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コラム vol.269
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大和ハウス工業城東支社主催 賃貸住宅経営セミナー「秋葉原会場」講演抄録「企業が行う不動産投資の必要性とその極意」

公開日:2019/02/28

2019年2月2日(土)、東京都千代田区の秋葉原にて、大和ハウス工業城東支社城東集合住宅営業所主催による「賃貸住宅経営セミナー」が開催されました。第一部の「企業が行う不動産投資の必要性とその極意」では、吉崎誠二氏から「中小企業経営者は不動産投資をどのように考えればよいのか」について解説していただきました。ここでは、その内容を抜粋してお届けします。

企業が行う不動産投資

企業が行う不動産戦略のことを、CRE (Corporate Real Estate)戦略といいます。企業が所有する不動産、あるいは購入した不動産を最大限有効に活用することにより「企業価値の最大化」を図るということです。実際には、遊休地を活用する、低利用地を活用する、もともと持っていた社宅を賃貸用に回す(用途変更)、新しく買う、売るなど、いろいろな方法がありますが、何らかの形で、事業会社が不動産に関連したビジネスで収益を得ることがCRE戦略だといえます。

例えば、ある印刷会社は、町の中心地の自社保有地にある工場に印刷機械を置いていましたが、物流が発達し、高速道路網も発達してきたので、ビジネスには影響ないと考え、郊外に工場を移動させ、空いた土地に賃貸住宅を建設しました。保有地を活用して賃料を得て、印刷は郊外で行う。このように不動産を活用してビジネスを組み立て直すこと。これがCRE戦略の1つです。
また、ある鉄道会社では、昔は信号機の管理に大きな機械が必要だったため、駅の近くに事務所を置いていました。今はパソコン1つで信号機を遠隔管理できますから、事務所は移転し、そこに賃貸住宅を建てました。
昨今、このようなCRE戦略を多くの企業が行っています。個人企業でも大企業でも、今ある場所に不動産が必要なのか、また十分に活用できているのかを精査し、効果的に不動産活用を行うことで企業業績を上げることができないかを考えています。

5つの指針

企業がCRE戦略を行う際、ベースとなる考え方として5つの指針があります。
まず、業績。そして財務状況の将来的な見通しを考えます。2つ目は事業のライフサイクルです。ビジネスにはライフサイクルがあります。どのようなビジネスでも、今は会社の状況が良くても、20年~30年経つとビジネスモデルが古くなるということが必ず起こります。今、誰もポケベルを持っていませんし、固定電話、テレホンカードも最近見なくなってきました。これは企業の経営努力の問題ではなく、企業にとっては宿命のようなものです。世の中はどんどん変わっていきます。このように、事業にはライフサイクルがあるので、ある程度の賃料収入を得ておくことはかなり意味があることだといえます。不動産による賃料収入は、継続的な収入源です。固定収入がない会社にとって、賃料収入は特に有意義だと思います。
そのほか、オフィスや工場など、今後どのような不動産が会社にとって必要なのかも重要なポイントですし、全社の売り上げに占める固定経費の割合、市場や不動産マーケットの状況などを押さえておくことも重要です。

CRE戦略の5つのアクション例

企業におけるCRE戦略の主なアクション例を挙げるとすれば、遊休地活用、低利用地活用、コンバージョン、新規購入、売却の5つです。

遊休地活用というのは、かつて使っていたけれど今は使わなくなった工場やかつて倉庫だったところを賃貸住宅に変えるといったケースです。低利用地活用は、低層階は自社で使用し、高層階は賃貸住宅で賃貸するといったケースです。何がベストなのかは、場所によって違います。自分たちが使わないスペースの貸し方にはいろいろなパターンがあります。ホテル、店舗、オフィスなど、その場所に合ったものにする必要があります。 コンバージョンは、活用目的を変えることです。例えば、社宅の建て替えを機に同一敷地内に賃貸住宅を建て、その賃料収入を社宅の建て替え費用に充てるといったケースです。社宅から利益を生むことはできませんが、賃貸住宅であれば賃料が入り、少なくとも建て替え費用の一部にはなります。新規購入は、経営状態が良いうちに不動産を購入しておいて将来に備えるということです。売却はその逆で、不動産は必要ないと判断することです。

賃貸住宅需要は伸びるのか?

