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京町家に学ぶ、
快適な住まいのヒント

京都に今もなお残る「京町家」。
木や土、竹など自然の素材を用いつつ、通風・採光の工夫が凝らされた京町家は、
夏の蒸し暑さと冬の底冷えを特徴とする盆地の気候において、
冷暖房が存在しない時代から人々の生活を守ってきました。

また、あらゆる世代が暮らしながら商売(仕事)もできる合理的な間取り、
都市部ゆえの過密化に備えた防災機能など、住宅としてさまざまな面で機能性に優れています。
ここには温暖化や都市の過密化など、現代の住環境を取り巻く課題を解決する手がかりがありそうです。

今回は、京町家情報センター代表・松井薫さんにインタビュー。
世代を超えて長く住み継がれる京町家の魅力と、
現代の住宅でも活かすべき知恵や心得について教えていただきました。

松井薫さん

建築家。[住まいの工房]代表。京町家の保全・再生、流通の活性化に取り組む「京町家情報センター」を2002年に立ち上げ、代表を務める。京町家の改修・再生を多数手掛ける。

京町家のコンセプトは「夏をむねとすべし」

  • ― 京都には、現在4万軒以上の京町家が現存するそうですね。まずは、京町家の基本構造について教えていただけますか?
  • 松井:京町家は、非常に合理的な構造をしています。基本形となるのは、「通り庭」と呼ばれる土間に対して3つの部屋がある「一列三室型」です。通りに面して格子のある部屋が「ミセ」、真ん中の部屋が「ダイドコ」、一番奥が「座敷」。
    庭に面した座敷には縁側がつくられます。庭の奥に、隠居した主人が暮らす「離れ」や蔵のある家もありますね。
  • ― 通り庭は、現代でいうところのキッチンにあたるのでしょうか。
  • 松井:通り庭は、ミセ側を「ミセ庭」、ダイドコから奥を「走り庭」と呼び分けます。キッチンにあたるのは走り庭のほうで、ここに井戸やおくどさん(かまど)をつくります。通り庭は吹き抜けになっていて、天窓から採光もしているんですよ。
    通り庭は入り口から奥までずーっと土間です。土は一旦冷えるとなかなか暖まらないし、暖まるとなかなか冷えません。夏であれば、外が暑くなっていても土間の部分に風が通ると下のほうの冷たい空気が動いて涼しさを感じられます。
  • ― たしかに。夏の京町家はひんやり涼しく感じられます。
  • 松井:兼好法師は「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる」(『徒然草』55段)と言っていますが、京町家はまさしくそうです。ちょっと暗くして風通しを良くしたり、風鈴や水の音で涼しさを感じる工夫をしたりして、蒸し暑い京都の夏をやりすごしてきたわけですね。

「動かない空気層」を上手に活用して断熱する

  • ― 通気性を良くすることで夏に対応している京町家ですが、冬の断熱についてはいかがでしょうか。
  • 松井:“中間領域”と呼ばれる動かない空気層をつくって断熱します。例えば、縁側の外側と内側の戸を閉めると、縁側に動かない空気層が生まれるので、座敷は寒さの影響を受けにくくなります。京町家には襖や障子が多いですよね?これも、部屋を区切ることで小さい空間をつくるためなんです。夏には開けて風を通せば涼しいですし、冬は閉めて暖かく過ごすことができます。また、細かく言うと建具に使われる木や紙にも、動かない空気層があります。
  • ― 木や紙の内部に、ですか?
  • 松井:そうです。木や紙は多孔質材料ですので、繊維の間に無数の小さな隙間(穴)があります。その隙間が、動かない空気層になるので断熱効果があるんですね。
  • 多孔質材料は断熱のほかにも、吸音や吸湿といった効果があります。例えば、梅雨のときなどは障子の紙がだらんとするほど湿度を吸ってくれますし、木の柱にはビール瓶1本分の吸湿力があります。また、空気の汚れを吸着させて清浄に保ってくれるという良さもあります。一方、フローリングやビニールクロスなど表面を硬い材料で覆ってしまうと、その効果が受けられないので、わざわざ機械で空気の汚れを排除しないといけなくなるんですね。
  • ― なるほど。京町家の材料を見渡してみると、木や竹、ワラやイグサなど自然のままの素材ばかりですね。
  • 松井:そうそう。ちなみにワラは1年で育つので毎年、竹は3年かかるから3年で交換するというように、家のパーツは材料となる植物の成長サイクルに合わせて交換されていたんですよ。生態系に合わせて循環する、究極のサステナブル住宅なんです。

火災の経験が育んだ防火の工夫

  • ― ところで、京町家の基本形が確立したのはいつの時代のことなのでしょうか?
  • 松井:江戸時代中期頃ですね。京都は、宝永の大火(1708年)、天明の大火(1788年)、そして蛤御門の変の大火(1864)と3度の大きな火災を経験しています。その後に、いわゆる復興住宅みたいな形で、同型の住宅をいっせいに建てていくなかで規格化が進みます。通りに面した二階の天井が低く、漆喰に塗り込められた格子状の虫籠窓(むしこまど)がある、厨子二階(つしにかい)の京町家がずらっと並んでいたと思いますね。
    厨子二階の屋根は、通りを挟んだ向かい側の家からの延焼を防ぐ高さになっています。前の道路幅が4mだとすると、燃え移るときの温度曲線が、ちょうど厨子二階の屋根の上に高温の熱が逃げる。もし延焼しても厨子二階の屋根の軒裏からなので、そこで火を止めればよい。こうしたことは、近年の検証作業でわかってきたことですけども、昔の人は経験的に知っていたのかなと思いますね。また、家の奥に庭や蔵があることも、延焼防止に役立てられていたはずです。

