前3年間に贈与された財産は、相続財産とみなされます)

    ※贈与を受けたときに贈与税を払っていれば、その贈与税額は最終的に納める相続税から差し引くという方法で精算されます。※相続財産に加算するときの評価額は、贈与を受けた日時点での相続税評価額です。

  8. ⑧被相続人が相続時精算課税制度の適用を受けて贈与した財産

    ※相続財産に加算するのは、贈与した時の価額です。※支払った贈与税があれば相続税から差し引かれ、控除しきれない金額は還付されます。

相続税の計算方法について

1回の相続についての相続税の総額は、実際にどの相続人がいくらもらうかに関係なく、課税遺産総額、法定相続人数、法定相続分という3つの要素で決まります。

  1. ①課税遺産総額をいったん法定相続分によって分割する。
  2. ②①で分割した各金額に税率をかけて税額を計算する。
例 相続人が配偶者と子2名の場合

法定相続分によって分けられた金額を、相続税速算表に当てはめ、税率をかけて算出した金額から対応する控除額を引いたものが各々の税額となります。例えば、課税遺産総額に法定相続分をかけた金額が4000万円なら、4000万円×20%-200万円=600万円となります。この計算を他の相続人にも行って相続税の総額を出します。

相続税の速算表(平成27年1月1日以後の場合)
  1. ③②の金額を合計する(相続税の総額)。
  2. ④③で求めた相続税の総額を、各相続人が実際に相続する財産の相続税評価額の割合で按分する。
  3. ⑤各相続人の個別事情に応じて、納付額を調整

調整項目としては、相続税の負担調整を図ることを目的とする相続税額の2割加算※や暦年課税分の贈与税額控除、配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除、外国税額控除、相続時精算課税分の贈与税額控除があります。このうち配偶者の税額軽減は、相続によって取得した財産の課税価額が、1億6000万円以下か、あるいはそれを超えても配偶者の法定相続分以下なら、④で求めた相続税額に特例が適用されます。

※2割加算の対象となるのは、(1)被相続人から相続または遺贈により財産を取得した人で、被相続人の配偶者、父母、子ではない人(被相続人の兄弟姉妹や、おい、めいとして相続人となった人)、(2)被相続人の養子として相続人となった人で、その被相続人の孫でもある人のうち、代襲相続人にはなっていない人、となります