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コラム vol.254
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2018年基準地価データと賃貸住宅着工数の推移

公開日:2018/09/28

今回のレポートでは、2つの事について分析してみたいと思います。1つめは、9月18日に発表された2018年の基準地価について、もう一つは2018年1月~7月までの賃貸住宅の着工数の推移を見ながら、2018年年間の着工数を予測してみたいと思います。

2018年基準地価の概要

基準地価は各都道府県が主体となって不動産鑑定士が評価した土地価格を国土交通省が取りまとめて発表されるものです。基準地価は民間企業等が土地取引をする際の指標になります。(その年の7月1日が価格時点となります。)
今回の発表では、全用途において前年対比で27年ぶりのプラス(上昇)となりました。とくに地方中核都市や外国人観光客に人気のエリアなどで大きなプラスとなりました。商業地(全国)は4年連続のプラスで+1.1%、住宅地は-0.3%でした。今年も三大都市圏は引き続き上昇していますが、それ以上に4台中核都市(福岡、広島、仙台、札幌)で商業地9.2%、住宅地3.9%と大きな伸びを見せたのが特徴と言えます。

それでは、都道府県別に詳しく見て参りましょう。

(図1)平成30年基準地価(住宅地)

国土交通省「平成30年都道府県地価調査」より作成

図1は基準地価(住宅地)の都道府県別の前年増減比を大きい順に並べたものです。最も伸びたのは沖縄県でプラス4%。続いて東京都の2.3%、福岡県の1.1%となっています。逆の地価が安くなったのは秋田県でマイナス2.4%、三重県のマイナス2.0%と続きます。

続いて商業地の都道府県別ランキングです。

(図2)平成30年基準地価(商業地)

国土交通省「平成30年都道府県地価調査」より作成

最も伸びたのは、訪日外国人が多い京都府でプラス7.5%、同じくアジアからの観光客の多い沖縄県でプラス7.3%と、どちらも驚異的な伸びを示しています。19の県でプラスになっており、大都市だけでなく地方都市でもプラスになっていることがわかります。逆にマイナスなのが秋田県、岩手県、福井県と人口減少が続き、また訪日外国人が少ない県になっています。

4つの地価の特徴

地価と言えば、3月に発表される公示地価が最もポピュラーですが、他にも路線価や固定資産税評価額などがあり、それぞれ少しずつ異なる値となっています。
各々の特徴をまとめたのが、下の図表(図3)です。

(図3)4つの地価比較

基準地価以外の地価の価格時点(いつの価格か)はすべて1月1日となっています。基準地価は7月1日ですので、ちょうど中間点ということで、途中経過をイメージすることができます。また、調査主体が4つとも異なっています。
一般論ですが、公示地価と基準地価は同じ価格水準で、路線価や固定資産税評価額はその70~80%程度の価格になっています。(例外地点もあります)このことから、地価は1物4価と呼ばれています。

(図4)一物四価(価格はイメージで、例外もあります)

地価上昇の勢いは大都市圏では緩やかになってきましたが、好調な不動産市況は地方都市に波及しています。大都市部では価格の天井感が見えてきましたが、地方都市ではもうしばらく上昇する見込みです。そのため、2019年の基準地価も上昇の可能性が高いと思います。

賃貸住宅着工件数の推移

ここからは、賃貸住宅(貸家)の着工件数について述べたいと思います。
賃貸住宅(貸家)の着工件数は、昨年6月から今年の7月(執筆時最新データ)まで14カ月連続して前年同月比でマイナスとなっています。下げ幅も最大12.3%(2018年3月)と10%を超える月も2回ありました。

(図5)貸家着工戸数の推移

国土交通省「住宅着工統計」より作成

先に述べた基準地価の上昇ムードとは逆に、かなりの減少が続いていることがわかります。
昨年1年間の貸家着工件数は41万9397戸でした。昨年の1~7月が23万7945戸で、今年の1~7月は22万4682戸でしたのでマイナス5.6%となっています。このペースで年末まで行くとすると、2018年1年間の貸家着工戸数は、39万6000戸程度になります。
前回のレポートでも書きましたが、2019年10月からの消費税増税に向けて今年の年末あたりから駆け込み需要が起こると思いますが、その度合いは少ないと予想されております。駆け込み需要を加味しても40万戸行くかどうかが今年の着地となると予想します。

賃貸住宅需要はここに来て若干ブレーキの様相ですが、しかし一方でポジティブ要因もあります。
本サイトの旧耐震賃貸住宅についてのコラム第1回でも述べましたが、これから築35年を超える賃貸住宅が増えてきます。

(図6)築年数別 貸家の建築の時期(全国)

総務省統計局「平成25年住宅・土地統計調査」より作成

これらの建て替えが増えてくると予想しています。こうした件数が増えてくれば、来年以降も大きな減少なく賃貸住宅の着工件数は推移していくものと思います。

土地活用ラボ for Owner アナリスト

吉崎 誠二(よしざき せいじ)

不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。

(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者等を経て現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(芙蓉書房出版)、「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)、「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。

公式サイト:URL http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所:URL http://www.hr-i.jp/

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