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コラム vol.330
  • 不動産市況を読み解く

増えつづける相続税を払う方。賢く相続税対策を

公開日:2020/06/30

POINT!

・2015年の相続税の改正で、それ以降は被相続人が一気に増えた

・特に東京は、課税割合も税額も高く、相続財産の約4割が土地

2017年の12月のコラム「税制改正で相続税課税対象者はどのくらい増えたのか?」でも取り上げましたが、2015年(平成27年)に相続税のあり方が大きく改正されました。
改正の大きなポイントは、基礎控除額が、それまで「5000万円+1000万円×法定相続人数」だったのが、「3000万円+600万円×法定相続人数」となったことです。
これにより、資産を持つ方が亡くなり、相続税を納める方(相続人)、つまり課税対象となる被相続人が一気に増えました。ある税理士によると、「相続税の税務相談の約半分は、改正前には納税対象ではなかった方々」となるようで、「相続税=お金持ちに係る税金」ということではなく、「一定の資産を持つ方に広く係る税金」と考えるべきでしょう。
2020年は、改正から5年。改正後5年で、相続税を払う方は増えているのでしょうか?2019年12月に、国税庁より「平成30年分相続税の申告事績の概要」が公表されました。三大都市圏の課税状況を加えて紹介します。

一気に倍増した相続税を支払う人

図1:全国の課税割合の推移

国税庁「統計情報」より作成

図1は、全国の相続税の課税割合を示したものです。
課税割合とは、被相続人(亡くなった方)のうち、相続税の申告書提出をしなければならない被相続人(注:実際の申告書提出は相続人です)の割合のことです。
グラフでは、相続税が改正された2015年(平成27年)に一気に増えていることが一目瞭然です。そして、改正以後2016年、2017年、2018年も微増していることが分かります。

東京都では亡くなった6人のうち1人が対象

東京都の2018年分(平成30年分)のデータが発表されています。

表1:相続税の申告事績 東京都 2018年分

国税庁「統計情報」より作成

東京都では課税割合が16.7%、つまり亡くなられた6人に1人が対象になっており、全国平均の2倍です。また、1人当たりの税額は3207万円となっていますが、最大1.6億円までの配偶者控除などがあり、実際に相続人が全て払うとは限りませんので、詳細は税理士などに相談してください。

残りの三大都市では愛知の課税割合が高い

表2:相続税の申告事績 愛知県 2018年分

国税庁「統計情報」より作成

三大都市圏では、愛知県のほうが大阪府よりも課税割合が高いようです。表2は愛知県の相続税に関するデータ、表3は大阪府のデータです。

表3:相続税の申告事績 大阪府 2018年分

国税庁「統計情報」より作成

愛知県では14.3%、つまり約7人に1人が相続税の課税対象で、大阪府においては8.7%つまり約11.5人に1人の割合となっています。逆に1人当たり税額は大阪府の被相続人のほうが高くなっています。

東京では相続財産の約4割分が土地

次に、相続財産の金額構成比を見てみましょう。

表4:相続財産の金額の構成比 東京都

国税庁「統計情報」より作成

表4は、東京都における相続財産を金額で見た割合を示しています。
東京都は約4割が土地資産であるのが特徴です。家屋については、減価償却が適用されますので、それほど大きくありません。土地資産が現金(預貯金含む)よりも多いのは、地価の高い東京だからこその結果とも言えますが、日本人にとっては資産=土地という意識なのかもしれません。また、土地資産と現金資産で、約7割近くを占めています。
全国でこの割合を見ると、土地資産の割合は約35%で、最も高くなっています。ただし、平成6年の土地資産71%と比較すると、その割合は減少しています。(国税庁「平成20年分の相続税の申告事績について」より)

相続税評価を下げる試み

「現金のまま持っておく」「土地を更地のまま持っておく」場合、相続税が控除を除いてそのままかかってしまいます。
そのため、現金を使って貸家を建てるなどによって資産評価を下げる方もいます。また、小規模宅地等の特例(亡くなった方が居住していた土地や事業に使っていた土地について、一定の要件を満たせば80%または50%の評価額を減らすことのできる特例)が適用されるように、賃貸住宅経営などを始めておけば、ご子息や配偶者の方の相続税負担を減らすことができます。身近な税になった相続税ですので、生前からの準備が必要な時代になっています。

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