大和ハウス工業株式会社

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コラム vol.218
  • 土地活用バリエーション

復興支援 事例レポート 復興公営住宅「気仙沼市 営魚町入沢住宅」

公開日:2017/09/29

大和ハウス工業は、宮城県気仙沼市の気仙沼女子高校の跡地に復興公営住宅「気仙沼市 営魚町入沢住宅」(総戸数59戸)を建設しました。

地域のシンボルの地に復興住宅を建設

2014年当時の気仙沼女子高校

気仙沼港を見渡す高台に立地していた気仙沼女子高校は、屋上にかまぼこ型の体育館がある珍しい建物でしたが、東日本大震災の影響を受けて2014年に閉校しました。
そして地域のシンボル的な存在であった気仙沼女子高校の跡地を、地域に貢献する復興住宅として復活させる計画が浮上しました。

【動画】気仙沼市営 魚町入沢住宅 - 復興公営住宅 -

■ ショートver.(再生時間:6分14秒)

■ ロングver. (再生時間:11分31秒)

気仙沼市で当時復興住宅を担当されていた、気仙沼市 建設部 次長 佐藤好和様は次のように語ります。

気仙沼市 佐藤好和様

「内湾地区は中心市街地ですので、被災された方が大勢おいでになりました。しかし、この地域にはまとまった平らな土地がなく、災害危険区域になることが想定されたので、入沢地区については閉校した女子高の跡地を使って公営住宅を整備しようということになりました。そこで、プロポーザルで撤去から造成、建築まですべて一括してやっていただける方を募集したところ、大和ハウス工業さんが手を挙げてくださいました。大和ハウス工業さんには、ほかにも市内4地区の買い取り事業で手を挙げていただいて、整備を進めていただきました」

このプロジェクトのリーダー的な存在としてチームを導いた大和ハウス工業 東北地区復興支援室 次長 吉田孝幸は、このプロジェクトの実施を振り返って次のように語ります。

吉田孝幸

「ここまで歴史のある建物、そして気仙沼市の皆さんが親しんでこられた建物を取り壊して新たに住宅をつくるわけです。被災された方が仮設で不自由な生活をされていますし、この校舎をご提供くださった気仙沼女子高校様の気持ちもくんで、ここにぜひ皆様の終の棲家となる公営住宅を建設したいと思い、取り組むことにしました」

設計を担当した執行役員 技術本部住宅事業推進部 住宅系設計推進部長の橋本英治も次のように語りました。

橋本英治

「入沢地区は、気仙沼市でも被害が一番ひどかったエリアで、ほとんど家屋が残っていない状況でした。それを見て、ここで難しいとは言えない、前に進むしかないと決意しました」

大和ハウス工業の総合力を生かした取り組み

大和ハウス工業は2014年の公募を受け、2016年1月に着工、2017年2月(1期)、2017年5月(2期)に引き渡しを行いました。従来の発注方式とは異なり、設計から建築に至るまでを大和ハウス工業が請け負い、最後に市が検査をして買い取るという買い取り方式が採用されました。
計画にあたっては、安全で快適な住まいを提供するために、住民の方々からの意見を取り入れながら建設計画を立案。その結果、地域の方々のニーズに応える復興住宅の青写真ができあがりました。

澤栄之介

「地域の皆さんに集まっていただいてワークショップなどを開いて、街づくりをしてきました。都市開発に限らず、買取公募という方式は、大和ハウス工業の中でも初めての事業だと思いますが、都市開発の総合力が生かされました」と東京都市開発部 開発部 開発グループの澤栄之介は語ります。

しかし、工事の困難さは、当初の想像をはるかに超えるものでした。
土地の高低差に加えて、バリアフリーの実現、地域の避難場所としての機能確保、公営住宅としての厳しい基準、狭い道路など、さまざまな課題に応えるには、多くの困難を伴いました。
大和ハウス工業は、都市開発部による設計、造成、そしてハウスメーカーとして持つ商品力をフル活用し、総合力を生かすことで、これらのニーズに1つずつ応えていきました。

