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コラム vol.219-1
  • 土地活用税務コラム

今仲清の生産緑地シリーズ(1)都市緑地法等の一部改正で緑地の有効活用が容易に!

公開日:2017/10/17

3大都市圏にある特定市の生産緑地指定が実施されてから四半世紀が経過し、4年半後には生産緑地の買取申し出が可能になります。これを見据えて、平成27年4月22日に「都市農業振興基本法」が成立し、平成29年4月28日に都市緑地法等の一部改正が行われ6月15日に施行されました。今回の改正によって、生産緑地の活用がどう変わるのかについて考えます。

生産緑地は「宅地化すべき」から「都市にあるべきもの」へ

平成4年1月1日、3大都市圏の特定市において指定された「生産緑地」は、平成33年12年31日までの間に、主たる従事者に「死亡」または「故障」が生じなければ、平成34年1月1日以後にならないと買取ることができず、結果的に自由に譲渡や有効活用などができませんでした。

したがって、今の法律のままであれば、平成34年1月1日以後、3大都市圏の特定市の生産緑地は一斉に買取請求され、急速に宅地化される可能性があります。そこで、平成27年4月22日に「都市農業振興基本法」が成立し、都市農業の振興に関する次のような基本理念が明らかになりました。

  • (1)都市農業の多様な機能の適切かつ十分な発揮と都市農地の有効な活用および適正な保全が図られるべきこと
  • (2)良好な市街地形成における農との共存が図られるべきこと
  • (3)国民の理解の下に施策が推進されるべきこと

これにより必要な法制上、財政上、税制上、金融上の措置が必要になることを受けて、平成28年5月13日に「都市農業振興基本計画」が閣議決定され、生産緑地はこれまでの「宅地化すべきもの」から都市に「あるべきもの」へと明確に変更されたのです。この変更が2022年の生産緑地の一斉買取請求に備えたものであることは明らかです。そして「都市緑地法等の一部を改正する法律及び関係政省令」が平成29年6月15日から施行されました。

図1 生産緑地指定から30年経過まで

都市緑地法等の一部改正で生産緑地の有効活用が可能に

都市緑地法等の一部改正によって、都市緑地法の緑地に農地が含まれたり、生産緑地の最低面積を従来の500平方メートル以上から市区町村が条例で300平方メートルに引き下げることができ、生産緑地地区内に農産物加工所、直売所、農家レストランなどの設置が可能になるなど、生産緑地の有効活用ができるようになりました。

(1)都市緑地法の緑地に農地が含まれる(都市緑地法第3条、都市公園法)

都市には緑が必要であり、これを整備するために緑地管理機構の指定権限者を、知事から市区町村長に変更するとともに、緑地に農地が含まれることが明確になりました。市区町村長が「緑のマスタープラン」を策定し、都市公園の管理m²針や農地を緑地として政策に組み込むことができるようになりました。

農地には当然生産緑地が含まれ、生産緑地を市民緑地として緑地管理機構に無償で貸与することを市町村長が決めることができ、将来これが可能になると考えられます。この場合に、相続税の納税猶予制度の適用を受けることを可能とするような要望が出されています。

図2 都市における緑地・オープンスペースの活用

出典:国⼟交通省「平成29年度 国⼟交通省税制改正概要」

(2)生産緑地の最低面積が300平方メートルに(生産緑地法第3条第1項第2号)

500平方メートルとされていた生産緑地の指定最低限の面積が、市町村が条例で300平方メートルにできるようになりました。この場合でも従来どおり、相続税・贈与税の農地の納税猶予制度の適用が可能になるよう税制改正が行われています。

これによって、いわゆる道づれ解除は少なくなるものと考えられます。つまり、500平方メートルに満たない市街化区域農地を所有する隣り合った農地の所有者が、500平方メートル以上になるように共同で生産緑地申請をしていて、一方に相続が発生しその相続人が買取り請求をしたことによって、もう一方の農地の生産緑地が解除されるという、道連れ解除は少なくなると予想されます。

図3 500m²を下回る生産緑地の道連れ解除

出典:国⼟交通省「平成29年度 国⼟交通省税制改正概要」

(3)生産緑地地区内に農産物加工所、直売所、農家レストランなどの設置が可能(生産緑地法第8条、都市計画法第52条他、建築基準法第48条他)

生産緑地に農産物加工所、直売所、農家レストランなどの設置が可能になります。都市計画法に新たに田園居住地域が設けられ、その中の生産緑地に設置も可能になります。

(4)特定生産緑地制度が創設(生産緑地法第10条の2他)

生産緑地の指定から30年経過した日より、さらに10年経過日を新たな期限とする、特定生産緑地の指定を受けることができるようになりました。その結果、特定生産緑地の10年の期限が来た場合に、再指定を受けることが可能となります。

2022年の⽣産緑地の四つの選択肢

2022年まで4年半あり、今後様々な法改正が予想されますので、まだ気が早いのですが、今回明らかになった法改正の国土交通省のパブリックコメントまでの情報から、2022年の生産緑地をどのようにするかの選択肢としては次のようなことが考えられます(平成29年6月現在・今後改正の可能性あり)。

  • 1.生産緑地の買取申し出を行い土地の有効活用又は売却する
  • 2.特定生産緑地の指定申請を行い10年間引続き生産緑地として自ら営農
  • 3.特定生産緑地の指定を受け市民緑地として緑地管理機構に貸与
  • 4.従来通りの生産緑地としておく

従来通りの固定資産税等、相続税の納税猶予の適用ができるかどうか今後の税制改正が注目され、生産緑地の有効活用が図られることが期待されます。

本シリーズでは、今回の都市緑地法等が改正された背景─生産緑地制度はなぜ設けられたのか、生産緑地とはどのような農地か、生産緑地と固定資産税について、土地有効活用にかかる税務上のメリット─について解説します。

今仲 清(いまなか きよし)

税理士法人今仲清事務所所長

株式会社経営サポートシステムズ代表取締役

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