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スタッフからの現地便り

新たな出合いを求めて

  • 更新日:2009年01月15日
  • カテゴリ:四季だより
■高千穂峰
天上界から、神が地上に降り立ったと言われ、「天孫降臨」の弟一歩をしるした山として知られている。
 新たな出合いを求めて 

何度か訪れている霧島ですが、AからVまである街区ごとに雰囲気が違うので、毎回新たな発見があります。今回はR街区を歩いてみることにしました。
景色の緩やかな坂を下り、まず目に入ったのはムラサキシキブの小さな花のかたまりです。よく見ると紅紫色の小さな花から黄色い雄しべの葯(やく)が顔を出しています。
草原ではオカトラノオの白い花穂が風に揺れ、道端にはネジバナのピンクの花も咲いています。これらは他の場所でも多く目にすることができました。

■左:ムラサキシキブ(紫式部)別名ミムラサキ、コメゴメクマツヅラ科ムラサキシキブ属
日本全土の山野の林床に成育する落葉低木。6~9月に淡紅紫色の花を葉の付け根に多数つける。
9月頃から小さな果実が紫色に色づく。紫色の美しい果実を紫式部にたとえてつけられた名。庭木としてよく植えられているのは、葉の鋸歯が上半分しかないコムラサキシキブが多い。 
■右:オカトラノオ(丘虎の尾、岡虎の尾)サクラソウ科オカトラノオ属
北海道から九州の日当たりの良い草地に生育する多年草。6~7月、白色の花を穂状につける。花びらが5枚あるように見えるが、元はつながっている。穂は一方向に傾く。地下茎でふえ群生することもある。
花穂を虎の尾に見立て、丘などに生えることからついた名
あちらこちらで 道まで枝を伸ばし咲いているテリハノイバラの白い花などを見ながら進むと、木々が茂ってきました。薄暗い林床で目を引いたのはオレンジ色の大きなキノコ、タマゴタケです。色も形も絵に描いたようにきれいなキノコだなと、いつも見とれてしまいます。柄の元に卵のような白いツボは見えませんでしたが、よく似ていて毒を持つベニテングタケとは傘の表面に小さな斑点がないこと、柄に橙色の模様があることなどで見分けられます。
近くにはオオバノトンボソウが小さな花をつけています。見落としてしまいそうな黄緑色の地味な花ですが、よく見ると長い距(萼や花弁にある袋状の突起)を持ち、トンボというより小さな魚のように見えます。
 
■左:テリハノイバラ(照葉野薔薇、照葉野茨)別名ハイイバラ  バラ科バラ属
本州から沖縄の日当たりのよい海辺や河原に多いが、標高の高い山地にも生育する落葉低木。枝は地面をはうように伸びる。6~7月、枝先に芳香のある5弁の白色の花を数個つける。果実は11月頃に赤く熟す。葉い光沢があることからついた名。
■中:タマゴタケ(卵茸)テングタケ科テングタケ属
日本全土の広葉樹や針葉樹林に夏から秋に発生する。卵のような白い幼菌が割れて傘が現れる姿は、卵から生まれたかのように見える。赤から橙色の傘は開くと18cmほどになり、放射状に溝ができる。柄は黄色く橙色のだんだら模様がある。テングタケの仲間は毒を持つものが多いが、タマゴタケは食べられる。ただし、よく似ているので注意が必要。
■右:オオバノトンボソウ(大葉の蜻蛉草)別名ノヤマノトンボソウ、ノヤマトンボ ラン科ツレサギソウ属
本州から九州の林縁や丘陵地に生育する多年草。6~7月、長い距をもつ黄緑色の花をつける。茎には翼状の稜がある。上部の葉は小さいが、下部の2~3枚は大きい。花の形をトンボに見立て、ついた名。

 
かなり暗い林でも目立ったのは、タラヨウのつやのある肉厚の葉です。この葉の裏に字を書くとすぐに黒くなり、そのまま残るので『葉書の木』 とも呼ばれています。枝先に丸い実をつけているのはコガクウツギです。角が生えているようなユニークな形をしています。
さらに木々に覆われた道を歩き続けると、水の音が聞こえてきました。音を目指して進むと、小さな流れが岩の間を流れ落ちています。周囲は湿気があるためか、大きなカタツムリが葉の上で生き生きと動いていました。
 
