土地活用ラボ for Owner

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コラム vol.248
  • 不動産市況を読み解く

どの県が長期不在の空き家が多いのか?

公開日:2018/07/31

今年は、5年に一度総務省が「住宅・土地統計」を発表する年にあたります。前回発表の2013年は、ちょうど不動産市況が上向きになり始めた時でした。その後5年間おおむね上昇が続いていますので、発表される各統計がそれを物語っているかどうか期待されます。

また、今回の統計の発表で大きな注目を浴びそうなのが、「空き家」に関しての統計値です。民間のシンクタンクが、「今年発表分以降、急激に空き家が増える。」と予測していることもあって、公表数字に注目が集まりそうです。

今回のコラムは、今一度空き家分類について整理し、一般の方が最もイメージする「空き家」、長期に使われていない家(長期不在の空き家)にフォーカスしたデータを見ていきましょう。

空き家の分類

住宅・土地統計によると、住宅は「居住世帯のある住宅」と「ない住宅」に分かれます。「居住世帯のない住宅」の中で、建築中の住宅等を除いたものが、「空き家」カテゴリーに分類されます。

その空き家は、4分類されます。

  1. 1)別荘などの2次的住宅
  2. 2)賃貸用住宅の空室
  3. 3)売却用の住宅
  4. 4)その他の住宅

となっています。

「その他の住宅」が最もイメージしやすい空き家です。同統計の説明では、「1)~3)以外の人が住んでいない住宅で、例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など」となっています。要するに「使われなくなっている、あるいは、すでに使っていないけれど、長期にわたり放置されている」ということで「長期不在の空き家」と呼ばれて、社会問題となっている空き家です。

どの都道府県が長期不在の空き家が多いのか

こうした空き家が問題視され、平成27年度からは「空き家対策特措法」が施行されましたが、「長期不在の空き家」は徐々に増えています。

それでは、どの都道府県に「長期不在の空き家」は多いのでしょうか?

図1

(総務省「H25年住宅・土地統計調査」より筆者作成)

図1は、都道府県別の総住宅数に占める長期不在の空き家の割合を示したものです。データは、現在最新の平成25年データです。ちなみに、この時の空き家総数(上記 1)~4)の合計)の日本全体での割合は13.4%です。

赤く示した鹿児島県、高知県、和歌山県の3県では10%を超えています。つまり、住宅全体の10%以上は長期に使われない状態になっているということです。次に割合が大きいのがオレンジの15県で7.5%以上となっています。

一方、5%以下は東京、大阪、愛知、福岡、沖縄等大都市中心の9都府県で、これら地域では、建物の新陳代謝が進んでいる様子が分かります。
これら大都市部では、もし使われなくなった住宅があったとすれば、解体して再建築されたり、売却されたり、リフォームをして別の用途で利用されたり等といった新陳代謝が行われているということです。

地方都市中心部エリアで、賃貸住宅需要が増えそうな様相

このように「長期不在の空き家」が増えているのは、日本社会が抱える大きな問題である人口減少の進行だけが理由ではなさそうです。
大都市部では、「長期不在の空き家」の割合は少ないですが、その一方で人口減少県ではその割合が10%を超えています。つまり、地方都市における過疎地域が広がっていること、その背景にある大都市への人口移動が加速していることが大きな理由のようです。
現在、日本の人口の半分以上は東京、関西、名古屋エリアに住んでいます。大都市への人口流入は加速するばかりです。また、地方都市においても中心部への人口移動が進んでいます。その結果、多くの地方都市の中心地エリアにおける住宅地地価が上昇しています。

ご承知のように都道府県単位では、地方都市の人口はこの先大きく減少していきます。これからの30年で20%以上減少する県も珍しくありません。しかし、人口減少が進めば、先に述べたように地方都市の中心地への移動が加速すると思われます。大都市に出るのはためらいがあり地元に居たいけれど、より便利な中心街に住みたい、そんな方が加速度的に増えると思います。
このように考えると、「地方都市の人口が減るから、賃貸住宅の需要は先細りする」というのは、県単位で考えれば、正解かもしれません。しかしその一方で、地方都市においても、中心部、住宅地が広がる周辺部などは、逆に、今後賃貸住宅需要が高まると思われます。

土地活用ラボ for Owner アナリスト

吉崎 誠二(よしざき せいじ)

不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。

(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者等を経て現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(芙蓉書房出版)、「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)、「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。

公式サイト:URL http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所:URL http://www.hr-i.jp/

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