土地活用ラボ for Owner

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コラム vol.229
  • 不動産市況を読み解く

賃貸住宅リフォームの市場と入居者ニーズ対応リフォーム

公開日:2018/01/31

2018年が始まりました。今年は平成が始まって30年目、そして来年には年号が変わりますので、平成最後の1年となります。
2018年第1回目の不動産市況コラムは、賃貸住宅におけるリフォームの市場についてです。

まず、リフォーム全体の市場規模についてから解説します。

図1 リフォーム市場規模の分野別推計

※2008年度の建築着工統計調査、住宅土地統計調査、家計調査年報、マンション総合調査、住宅リフォーム統計調査より推計

(国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」より作成)

図1は、分野別のリフォーム市場規模について国土交通省が資料に基づき図説したものです。
数値データは2008年と古いものですので、数字は気にせず全体像を理解していただければと思います。

この年の数字で見ると、一番市場規模が大きく、また件数も多いものが、設備の維持修繕に関するものです。給湯器に不具合がある、トイレが壊れた、洗面台から水が漏れる・・、等その内容は様々あります。これが全体の半数近くを占めています。
賃貸住宅のリフォームは、これに次ぐ市場規模となっています。入退去に伴うメンテナンス、クロスの張替え等室内改装といった小さな工事から、築年数の古い賃貸住宅で行われることが多い間取りの変更といった、ある程度金額のかかる工事まで多種多様あります。

賃貸住宅におけるリフォーム、リニューアル工事がリフォーム工事全体に占める割合は、近年大きく変化はなく概ね20%強となっています。

図2 賃貸住宅におけるリフォーム・リニューアル工事受注高の推移

(国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状建築物リフォーム・リニューアル調査」より作成)

図2は、国土交通省が公表した2008年度から2015年度の、リフォーム工事全体に対して賃貸住宅リフォームの割合を示したものです。
2013年は、翌2014年に消費税増税が行われましたので、その駆け込み需要があったため、リフォーム工事全体が増えたものと思われます。この年度の賃貸住宅リフォームの割合は近年では最も高く約25%となっています。
日本において賃貸用の住宅が最も多く建てられたのが、1980年代の後半です。これらの建物の築年数が30年を超えて、1)老朽化、取り換え時期 2)市場ニーズの変化 などがあり、賃貸住宅のリフォームの件数が今後さらに増えてくるものと思われます。 特に、2)市場ニーズの変化については、近隣地域のニーズをつかみ、入居者に求められているお部屋が何かを分析することが必要となります。例えば、最近では部屋を細かく分けたタイプよりも、広いリビング(LDK)の方が人気があるようですから、部屋数を減らしてリビングを広くしたタイプに変更するというリフォームも考えられます。

また、現在の賃貸住宅に求める設備として、入居者の方々が挙げる項目の上位には、セキュリティ関連の事が並びます。都市部ではもちろん、地方都市においても近年はこうした傾向が強くなりました。
このような流れから、大和ハウスのグループ会社である大和ハウスリフォーム株式会社では、防犯リフォームを提唱しています。
この賃貸住宅向け「防犯リフォーム」では、一般社団法人全国防犯啓蒙推進機構の「防犯講習修了証」を取得したリフォーム担当者の方が、既存賃貸住宅の防犯性を診断し、診断結果に基づいて防犯性を向上させるリフォームの提案を行っているようです。
また、提案する「防犯リフォーム」を実施し、一定の防犯機能を備えた物件には、上記社団法人による「安全・安心な住まい認定証」が発行され、ご入居者や近隣住民に対しても防犯性の高さをアピールすることができ、入居率の安定的な向上につながることがイメージできます。

このように、賃貸住宅のリフォームにおいては、近隣地域のニーズ、入居者ニーズを分析することで、築年数が経ていても安定した入居者確保につながることとなるでしょう。

土地活用ラボ for Owner アナリスト

吉崎 誠二(よしざき せいじ)

不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。

(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者等を経て現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(芙蓉書房出版)、「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)、「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。

公式サイト:URL http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所:URL http://www.hr-i.jp/

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