(注:写真は文中にある「漆喰で塗り込められた格子状の虫籠窓」ではなく、木の格子状の虫籠窓)

  • ― 京町家の規格は災害復興や防火対策など、都市計画とともに発展してきたんですね。
  • 松井:そうですね。狭い町のなかで増えた人口をどう収めるのか、どうやって税収をあげるのかと、いろんな視点で考えられたのだと思います。かといって、京町家の規格は、現代の建築基準法のような法律で定められたわけではありません。棟梁と呼ばれた大工頭たちの腕が支えていました。
    彼らは、自分が建てた家に何かあると仕事がもらえなくなりますし、次の代にもつなげられなくなります。それこそ命がけでつくっていたはずです。地震や火災にも耐えられるようにと、彼らが工夫を重ねていたからこそ、今もなお京町家が受け継がれているのだと思います。

京町家の暮らしはウチもソトも社会的

  • ― 京町家の中で、住み手はどのように暮らしていたのですか?
  • 松井:京町家のルーツは平安時代初期の「店屋(まちや)」。商売のための小屋に住まいとしての機能を加えたものですので、基本的には暮らしながらお商売をされていたと思います。
    通り側のミセは商売の場所。ダイドコや座敷は生活の場所、二階は寝室と使い分けました。昔の人は、早ければ40代後半、遅くても60歳までには子どもに代を譲りました。そうすると、庭の奥に離れをつくって隠居するんですね。ミセで当主は通り側を向き、常に社会に目を向けていて、離れにいるご隠居さんは庭の自然を通してミセと社会を見ていたとも言えそうです。
  • ― 通りは「社会」、奥にある庭は「自然」。家の構造そのものが、人間と社会の関わりを表しているようにも思えます。
  • 松井:そうですね。まさに通りは「社会」です。室町時代以降の京都では「両側町」といって、通りで区画するのではなく、通りを挟んで向かい合う両側をひとつの町としました。
    通りは町全体の共有スペースですから、玄関の掃き掃除をするときは自分の家の前だけではなく少し広めに掃除します。これを「門掃き」といいます。お互いに相手のスペースを少しだけ掃除し合うので、自然と会話も生まれやすくなりますよね。こうした日々のコミュニケーションルールが隣近所の人と人、ひいては町全体との関わりをつくってきたのだと思います。
  • ― 通りを共有することが、コミュニティづくりの基盤にもなっていたのですね。
  • 松井:さらにいうと京町家は、内部空間にも社会のルールが埋め込まれています。暖簾(のれん)をかければミセはオープンしているので入ってもよい、ミセの庭より奥に入れるのは家の人や主人と直接商談をする人など。こうした決まりごとは、コミュニティ全体の暗黙の了解になっていました。家の中から外の通りまで、みんなでルールを共有できていたから、スムーズに生活ができていたのでしょうね。

京町家の知恵、現代の家にどう活かす?

  • ― 長い年月をかけて培われてきた京町家の知恵と工夫を、現代の家や暮らしに活かすとしたらどんなことができるでしょうか。
  • 松井:暑さ・寒さを避ける知恵としては、夏は直射日光を遮り、冬は日差しを取り込める深めの庇をつくるという方法など。あるいは、天窓をつくれば放射冷却を活用して室内環境の改善も行えます。また、家のどちらかだけでも庭をつくれば、植物の蒸散作用で2~3度は温度が低くなるので、空気が動いて涼しいということもあるでしょうね。
  • ― なるほど。京町家で取り入れられている自然エネルギーの活用方法を応用すればよいのですね。
  • 松井:そうそう。ほかには、畳を入れたら暖かいですし、床に座る生活なら天井を高く感じられて空間は豊かになります。正座すれば腰骨が立つし、立ったり座ったりするだけでインナーマッスルも鍛えられる。
    でもねえ、現代の暮らしに慣れた人に、今さらそういう暮らしに戻れというのは難しい気がしますね。無理に昔の価値観を押し付けるのではなく、例えば京町家に住まう人が大切にしてきた考え方を、上手に転用して使うほうが良いと思います。
  • ― どんな考え方なのでしょうか?
  • 松井:京町家は腹八分目といいますか、不完全なほうが逆に良いという考え方です。二分は常に不足していて、自分が関わることが必要になるんです。夏になれば、襖や障子を外して御簾(みす)や葦戸(あしど)などに入れ替えたり、季節に応じて床の間の軸や花を変えたり。その都度、何かを足してそれを全うしたらまた入れ替えたり……というケアをしなければいけない。
    満腹の家をつくると、手に入れた瞬間に満足してしまって、それに飽きたときには捨てて次の新しい家を求めるしかなくなってしまう。何か、そこで暮らす人が家に関わることによって、季節の変化や自然との付き合い方について、気づきを得られる仕掛けがあると良いでしょうね。
  • ― なるほど。京町家はそこに住まう人の感性を育み、ひいては京都というまちと文化をつくる基盤にもなっていたようですね。本日はありがとうございました。

千年以上の時をかけて、京都の町衆がつくりあげてきた京町家。合理的な構造や自然エネルギーを活用する機能性、コミュニティとの関わりなど、知れば知るほど奥深い知恵がたくさん詰まっていました。日光や風、庭の土など、身近な自然との付き合い方を見直すだけで、現代の家を心地良くしたり、暮らしを豊かにするヒントが見つかりそうです。

2020年3月現在の情報となります。

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