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スタッフからの現地便り

秋を感じながら歩く霧島

  • 更新日:2010年04月27日
  • カテゴリ:自然観察
 
■左:ムベ(郁子)の果実 アケビ科ムベ属 別名トキワアケビ、ウベ
関東地方南部から沖縄の山地に生育するつる性常緑樹。4~5月、花弁に見える淡黄緑色の萼をもつ花をつける。果実は10~11月に紫色に熟すがアケビとは違い割れない。名前は大贄(おおにえ:朝廷に献上した物)から転訛した。
■右:カラスウリ(烏瓜)の果実 ウリ科カラスウリ属 別名タマズサ
本州から九州のやぶなどに生育するつる性多年草。8~9月、暗くなってから白いレース状の花をつけ、翌朝にしぼむ。ガによって花粉が運ばれる。果実は楕円形で朱赤に熟す。名はカラスが好む瓜(実際は好まない)、果実の小さなスズメウリに対して大きなカラスとついた、朱墨に色が似ているので唐朱瓜から、など諸説がある。
少し遅めの秋に霧島が包まれ始めた10月下旬の一日。霧島高千穂リゾートランドは、広くて変化のある地形なので、すべてのエリアをまわるのは諦め、今回は朝食前にP街区周辺、朝食後はR街区とV街区を歩くことにしました。
歩き始めると、元々の樹の種類がわからないほど繁ったキヅタの間から、まだ緑色のムベの実が顔を出していました。キヅタの花はもう終わったようで、一面についた実には花柱がツンと顔を出しています。すっかり色づいているのはカラスウリ。葉の落ちた枝から下がった朱色の実はよく目立ちます。
  
■左:シラネセンキュウ(白根川芎) セリ科シシウド属
本州から九州の山地の林や沢に生育する多年草。9~11月、枝先に多数の小さな白色の花を傘状につける。葉柄が袋状にふくらむ。薬用植物のセンキュウに似て日光白根山で発見されたことからついた名
■中:ヌマダイコン(沼大根) キク科ヌマダイコン属
関東地方以西から沖縄の湿地や水辺に生育する多年草。9~11月、白い雌しべが目立つ筒状の花が集まった小さなかたまりを枝先につける。名前は葉がダイコンの葉に似ていることからついた。
■右:ヒメアザミ(姫薊) キク科アザミ属
近畿地方以西から九州の山野に生育する多年草。1~2mになり、8~10月に紅紫色の花をつける。茎や葉が細く、花も小さいことからついた名前。アザミの由来は、美しい花に近づくと刺があり、驚く(あさむ)ことからという説などがある。
  
■左:ミツバアケビ(三葉木通、三葉通草) アケビ科アケビ属
北海道から九州の山野に生育するつる性落葉樹。4~5月、濃紫色で3枚の萼片が花弁のように見える雌花、粒状の雄花をつける。葉は3枚セット。果実は9~10月に紫色に熟し縦に割れる。アケビの仲間で一番大きい。名の由来は果実の色から『朱実』、熟すと果実が開くので『開け実』などの説がある。
■中:サネカズラ(真葛、実葛)の果実 マツブサ科サネカズラ属 別名ビナンカズラ
関東地方以西から沖縄の山野の林縁に生育するつる性常緑樹。雌雄別株または同株。8月、黄白色の花をつけ、秋に集合果が赤く熟す『実が美しい葛』が名前の由来。写真の果実はまだ熟してない。
■右:アオツヅラフジ(青葛藤)の果実 別名カミエビ ツヅラフジ科アオツヅラフジ属
北海道から沖縄の草原や林縁に分布するつる性落葉樹。雌雄異株。7~8月、黄白色の小さな花を数個づつつける。球形の果実は秋に黒色に熟し、表面は粉をふいたようになる。葉はハート型。名前の『ツル』は葛籠を編むのに用いられたことから。茎が常に緑色なので『アオ』とついた。

R街区は途中の谷地から歩き始めました。少し暗い樹々の下にシラネセンキュウの白い花がたくさん咲いていて、その周辺だけ明るく見えます。よく見ると小さな花弁はハートのように切れ込みが入っています。近くにはヌマダイコンヒメアザミが。か弱く見えるヒメアザミですが、やはりアザミ。葉の尖った刺は触ると痛そうです。さらに進むと樹の上の方に実がついています。朝見たムベの実は緑色でしたが、ここでは赤紫色に色づいていました。ミツバアケビも色づき、もう少しで割れて食べ頃です。同じように樹に絡み付いているサネカズラアオツヅラフジは、どちらも丸い実が球状につきますが、赤く色づき始めているのがサネカズラ、黒く粉を吹いたようなのがアオツヅラフジです。
 
