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前号:子どもの個性③ 兄弟間の個性の違い、親はどう向き合うべき?
「子どもの個性シリーズ」の最終回は、個性と向き合うことの難しさがもたらす「育児ストレス」にフォーカスを当てます。親が感じやすい空回りの原因やその対処法について、アメリカの研究データを交えながらお伝えしていきます。

育てやすい子、そうでない子がいる現実

「うちの子は、どうしてすぐに泣いてしまうの?」
「〇〇ちゃんはできるのに、なぜうちの子はできないの?」
このように、まわりのお子さんと比較し、「私の育て方のせいだ」と責めてしまうことはありませんか? でも待ってください。同じことをしても、同じようにならないのが育児なのです。なぜなら、そこには、子どもそれぞれの個性の違いがあるからです。

子どもには、もともと育てやすい子と、そうでない子が、一定の割合でいることが分かっています。「子どもの個性①」でご紹介したニューヨーク大学の気質研究では、「9つの気質」のほかに、「子どもの気質別4タイプ」も導き出されています。それをここでご紹介しましょう。

このように、もともと「扱いやすい気質の子」「気難しい気質の子」「ゆっくりと適応する気質の子」「平均的な気質の子」の4タイプが存在するというのが現実なのです。
親が同じように接しても、同じようなリアクションが返ってくるわけではないのですね。
「扱いやすい気質の子」の子育ては、なめらかに進む日々の育児に、親としての自信を感じやすいのに対し、「気難しい気質の子」の子育ては、思うようにいかない毎日に、つい自分たちを責め、思い詰めてしまう傾向があります。
実際には親業として差異がないかもしれないのに……。

「頑張っているのに上手くいかない」という空回りを起こさないために

もともとの気質があって、そこに親が関わっていくという子育ての現実を忘れ、上手くいかないと「自分のせいだ」と責めてしまうのは非常にもったいないことです。実際に今、自信を失っている方、時々その波がやってくる方、ぜひ、次の「子育ての方程式」を心に留めてほしいと思います。

その子の個性×親の個性×親の接し方=現状

かけ算というのは、お互いが絡み合っています。かけ合わせるもの1つ1つが、答えを変えるほどの影響力を持っているのです。つまり、「親の接し方はとても影響力があるが、100%の影響力を持つものではない」ということです。

その子にはその子の「色」があります。もしその子の個性が「緑」だったら、黄緑や深緑になることはあっても、それが赤になったり、白になったりすることはありません。親がたとえ「白」の個性を持っていても、真っ白にすることはできないのですね。

親子でハッピーになれる上手な向き合い方3つのポイント

では、親はこの条件下で何をすべきでしょうか?
お子さんがどのタイプであっても、大事なのは、「できることをすること」です。「そんなことは当たり前だ」と思われるかもしれません。でも、実際には、敵わない相手と悪戦苦闘してしまっているがために、育児ストレスを起こしているケースが非常に多いのです。次に子どもの個性と上手に向き合うための3つのポイントをまとめましたので、ご参照ください。

① 自分は何と向き合うべきなのかを見極める
育児においては、変えられるもの、変えられないものがあります。これまでのカウンセリングの経験で感じているのは、多くの親御さんが、「変えられないものを変えようとしてエネルギー切れを起こしている」ということです。変えることが可能か否かという見分けを正しくすることで、空回りを防ぐことができます。

② 変えられないものは受け入れるしかない
変えられないものの代表が「個性」です。「引っ込み思案の子が一晩で積極的な子に変身する」というようなミラクルは起こりません。個性に対しては、「受け入れる」「見守る」「理解する」ことで、親は穏やかな気持ちを保てるようになり、子どもは自己肯定感を育むことができます。

③ 変えられるものに対して働きかける
変えられるものの代表は「親の接し方」です。「親の接し方は100%の影響力を持つものではない」と上に書きましたが、だからと言って、気を抜いていいものではありません。「うちの子、ちょっと気難しいな」と感じている方は、適切な接し方をしないと、手に負えなくなってしまいます。また、育てやすい子の子育ても、実は手を抜けません。このタイプの子は、文字通り「育てやすい」ので、親は振り返りが少なくなる傾向があります。たとえ子どもに対しNG発言をしていても、そのミスが目立たずに進んでしまう可能性があるのです。

「子どもの個性と向き合う」というと、子どもの方へ目を向けがちです。しかし、本当に大事なポイントは、親自らの接し方を振り返ることにあります。子どもの個性を受けとめ、それに対し自分に何ができるか、それを見極めることこそが「子どもの個性と向き合う」ことにつながっていきます。

これまで4回にわたりお伝えしてきた「子どもの個性との向き合い方」、いかがでしたか? 結局は、どの親にとっても、大事なのは「接し方を磨くこと」なのですね。煮詰まりそうになったら、自分を責める気持ちはいったん横に置き、お子さんの個性との相性を見極めることに全力を注いでみてください。そうすることで、必ず前に進むことができるはずです。

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