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しつけの心理学②しつけの良し悪しの見極めその決定的な違いとは?


しつけには、ポジティブなもの、ネガティブなものがあります。ニュースで報道される「虐待」は、極端な悪例ですが、私たちの日々の育児の中にも、実は、「ネガティブなしつけ」といえるものが蔓延しています。
今回の記事では、気づかぬうちに子どもに悪影響を及ぼしているしつけと、そこから脱するための秘訣をお伝えしていきます。

どこからが虐待か? ⽇本と海外の違い

国により、「体罰」や「虐待」の捉え方に大きな違いがあることをご存知でしょうか? スイスに本部のある国際機関Global Initiative によると、すでに世界の49の国々が、法律で⼦どもへの体罰を全面禁止しています(※1)。これは、家の中での体罰も含まれています。
※1:参照:Global Initiative:http://www.endcorporalpunishment.org/progress/
prohibiting-states/


「おしりペンペン」や「頭をゴツン」このくらいならしつけの⼀環だと思っている方もいると思います。でも、これらの国々では、それは立派な体罰になります。法に違反しているということになるのです。また、国によっては、
● 公園に子どもだけで行くこと
● お仕置きでベランダに出すこと
これらは、子どもを放置したということで、罰則の対象になることがあります。このように、同じような行為でも、国によってどう見なされるかは大きく違うのです。

これらの国々と比べると、日本は子どもたちを守るための策があいまいになっているのが現状です。法で定められていない分、エスカレートしやすい状況にあることは否めません。境界線があいまいだからこそ、親⼀人⼀人が「しつけのあり方」についてしっかりと理解しておく必要があります。

荒っぽくしつけると、荒っぽい子になってしまう「しつけのトラップ」

しつけとは、社会で生きるために必要なルールや立ち居振る舞いを教えるプロセスです。親から子へ、そのルールを伝える過程は決して平たんではないため、子どもが何度も同じ失敗を繰り返したりすると、親は、「何度言ったら分かるの!」と強い力をかけたくなります。たとえば、ゲームをいつまでも止めないとき。まずはドカンと怒鳴る、それでダメなら頭をゴツンと叩く、最後にはお仕置きとして家の外に出す……。しかしこれらは、心理学的に見ると、しつけとして有効ではありません。なぜなら、

● 親が怒鳴れば、子どもも怒鳴るようになります
● 親が叩けば、子どもも叩くようになります
● 親が子どもを外に出せば、子どもも誰かを外にはじくようになります

親が「しつけの⼀環」として取り入れているこれらの行為を、子どもがマネするようになってしまうのです。「ゲームは宿題が終わってからやる」ということをしつけたかったはずなのに、それを伝えられないばかりか、余計なおまけまでついてきてしまう……。これが、気づかぬうちにやっている「ネガティブなしつけ」です。

「怒鳴る」「叩く」のような強い力は、即効性があるため、「やっぱり怒鳴らないと聞かない」「ちょっとくらい痛い思いをしないとダメなのだ」と解釈され、親は頻繁に使うようになってしまいます。しかし子どもたちは、痛い思いをしたくないから、親の言うことをしぶしぶ聞くのです。でも、それはその場だけ。次回も同じことを繰り返す可能性大です。

しつけは急くと失敗する!「急がば回れ」が効果的

ネガティブなしつけとポジティブなしつけの⼀番の違いは、親の着目点です。
● 子どもの悪い行動を消すことばかりに奔走 → ネガティブなしつけに
● 子どものいい行動を生み出すことに注力 → ポジティブなしつけに

つまり、「○○しないの!」「○○はやめなさい」と、今ある問題行動を否定することにばかり目を向けてしまうのがネガティブなしつけ。逆に、「その代わりに○○しなさい」「こうやってごらん」「ああやってごらん」と新たな対処法を教えてあげるのがポジティブなしつけです。

ポジティブなしつけでは、子どもたちに「何をすべきか」を教えていきます。⼀見、そんなことは当たり前に思えるかもしれません。しかし、実際には、親は子どもに「何をして欲しくないか?」はすぐに言えても、「じゃあ、具体的には何をして欲しいのか?」というとクリアでないことが多いのです。

たとえば、砂場でお友達にすぐ砂を投げてしまう我が子に、「砂を投げないの!」と注意したとします。でもこれだと、何がダメかは分かりますが、何がOKなのかは分かりません。

では、「砂を投げるのはやめなさい。仲良く遊ぶのよ」ではどうでしょう? ⼀見、OKのように見えますが、決定的に欠如しているものがあります。それは「具体性」です。「仲良く遊ぶ」は、大人は理解できても、子どもには伝わりにくいもの。子どもに何かを教えたいときには、具体的に示す必要があります。
「おててのお砂、このバケツの中に入れてごらん」
「お水を入れてコネコネするとおもしろいよ」
「いっしょにおにぎりを作ってごらん」

親の目が、「何をして欲しくないか」に向いてしまうと、「罰を使ってでも、阻止するぞ!」という強い行動に走ってしまいます。大切なのは、「その代わりに何をしたらいいか」を提示することです。子どもたちはまだまだ⾏動のレパートリーが少ないので、親が「こんなこともできるよ」「あんな解決法もあるよ」と可能性を広げてあげる必要があります。少し回り道に見えますが、「何をして欲しいか」を具体的に伝えることで、子どもたちはポジティブに学んでいくことができるのです。

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