■左:マメヅタ(豆蔦) ウラボシ科マメヅタ属
関東地方以南の常緑広葉樹林帯に生育するシダ植物。樹や岩に着生する。小さな肉厚の葉が特徴。良く似ているラン科のマメヅタランは花が咲くが、マメヅタは花をつけず、裏側に胞子がついたへら状の胞子葉(写真では幹右下の縁)をつける。
■右:オオオナモミ(大雄菜揉、大雄巻耳)の果実 キク科オナモミ属
北アメリカ原産の帰化植物。北海道から九州に生育する1年草。8~11月、黄色の小さな雄花と雌しべだけに雌花をつける。果実はフットボール形で刺が密集し、動物などについて移動するので、『ひっつき(くっつき)むし』と呼ばれる。葉を揉んで漢方に用いたナモミより大型なのでついた名前。
 

■左:ナワシログミ(苗代茱萸)のつぼみ グミ科グミ属
本州伊豆半島以西から九州に分布する常緑低木。10月~11月、葉の付け根に黄褐色の花を数個つける。名前は果実が苗代を作る4~5月頃に赤く熟すことからついた。果実は食べられる。グミはグイ(刺)ミが語源。ところどころに刺があり、葉野の表面はつやがあるが裏は銀色をしている。
■右:V街区からの景観
少し暗い林の中では、樹の幹を這い上がるたくさんの小さな葉をよく目にします。シダの仲間のマメヅタです。注意して見ると、へら状の胞子葉も見えます。車が来たので端に除けると、そこにオオオナモミがありました。懐かしくて、まだ熟していない『ひっつきむし』をひとつ服につけて歩きました。
道沿いのナワシログミはつぼみをつけ、そろそろ咲き出しそうです。春には枝という枝に赤い実が下がってきれいだろうな、と考えながら歩いていると明るい場所に出ました。視界が開ける場所が多いV街区、見通しが良い場所からは、ゴルフ場の先に見えるこんもりとした常緑の樹々の上に家並みが見えます。
  
■左:イチイガシ(一位樫) ブナ科コナラ属
関東地方南部以西から九州の山地に成育する常緑高木。4~5月、雌花を新枝の上部に数個ずつつけ、小さく淡緑色の雄花を5~16cmのひも状に垂らす。ドングリは年内に熟し食べられる。若い枝や葉の裏に黄褐色の毛が密集するのが特徴。日本(特に九州)の照葉樹林を構成する重要な樹種。名前の由来は、神聖な木:齋樫(いちかし)、最もよく燃える木(最火樫)、カシの中で一番巨木になる(一位樫)、など諸説がある。『樫』は材が堅いことから。薪炭材や船の櫓などに使われた。
■中:黄色い斑入りのヒヨドリバナ(鵯花)? キク科フジバカマ属
北海道から九州の山野に生育する多年草。草丈は1~2mになる。8~10月、筒状の小さな花を多数つける。森林住宅地を散策していると時々見かける黄色い斑入りのヒヨドリバナ。これは斑入り種ではなく、ジェミニウイルスに感染し、葉緑体が分解され黄色くなってしまった個体。万葉集にも詠まれていて、世界最古の植物ウイルスの記録と言われている。
■右:オオクモヘリカメムシ(大蜘蛛縁亀虫) カメムシ目カメムシ科
本州から九州の平地から低山地に分布する長細く大型のカメムシ。幼虫はネムノキ、成虫はカキやミカン類の果実などを吸汁する。刺激を与えると強烈なにおいを発するので嫌われるカメムシだが、この種は青りんごのようなにおいを放つ。写真の成虫はネムノキの葉の上にいた。

歩いて来たR街区でしょうか。大きなイチイガシの近くでみつけたヒヨドリバナの葉は、きれいに黄色い斑が入っています。時々目にするきれいな葉ですが、実はこれはウイルスに侵された株なのです。どこからか飛んできたタネから芽生えた小さなネムノキの葉の上には、大きなオオクモヘリカメムシが乗っていました。以外にも、このカメムシが放つにおいは青りんご。みつけたら試してみてください。
さて、そろそろ時間です。常緑樹の多い霧島高千穂リゾートランドですが、落葉樹の新緑とはひと味違う常緑樹の新緑を楽しみながら歩くのも良いな、などと想像しながら帰路につきました。
※上記写真はすべて平成21年10月撮影



担当スタッフ紹介

ガイド写真

自然観察指導員1級造園施工管理技士
グリーンアドバイザー

関口 亮子

群馬県前橋市出身、恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒業、現在「むろたに園芸研究所」勤務、設計、草花植栽、園芸講座講師を担当、特に自然風の庭造りを得意とする。

 

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