土地活用ラボ for Owner

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コラム vol.228
  • 不動産市況を読み解く

土地活用ラボレポート 2017年12月最新データ分析!2017年賃貸住宅着工戸数と2018年の不動産市況の見通し

公開日:2017/12/27

2017年賃貸住宅建設数は増えたのか

あとわずかで2017年が終わろうとしています(執筆時2017年12月16日)。
年末ですので、本連載で毎年この時期にお伝えしている住宅着工戸数の年間総数の予測を行います。

下図は、2016年と2017年(1~10月)の貸家(賃貸住宅)の新設着工戸数の月別の数字です。

新設住宅着工戸数(貸家)の推移

年月 戸数 年月 戸数 前年比
2016/01 28,288 2017/01 31,684 112%
2016/02 28,871 2017/02 30,842 107%
2016/03 30,572 2017/03 33,937 111%
2016/04 35,504 2017/04 36,194 112%
2016/05 32,427 2017/05 32,956 102%
2016/06 36,910 2017/06 35,967 97%
2016/07 37,745 2017/07 36,365 96%
2016/08 36,784 2017/08 34,968 95%
2016/09 38,400 2017/09 37,521 98%
2016/10 39,950 2017/10 38,017 95%
2016年1月~10月合計 345,451 2017年1月~10月合計 348,451 101%
2016/11 38,617 2017/11 37,072 96%
2016/12 34,475 2017/12 33,096 96%
2016年合計 418,543 2017年合計 418,619 100%

出典:国土交通省「住宅着工統計」

※2017年は執筆時で10月までしか公表されていません。オレンジ色は予測

2018年の不動産市況の見通し

では、2018年の不動産市況はどうなるかについて考えてみます。
不動産市況を左右するポイントとしては(大きな外的要因(例えばリーマンショック等)がないとして)、金利、税制、景気動向などが挙げられます。

まず、不動産市況に最も大きな要因である金利についてです。現在は低金利が続いています。マイナス金利政策導入直後からは、多少金利が上昇しましたが、その上昇もわずかで、現在まで、低い金利が続いています。
現在の日銀総裁任期は2018年春までで、その人事によっては政策が変わる可能性があるかもしれないと言われています。しかし、現在のような自民党の安定政権状態がしばらく続くなら、日銀の政策はたとえ総裁が交代しても、大きな変化はないと思われます。そうだとすると、まだしばらくは、景気刺激策を続けるということですから、低金利が続くということになります。このため金利の視点からは、2018年の不動産市況にとってポジティブの状況が続きそうです。

次に税についてです。
2019年に10月から消費税10%になることが決まっています。現在の景気状況、政権の安定性等を考えて、今回は、延期はないと思われます。
請負契約の特記事項(2019年10月の半年前=3月末までの契約なら、引き渡しがそれ以降でも現在の消費税のままの扱い)等を考慮すると、消費税増税の1年くらい前から、つまり2018年秋ごろから駆け込み需要が起こると思われます。
しかし、今回の8→10%の増税は、2014年4月の5→8%の増税時に既に決まっていた(時期はずれましたが)ことなので、一定の駆け込み需要はあるものの5→8%の時に起こったような駆け込み契約は起こらないと思います。
2014年4月からの増税に際して、その前年2013年には住宅着工戸数が総計、持ち家(注文住宅)、貸家(賃貸用住宅)のカテゴリーで11%以上増えました。今回は、10%以上はないと思いますが、それでも+5%くらいはあると思います。
消費税増税の観点から見ても、2018年の不動産市況とくに住宅市況はポジティブに作用すると思われます。
その他にも、登録免許税の減税、住宅ローン減税の延長、不動産売買における税の特例の延長など、不動産・住宅市場にとって有利な税制の延長や導入がほぼ決まっているようなので、これらもポジティブに作用すると思います。

次に、景気動向です。
アジア(特に北朝鮮)において、微妙な緊張感が続いています。これらが、平和に解決することを願うばかりですが、これらが爆発すると、状況は分からなくなります。
こうした状況がないとして、日経平均株価は現在(12月18日)22,900円前後で推移していますが、企業業績もよく、決算期の配当も増配の企業が多いようですので、株式市場は概ね良好と言えます。この状況のまま2018年の前半は進むと思われます。賃金も少しづつですが、上昇をしてきており、景気のいい状態がつづきそうです。

  • 金利の観点:ポジティブ
  • 税の観点:ポジティブ
  • 景気状況:ポジティブ

という状況です。

前年同月比マイナスが続く賃貸住宅建築市場

しかし、気になる数字もあります。
冒頭で述べたように、これまで不動産市況、建築市場をけん引してきた、貸家(賃貸住宅)の建築数が減っています。

主に2つの理由が考えられます。

1つ目は、金融機関とくに地銀の貸し出し審査が若干厳しくなっていること。賃貸住宅の収支シミレーションでの賃料推移予測、空室予測などのストレスをかけた数字に対しての審査が厳しくなっているとの声が聞かれます。「ギリギリ通るかな」という案件の貸し出し審査が通りにくくなっているという状況です。

2つ目は、地方都市において、ここ5年間くらい土地活用で賃貸住宅を建てるオーナーが増えました。2012年以降5年連続のプラスとなっていました。また、2014年からの相続税制の変更にともない、その税務対策としての賃貸住宅経営を行う方が増えた。こうした方々の需要が一巡してしまった、との見方もあります。「ある程度刈り取った」というイメージです。

1つ目の金融機関の対応は、如何ともしがたいですが、2つ目については、新たな需要創造により、転換できるものと思います。

まとめ:2018年の賃貸住宅市場

2014年以降の貸家の着工戸数は36.2万戸(2014)→37.8万戸(2015)→41.8万戸(2016)と右肩上がりで来ましたが、2017年はおそらく横ばいの41.7~42万戸の間で着地すると思います。

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
総計 882,797 980,025 892,261 909,299 967,237
105.8% 111.0% 91.0% 101.9% 106.4%
持家 311,589 354,772 285,270 283,366 292,287
102.0% 113.9% 80.4% 99.3% 103.1%
貸家 318,521 356,263 362,191 378,718 418,543
111.4% 111.8% 101.7% 104.6% 110.5%
分譲住宅 246,810 263,931 237,428 241,201 250,532
105.2% 106.9% 90.0% 101.6% 103.9%

2018年の不動産市況は、今年とあまり変わらず、それなりに好調が続くと思います。一方、賃貸住宅の建設は前半は厳しいと思いますが、後半は消費税増税の恩恵を受け始めて、前年同月比で増えると予想します。昨年、今年並みの42万戸前後の着工数となるでしょう。

皆様にとって2018年がいい年になるよう祈願しております。

土地活用ラボ for Owner アナリスト

吉崎 誠二(よしざき せいじ)

不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。

(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者等を経て現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(芙蓉書房出版)、「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)、「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。

公式サイト:URL http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所:URL http://www.hr-i.jp/

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