■ 左:タラヨウ(多羅葉)別名モンツキシバ モチノキ科モチノキ属
本州の静岡以西から九州の湿り気の多い山地に生育する常緑高木。雌雄異株。5~6月、淡黄緑色の小さな花を葉の付け根に多数つける。雌株の果実は11月頃に赤く熟し目を引く。葉は大きく18cmくらいになる。葉の裏に細い棒で字を書くと黒く浮き出すことから、インドで葉に経を書いた多羅葉(ヤシ科)に例えられついた名。『葉書の木』とも呼ばれ、平成9年に郵政省により『郵便局の木』に指定され、各地の郵便局に植えられている。
■右:コガクウツギ(小額空木)ユキノシタ科アジサイ属
本州の伊豆半島以西から九州の山地に生育する日本固有の落葉低木。5~7月、枝先に両性花と3~4枚の白い萼片をもつ装飾花をつける。装飾花の数は少ない。雰囲気がウツギに似ているので、この名がついた。ガクウツギより全体に小型。ウツギとつくがウツギ属ではなくアジサイ属。花の雰囲気はガクアジサイに似る。
 霧の霧島を体験
翌朝、ロイヤルホテルから外を眺めると、一面が朝霧に覆われていました。
霧島は地名の通り霧が多く、この霧は静岡に次ぐ生産量を誇る茶の栽培に欠かせないそうです。
霧も晴れてきたのでゴルフ場の横を歩いていると、街路樹に絡んだキカラスウリがレース状の白い花をつけていました。歩道沿いにはコマツヨイグサの淡い黄色い花も。朝食前のわずかな時間でしたが、テイカカズラなども見ることができました。
 
■左:キカラスウリ(黄烏瓜)ウリ科カラスウリ属
北海道南部から九州のやぶや林縁に生育するつる性多年草。雌雄異株。7~9月に咲く花は縁が糸状に細かく裂けて10cmにもなる。果実は直径10cmほどの球形でカラスウリより大きく黄色く熟す。根からとれるデンプンは天瓜l粉(天花粉・テンカフン)として汗疹も薬になる。カラスウリ(カラスが食べ残した瓜という説がある)の仲間で果実が黄色いことからついた名。
■右:コマツヨイグサ(小待宵草)アカバナ科マツヨイグサ属
北米原産の帰化植物。荒地などに生育し、特に海辺に多い多年草。地面をはうことが多く、あまり立ち上がらない。葉の縁は波状に切れ込むものが多い。春から淡黄花をつける。花弁はハート型で4弁だが、重なることが多い。昼開花する。マツヨイグサの中で小型なのでついた名。
 
 草原は昆虫の楽園
U街区の南向きの斜面からはネムノキ越しに遠くの山並みが見え、天候が良ければ桜島が見える場所もあります。
草原で立ち止まり目を凝らすと、バッタやカマキリなど、たくさんの虫がいることに気がつきました。今回はちょっと変わった鮮やかな虫が葉の裏に隠れていたので、戻ってから調べて、専門家にも確認していただいたところ、黒と黄のはルリモンホソバ、白地に赤はアカスジシロコケガでした。
きれいな色をしている蛾の仲間です。目線を変えると、普段は気がつかない植物や昆虫に出合うことができます。

■左:ルリモンホソバ ヒトリガ科コケガ亜科
九州南部から沖縄に分布。成虫は春から秋に出現する。比較的珍しく。宮崎県では準絶滅危惧種。写真では黒く写っているが、実物は名前にあるように瑠璃色で光沢がある。
■右:アカスジシロコケガ ヒトリガ科コケガ亜科
北海道から沖縄に分布。成虫は5~9月に出現する。夜行性。幼虫が地衣類を食べるのでついた名。雄の黒紋は2個並び、雌は1個でヒトテンアカスジコケガによく似る。

★番外編 
『針葉樹の葉』
細長い葉の中でも最も細長いのは、森林住宅地の中でもよく目にするマツの仲間です。一般的なアカマツとクロマツの葉は2本の葉が1枚セットになっていますが、マツの仲間には3本、5本のものもあります。いずれも葉を閉じたときの断面は円形になります。クロマツとアカマツの見分け方は樹皮が黒っぽいのがクロマツで海岸部に分布し、赤っぽく内陸部に分布するのがアカマツです。

 また、クロマツは雄松、アカマツは雌松とも呼ばれます。これはクロマツがアカマツに比べ荒々しく、葉が硬いことによります。マツはスギなどど共に、針葉樹と呼ばれますが、針葉樹でも針状ではなく、鱗状の葉(鱗片葉)をもつものもあります。樹皮が寺社などの屋根の檜皮葺き(ひわだぶき)に用いられるヒノキなどです。よく似ているヒノキとサワラやアスナロは、葉の裏の白い模様(気孔帯)で見分けることができます。白い筋があまり目立たなくY字状形なのがヒノキ、X字形がアスナロです。どれかな?と思ったら葉の裏を見てみましょう。

