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コラム vol.256
  • 不動産市況を読み解く

賃貸住宅融資審査の厳格化と賃貸住宅着工数の関係

公開日:2018/10/23

賃貸住宅融資の審査が厳格化している?

「金融機関が不動産投資への融資審査を厳格化している」という声が聞かれます。新聞等メディアでも、同様の内容の記事を目にすることが増えてきました。今話題となっている地銀等の民間金融機関だけでなく、住宅金融支援機構でも同様のことが起きていると報じられています。
そうしたメディアでは、その理由のひとつに、賃料の将来予測、空室の想定といった賃貸住宅経営を左右する大きなリスクに対するヨミが甘いことがあげられています。
この理由は正当であり、納得できるものですが、「賃貸住宅が増えて、空室の増加懸念があるため、融資が厳しくなっている」などという一部メディアの報道には、疑問を持たざるを得ません。

賃料下落の予測、空室確率の予測を適切にかつ厳格に行うことは重要なことです。これらを甘く行うと、市況が悪化したり、賃貸住宅需要が減少したりした場合等、賃貸住宅の経営が立ち行かなくなりますので、適切なリスク予測を行った上で、賃貸住宅経営を始めるべきです。
しかし、「賃貸住宅が増えているから、空室懸念が増える」とは、断言できません。エリアによって状況は異なるからです。エリアによっては、賃貸住宅需要が今後見込めない、減少すると思われることもあるでしょう。しかし、需要が将来に渡り見込まれているエリアも少なからず存在します。そうした地域では、賃貸住宅は今後も増えると思います。

金融機関の融資審査が厳しくなると、貸家着工数が減る?

2018年9月のコラム「2018年基準地価データと賃貸住宅着工数の推移」でも述べましたが、貸家(賃貸住宅)の着工数は2017年初夏頃から2017年7月までの14カ月間は、前年対比でマイナスが続きました(2018年8月はかろうじて前年対比でプラスになりました)。
今年の年末にかけては消費税増税の駆け込み需要の期待もあり、若干上向きになりそうですが、それでも年間ベースでは前年割れしそうな状況です。

この着工数減少には、どのような原因があるのでしょうか。
ひとつには、先に述べた金融機関の融資審査の厳格化があるようです。確かに、オーナー様が賃貸住宅を建てる意思表示(契約)をしても、金融機関の融資が下りない場合は、実際に建てることは難しくなります。そのため、オーナー様が諦める事例も少なくないようです。
その他の着工数減少の要因としては、賃貸住宅に適した用地の減少があります。2013年頃から続く好調な賃貸住宅建築市況により、適した場所にはすでに賃貸住宅が建てられているということです。また、相続税改正による賃貸住宅建築が一巡したことも要因の一つでしょう。
こうした複数の要因が重なり、賃貸住宅建築数にブレーキがかかっています。

金利と貸家着工数の関係

一方で、日銀は低金利誘導政策を続けており、賃貸住宅融資の金利は過去最低水準が続いています。いうまでもありませんが、金利の低さは、賃貸住宅着工を押し上げる要因となります。

(図1)賃貸住宅融資金利と貸家着工戸数(全国)の推移

住宅金融支援機構、国土交通省「住宅着工統計」より

図は、住宅金融支援機構の賃貸住宅融資金利と、貸家(賃貸住宅)着工数の関係を示したものです。オレンジ線が金利(35年、固定)で左軸目盛、緑線が貸家着工数の全国合計で、右軸目盛です。2013年からの日銀による低金利政策で、金利はジワジワと下がっており、それに連動して貸家着工数も増えています。低金利、税制改正、など多くの要因が重なり、貸家着工数は2012年から2017年まで6年連続でプラスになりました。金利は2016年以降、横ばいが続いています。
これら2つの相関係数をみると、マイナス0.76、つまり金利↓、着工数↑と強い逆相関関係があります。
これ以上貸出金利を下げるかどうかは分かりませんが、少なくとも今いえることは、「貸し出し金利が上がると、その他のネガティブ要因も相まって、かなり大きな着工数マイナスになる」ということでしょう。金利の行方にも注目が必要です。

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