賃貸住宅需要について考える際、一番重要なことは世帯数です。オフィスビルは、就業者人口の増加人数が重要です。商業施設は商業人口で見ます。賃貸住宅の場合、そのエリアの世帯数が重要です。図のグラフは、一般世帯数のうち単独世帯が占める割合の将来世帯数推計です。

(図1)将来世帯数推計(2018年推計)単独世帯が占める割合

国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)(2018 年推計)」より作成

単独世帯が占める割合は、現在2019年では35%くらいですが、2040年には40%近くになり、一人暮らしが日本中で増えると予測されています。
全国的に見れば、単独世帯の62.4%が賃貸住宅に住んでいます。東京に限ると70.2%が賃貸住宅に暮らしています。つまり、単独世帯が増えれば増えるほど、賃貸需要も必ず増えてくるということです。
単独世帯が増加する一番大きな理由は、男女の生涯寿命の違いです。女性のほうが平均寿命が長く、女性が長生きすると単独世帯になります。ただしその場合、多くの人は持ち家に住みます。単独世帯が増えるほかの理由は、晩婚化、生涯未婚率、離婚者数の増加があります。いろいろな理由によって、単独世帯は今後かなり増加するといえます。

不動産投資5つの極意~賃貸住宅を中心に~

賃貸住宅の不動産投資を行ううえで注意すべき点がいくつかあります。1つ目は新築物件で、エリアのニーズにマッチしており、間取りの需要を間違えていないこと。もう1つは、賃料の設定を間違えないことです。この2つを間違えなければ、空室が多く出ることはないと思います。東京23区内であれば大きな問題はないでしょう。ただし、とても良いエリアでマンションを建てても、連続で建てた場合は空室が出やすくなります。

遊休地や建て替えでなく土地を併せて購入する場合にも、いくつかポイントがあります。まず、 20年後どうなっているかをイメージしてください。
土地とセットで買う場合、利回りが下がるケースが多くなります。立地、用途、構造などで変わりますので、単一の数字だけで判断してはいけません。土地を購入するわけですから、利回りは下がって当然です。想定賃料や想定経費をしっかり考えておきましょう。
また、将来売却するかもしれませんので、売りやすさを考えてください。手放しやすさ、転用のしやすさを考慮する必要があります。賃貸住宅を売る場合も同様です。賃貸住宅の1棟ものの転売では、ファミリータイプよりも、ワンルームや1LDKといった単身用のほうが売りやすいといえます。
あとは、売り時と買い時のタイミングを見逃さないようにしましょう。そして、借入金利はできるだけ低いものを選ぶことも大切です。土地と建物をセットで買う場合、低金利で長期間借りるようにしましょう。

賃貸住宅経営での6大リスク

賃貸住宅経営には当然リスクもあります。あらかじめリスクを想定し、備えておくことが大切です。

基本的に、賃貸住宅の6大リスクといわれるものは、空室のリスク、賃料下落のリスク、金利上昇リスク、老朽化対策リスク(修繕リスク)、管理リスク、災害リスクです。
空室のリスクがどれくらいあるのか。賃料下落のリスクがどれくらいあるのか。金利が上がるリスクがどれくらいあるのか。良い方の想定だけでなく、悪い方の想定もしておかないといけません。どれくらいまでなら下がっても大丈夫か、どれくらいまで悪化してもいいのか想定しておきましょう。
老朽化に伴う修繕のリスクにも備えておく必要がありますし、管理に関する費用もリスクとして備えておく必要があります。災害に関しても、自然災害のほかに、火災や盗難など人的な災害リスクもあります。また、この6大リスクのうち災害リスク以外は、基本的には保険を含めお金で対応することができます。

パートナー企業選び

個人の土地オーナー様の土地活用と違い、企業の土地活用においては重視すべき点が3つあります。まず、財務。2つ目はその会社の経営状態。3つ目は不動産の視点です。不動産の視点とは、容積率や建ぺい率といった要素から見たときの価値です。企業のCRE戦略は、この3つの視点で考える必要があります。
どのような会社と一緒にやっていくかということは、とても重要です。今すぐやろうと思っている人もいれば、いつかやろうと思っている人もいます。特に会社を経営されている方は、今すぐではなくとも機会があれば取り組みたいとお考えの方もいらっしゃいます。
不動産について、財務、経営、不動産という3つの視点を網羅して教えてくれるような会社と長期的なパートナーシップを築いておくことが重要です。
何かあったらすぐに相談できるようにしておくとよいでしょう。3つの視点は、すぐにアドバイスできるものではありません。普段からお付き合いをしておく必要があります。
また、関わった事例が多い会社をパートナーに選ぶことも重要です。大和ハウス工業は企業の不動産活用事例を豊富に持っています。さらに、長期パートナーになるべく、30年先にも存在しているかどうかも重要です。パートナーは個人ではなく組織です。長期的なお付き合いをしていくうち、担当者が変わる可能性もありますので、会社として良いお付き合いができるかどうかは非常に重要です。

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