設計の苦労を、東北地区復興支援室 住宅系設計担当の坂本英紀は次のように語ります。

坂本英紀

「住む部屋がただ確保できればいいだけでなく、生活動線、歩行者の動線、車の動線が確保できないと住みやすい災害公営住宅は完成できません。また、平地でのバリアフリープランは簡単ですが、高低差がある土地で上段の敷地までの動線を確保し、バリアフリー化を実現するのはとても難しいものでした。上下の動線としては建物のエレベーターを有効利用し、横のつながりに関しては橋を架けて高低差を解消しました。そうすることによって、階段を設けることなくバリアフリー動線を実現させました」

当公営住宅は、1号棟から4号棟で構成され、中央に立体駐車場が設置されています。
どの建物からも段差なしのバリアフリーを実現するために、1号棟の最上階から立体駐車場へ、立体駐車場の最上階から2号棟へ、そして2号棟から4号棟と3号棟へと車いすでの通行を可能にしました。
また、津波発生時に高台へ避難できる経路を確保するなど、地域の皆さんが安心して暮らしていただける設計となっています。
建物は、大和ハウス工業の「skye(スカイエ)」と「xevo+R(ジーヴォ・プラスアール)」を採用。暮らしやすさと快適性を実現しました。

工事を担当した、仙台支社 住宅系工事部の五島と三島は次のように語ります。

五島一

「当時の岡田支社長から『実際に経験している人間なんて日本中を探してもいないんだから、仙台がトップを切って経験を積め』という指示がありました。それが後押しとなって『じゃあ、みんなでやろうか』という気持ちになりました」

三島寛

「復興住宅ということで、ご入居者の方の切なる思いというのは建築中でもひしひしと感じていました。規格にとらわれることなく、入居する方たちの生の声をすぐに計画に組み込んで、より良い、住みやすい住宅を建設するように心がけてきました」

被災された方々に、安定した住宅を提供

建物の完成を目にされた気仙沼市役所の方々にもご満足いただけたようです。

気仙沼市 建設部建築・公営住宅課 課長 沼倉敬様

「なかなかまとまった平場がなく、山も海も近いという土地柄で、土地の選定が難しかったと聞いています。大和ハウス工業さんには、なかなか厳しい地形状態の中で良いプランニングをしてもらったと思っています」

気仙沼市建設部 建築・公営住宅課 災害公営住宅係 技術主査 熊谷昇様

「被災して住宅を失われてしまった方たちに、早く安定した住宅に住んでいただきたいという思いがありました。あの場所を何とか整備して、たくさんの方に住んでいただくことができましたので、良かったと思っています」

東北地区復興支援室 住宅系設計担当 主任石井博之は、この仕事の満足感を次のように語りました。

石井博之

「我々のような技術屋に、技術的な難易度を克服する場を与えてもらえました。また実際に入居される方から直接感謝の気持ちをいただくことも多かったので、それは本当にありがたいことでした。設計担当は、エンドユーザーの方から直接お褒めの言葉や感謝の言葉をいただける機会がなかなかありません。今回の案件は、すごくありがたく、やりがいのある仕事でした」

そして、前出の吉田孝幸は、最後に次のように語りました。

「対岸のホテルから、完成した公営住宅の全貌を見たとき、大和ハウス工業が作ったものが気仙沼の象徴になったのかな、という気持ちがこみ上げました。都市開発、設計、工事、造成まで含めて、当社の総合力によってここまで持ってこられたことに、非常に感慨深いものがございます」

東日本大震災後に携わってきた復興公営住宅の建設も終盤に差し掛かっているとはいえ、まだまだ復興途上であることに間違いありません。
大和ハウス工業は、一日も早い復興を願い、引き続き地域や地域の住民の方々に貢献できる事業を展開していきます。

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