■左:アカマツ(赤松)別名メマツ、オンナマツ マツ科マツ属
北海道から九州の山野に生育する常緑高木。10cmほどの葉が2本ずつセットになる。4~5月に新枝の脇に雄花を多数、先端に雌花を2~3個つける。球果(まつぼっくり)は翌秋に熟す。樹皮が赤みを帯びるのでついた名。
■右:ヒノキ(檜、桧)の葉裏 ヒノキ科ヒノキ属
本州から九州の山地に生育する日本固有の常緑高木。4月頃枝先に楕円形の雄花と球形の雌花をつける。葉は鱗片状。樹皮は檜皮葺きに、材は香りがよく、美しく、腐りにくいので古くから木造建築に使われてきた。材をすりあわせて火をおこしたことから『火の木』が名の由来。ヒノキは葉の裏の白い気孔帯がY字形(蝶ネクタイのよう)、アスナロはW字形(『小』の字を逆さにしたよう)

★写真集

■左:ネジバナ(捩花)別名モジズリ ラン科ネジバナ属
日本全土の日当たりのよい草地や芝生に生育する多年草。5~8月、淡桃色と白色の小さな花をつける。なかには白い花の株もある。よく見るとランの仲間だとわかる花が花茎にねじれてつくことからついた名。
別名は『もじずり』という乱れ模様の織物に由来するといわれる。ねじれ方は右巻きも左巻きもある。
■中:カタツムリ(蝸牛)別名マイマイ、デンデンムシ オナジマイマイ科やニッポンマイマイ科など陸にすむ巻貝の総称
日本には700種とも800種ともいわれるほど多くの種類のカタツムリが生息している。多くは右巻きだが、左巻きもあり、種類を見分ける重要なポイントとなる。写真の固体は右巻き。種類は不明。
カタツムリは1匹が雌雄の生殖器官をもつ(雌雄同体)。
■右:テイカカズラ(定家葛)別名マサキノカズラ キョウチクトウ科テイカカズラ属
本州から九州の常緑樹林の林床や岩場などに成育するつる性常緑樹。付着根で樹木などにはい登る。
5~6月、筒状で上部が5裂した香りのある花をつける。花弁はスクリューのようにねじれ、白色から淡い黄色に変化する。名の由来は、藤原定家の墓に生えたからという説や。式子内親王を慕う藤原定家が葛となって墓石に絡みつくように生えたから、などの説がある。

■左:キダチニンドウ(木立忍冬)別名トウニンドウ スイカズラ科スイカズラ属
本州から沖縄の沿岸地の林縁に生育するつる性半常緑樹。5~6月、筒状で大きく2列し、くるりと巻く花を枝先に2~6個つける。花は香りがあり、はじめは白色、後に黄色に変わる。忍冬は中国名で、葉が冬でも緑色なのでついた。よく似るスイカズラは花の付け根に葉状の2枚の葉がつくが、キダチニンドウはつかない。
■中:ナワシロイチゴ(苗代苺)別名サツキイチゴ バラ科キイチゴ属
日本全土の日当たりのよい山野に生育する落葉小低木。キイチゴの中でも多く見られる種。5~6月、紅紫色の花が上向きにつく。萼は開くが満開でも花弁は閉じたまま。苗代を作る頃に果実が赤く熟すのでこの名がついたが、夏にもできる。
■右:アカメガシワ(赤芽槲、赤芽柏)の雄花 別名ゴサイバ、サイモリバ トウダイグサ科アカメガシワ属
本州から沖縄の山野に生育する雌雄異株の落葉高木。6~7月に枝先に円錐状の花をつける。雌花の花柱が紅色、雄花は淡い黄色。果実は熟すと黒い種子を出す。新芽が赤く、昔はカシワの葉と同様に食べ物をのせていたことからついた名。別名は五菜葉、菜盛葉。

■左:ノササゲ(野豇豆)別名キツネササゲ マメ科ノササゲ属
本州から九州の山地林縁に生育するつる性多年草。葉は裏面が白っぽく、3枚が1セット。8~9月、淡黄色の蝶形の花をつける。豆科は熟すと紫色になり、3~5個の種子が入っている。名は野に生えるササゲの意。
■中:ヤブガラシ(薮枯らし)別名ビンボウカズラ ブドウ科ヤブガラシ属
北海道西南部から沖縄のやぶなどに生育する多年草。7~9月、緑色の花をつける。橙色のものは花盤と呼ばれ、朝開き午前中に花弁と雄しべが落ちたあと、徐々に紅色に変わる。葉は5枚がセットでつき、付け根の反対側に巻きひげが伸びる。やぶなどに生え、覆いかぶさって他の植物を枯らしてしまうほど繁殖力が強いことからついた名。
■右:U街区からの眺望
ネムノキ(マメ科ネムノキ属)越しに山並みが見える。霧の時は雲上人になったような気分を味わえそう。


〔上記写真はすべて平成20年7月撮影〕

担当スタッフ紹介

ガイド写真

自然観察指導員1級造園施工管理技士
グリーンアドバイザー

関口 亮子

群馬県前橋市出身、恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒業、現在「むろたに園芸研究所」勤務、設計、草花植栽、園芸講座講師を担当、特に自然風の庭造りを得意とする。

 

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