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前号:子どもの個性② 活かすもつぶすも親次第!?
子どもの個性シリーズの第3回目は、兄弟間の個性にフォーカスを当てていきます。2人目が生まれたときに、親がはまりがちな落とし穴とは? 個性の違う兄弟を育てるときに親が気をつけるべきポイントとは? 育児でついやってしまう「兄弟を比較することでの悩み」を解消する方法をお伝えしていきます。

第一子育児で、親は赤ちゃんにしつけられる!?

「上の子のときは、これで上手くいったのに……」
「下の子には全然通用しない……」
非常によくあるお悩みです。なぜこのようなことが起こるかというと、親は、第一子の育児を通し、「子育ての定型」を作り上げるからです。

1人目の子育てはだれもが手探り状態。必死になって、その中に「規則性」を見つけようとします。
● 赤ちゃんが笑ってくれた→「よし、この手は使える」
● 泣き止んでくれない→「これは却下…」
我が子に「OK」をもらえるまで、あの手この手を試します。この過程で、親は「○○のときには○○が効く」というテンプレートを作っていくのです。

アメリカのパターソン博士らが、著書の中で、「親が赤ちゃんをしつけるのではなく、赤ちゃんが親をしつけるのだ」と言っていますが、まさにその通り。
赤ちゃんは生まれたその日から、「泣く力」を駆使し、親が自分向きになるように導いていくのですね。

必死になった分、そのテンプレートは深く刻まれます。そこに第二子が誕生すれば、「そうだ、あのときのテンプレートで!」となるのも無理はありません。

生まれたその日から違う道を通っている

しかし、同じ親から生まれた兄弟であっても、同じ人間ではありません。だから、見た目は似ていても、気質的には大きく違うことがよくあります。
2人は、人生の「スタート地点」も「歩むルート」も一緒ではないのですね。

これを駅への道のりに例えてみましょう。最寄りの駅に行くルートは、たいがい1つではありません。
急坂があるけれど最短の徒歩ルート。回り道だけれど平坦な自転車のルート。どれを好むかはその人によって違います。

気質的に穏やかなお兄ちゃんなら、穏やかな道のりを好むかもしれません。アクティブで積極的な弟は、ぐいぐいと攻める人生を選ぶでしょう。
なぜなら、それがその子の気質に合っているので、心地がいいからです。親に求められるのは、その子それぞれの気質に合った接し方です。

兄弟それぞれの気質の違いを可視化してみよう

それを見出すのに役立つのが、前号でご紹介した「その子らしさチェックシート」です。
前回は「親子比較バージョン」でしたが、今回は「兄弟比較バージョン」です。前回同様、各項目をチェックしてみてください。

チェックし終えたら、次の切り抜きを見てください。例えば、結果が次のようになったとしましょう。

この場合、気性が穏やかな上の子の育児を通し、親は早い段階で、「赤ちゃんとはこういうものだ」というテンプレートを作ります。
しかし数年後、下の子が生まれると、それが大きく覆されることになります。
事あるごとに泣き叫ぶその姿は、上の子のときとのあまりの違いに、「まったく理解できない! どうして上手くいかないの?」ということに。

親が兄弟比較をしやすいのはここ!

兄弟間の個性の違いを理解し、接し方を変えるには、チェックシートで出た「2つ違い」の項目をまずピックアップしてください。「2つ違い」とは、
● お兄ちゃんは規則的、でも、弟は不規則
● お姉ちゃんは遅い、でも、妹は早い
のような、対極的な違いを指します。親はこの項目にフォーカスを当てていきます。

しかし、単純にフォーカスするだけでは、事は解決しません。
なぜなら、だれでも「規則的」「笑顔」のようなポジティブな側面が好きですし、「ルーズ」「意地っ張り」のようなネガティブな側面にはイライラします。こんな私たちの「ひいき目」をニュートラルにしていくための工夫が必要です。

「お兄ちゃんの順応の遅いところを受け止めていこう」
「下の子の気難しい部分をきちんと理解してあげよう」
のように、「私が上手く接していく必要があるのは、○○ちゃんの○○なところ」と具体的な形に落とし込んでみてください。
そうすることで、気持ちが一歩ニュートラルに近づき、何にフォーカスすべきかが見えてきます。

兄弟間の違いに上手く向き合う3つのコツ

親が気をつけるべきポイントが分かったら、次は、それに対しどう向き合っていくかです。
つまずきがちなポイントを3つ挙げましたので、1つずつ自問し、上手く向き合うコツをつかんでください。

1. 「親の主観で判断していないか?」
物事の見え方はそれぞれ違います。「上の子にはこう見えているが、下の子にはこう見えている」とそれぞれの"感じ方"や"見え方"を理解してあげることが非常に大切です。

2. 「お下がりを使っていないか?」
洋服なら、お古もOKですが、子育てではNGです。下の子が生まれたら、その子専用のテンプレートを作ってあげましょう。

3. 「子どもを変えようとしていないか?」
上手くいかないとき、子どもに強く当たっても、その子は変わりません。変えられるのは、その子の個性ではなく、親のアプローチです。その子の色を変えようとせずに、親がその子に合った色を見つけてあげることで、必ず突破口が開けます。

来月は「子どもの個性シリーズ」の最終回。
個性に向き合うことの難しさがもたらす「育児ストレス」に目を向け、親が自己嫌悪に陥らないための策についてお伝えしていきます。

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