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コラム vol.311
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最新データで読み解く2020年の不動産市況予測

公開日:2020/01/10

POINT!

・2019年、商業地では23都道府県で地価の上昇がみられた

・2020年の不動産市況は、引き続き「おおむね横ばい」といった状況が続くと予測

2013年以降(厳密には2012年の終わりごろから)、日本の不動産市況は右肩上がりに活況になり、不動産価格は上昇を続けています。土地価格、マンション価格は上昇、オフィスの空室率は低下、賃料は上昇しています。 また、この間に大都市では大規模な再開発が進みました。最も激変し、新しいビルの開発はまだ続いています。不動産の観点では、「この7年間で日本はずいぶん変わった」といえます。
2020年の住宅・不動産市況はどうなるのでしょうか。
住宅・不動産市況を最も顕著に表すといわれている、「地価」と「マンション価格」から順に見ていきましょう。

地価の上昇基調は続く

2019年の市況から推測すると、公示地価(価格時点:1月1日、例年3月20日ごろ発表されます)は2020年もプラスとなる確率が高いと思います。大都市部では7年連続、地方都市でも4年連続でプラスになるでしょう。3大都市に代表される都市部では上昇が続くものの、上昇幅は小さくなると思われ、全国の数字で上昇をけん引するのは地方都市ではないでしょうか。2019年、商業地では23都道府県で地価の上昇が見られましたが、2020年にはこの数が増えているものと思われます。

図1:圏域別対前年変動率(住宅地)

地方四市:札幌市、仙台市、広島市、福岡市
国土交通省「地価公示」より作成

図1は2006年以降の圏域別の住宅地地価を示したものです。
近年は地方4市(札幌・仙台・広島・福岡)が伸びており、他の地方都市も地価下落からプラスに転じようとしています。都市部での上昇幅は小さくなり、好況の波は地方に波及している状況が顕著になると思います。
地方の局所的な地価上昇地点も増えると思います。少し前から話題のニセコ、沖縄の宮古島・石垣島の他にも海外観光客に人気エリアのバブル的な価格上昇は続いています。なお、これまで価格上昇を続けてきましたが、制限をかけはじめている京都がどうなるか、注目です。

マンション価格は頭打ち?

次に実需用マンション(住むために購入するマンション)の市況を見てみます。実需マンションの傾向はおおむね首都圏マンションの動きに引っ張られる傾向になりますので、ここでは首都圏のデータを使います。
首都圏の中古マンション市況は、2013年以降好調で価格上昇が続いています。

図2:首都圏中古マンション成約状況

公益財団法人 東日本不動産流通機構「月例マーケットウォッチ」より作成

図2は、2011年以降の首都圏における中古マンションの推移を示しています。
上の成約件数の推移を見ると、中古マンションは季節要因が大きく、1年の中でグラフが上下します。よく見ると、2013・2014年あたりは成約件数が伸びています。また2018年後半から2019年あたりも件数が多くなっていますが、ここにきて頭打ち感が出てきました。
下図の成約m2単価の推移を見ると2012年後半くらいから上昇しているのがわかります。その傾向は2018年の前半くらいまで続きました。2019年は一次的な上昇期間が数回ありましたが、年間を通じてみれば価格は横ばいの状況です。

次に新築マンションの状況を見てみます。

図3:首都圏新築マンション成約状況

不動産経済研究所「首都圏・近畿圏マンション・建売市場動向」より作成

図3は、首都圏の新築マンションの成約状況を示しています。
中古マンションと同様に2013年頃から勢いよく価格上昇が続きます。しかし、2018年をピークに頭打ち、そして2019年はやや下落しています。新築物件の成約件数は発売戸数に影響されますので、適地の減少によって発売戸数が減っているため、さらに成約率が下がっているという状況のようです。
このように見ると、2020年の実需マンションの市況は、少々ネガティブムードかもしれません。ただ、大きな値崩れはなく、価格調整が始まるという状況だと思います。

賃貸住宅市況

賃貸住宅の着工戸数は、2018年から少しブレーキがかかっています。融資が付かない、適した土地が減っている、適した土地の価格が上昇している、などが主たる理由です。
ただ、単身世帯の増加、持ち家志向の低下など、賃貸住宅需要が下がる要因はありません。確かに建築数はこれから数年の間は、これまでのように数は伸びないかもしれませんが、賃貸住宅に関する需要が旺盛な状況は、この先長く続きます。そのため、賃貸住宅投資(土地活用含む)は少しの時間をおいて、再び活況になると思います。

その他

その他の「土地活用」と関連する不動産分野の市況も簡単に予測しておきます。短期的な予測というよりも中期的なイメージで述べます。
まず、インバウンド需要が旺盛で全国各地に増え続けるホテルについてです。一部の大都市や観光客の多い一部地域では、ホテルが飽和状態にあるようで、稼働率が低下している時期もあるようです。しかし、海外から日本への旅行客は、すでに2巡・3巡目に入っており、王道の観光地だけでなく、魅力ある地方都市にダイレクトに向かう方が増えているようです。このため、まだホテルの少ない地方観光都市などでは、ホテルは今後伸びるかもしれません。
次に、最も需要が旺盛なのは物流関連施設でしょう。EC需要が今後さらに伸びることは確実で、大都市周辺部だけでなく、地方都市周辺部でも物流倉庫需要は高まります。
逆に、徐々に厳しくなるのは物販を中心とした小売店舗だと思います。すでにネット通販が物品購入の中心になっているアメリカでは、小売業系の商業施設は苦戦を強いられています。早晩、日本でもそうなると予想されます。

まとめ

2020年の不動産市況は、2019年から引き続き「おおむね横ばい」といった状況が続くと思いますが、後半は地価・住宅価格は調整局面になるかもしれません。2020年に発表される年単位でのデータ(1年に1度だけ発表されるもの)では、上昇の数字が出ることが多いと思いますが、足元では「横ばい~停滞」という実感になると思います。
では、2020年は、土地活用を始めるのにふさわしい年なのでしょうか。2020年の融資金利は低い状況が続くと予想されています。まだ工事費の高止まりは続いていますが、これから少し落ち着きが出はじめるとも予測されています。こうしたことから、2020年、特にオリンピックが終わって、日本が落ち着きを取り戻したころはチャンスかもしれません。

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