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よく育児書に「その子の個性を大切に」と書いてありますが、この言葉に悩まされた経験はありませんか? 「そもそも個性って何?」と。これから4カ月に渡り、その疑問に答えつつ、子どもの個性にどう向き合っていくかを心理学的にお伝えしていきます。初回となる今号は、子どもの個性の“材料”となる9つの側面について。アメリカでの心理学研究をご紹介し、個性の理解を深めていきます。

親を悩ます「個性」という言葉

育児本を読んでいると、必ずや出会うあいまいな言葉の代表例、それが「個性」。「子どもの個性を受け止めてあげましょう」「その子らしさを大切に」と書いてあると、その時は納得できるのですが、いざ我が子と向き合うと、具体的に何をどうしたらよいのか分からなくなることがあります。

「我が子の個性を受け止めたい」と思っていても、そもそもの定義があいまいだと、育児が空回りしてしまいます。それどころか、自分がやっていることが正しいのかどうか、疑問ばかりが心に残り、ふがいなさや自己嫌悪さえ感じてしまいかねません。

心理学で「個性」を分解してみよう

そんなつかみどころがない「個性」も、心理学的に見ればグッと分かりやすくなります。
ここでは、子どもの個性に関する研究で外すことのできないアメリカの研究データをご紹介しましょう。

ニューヨーク大学のトーマス博士らが見出したのは、人間には9タイプの気質的な特徴が幼少時の段階ですでに備わっているということ。
この9つの特徴がその子らしさを形作っています。早速、個性の材料となる9つの側面を見ていきましょう。

9つそれぞれのバランスで決まる「個性」

個性の中身が分かったところで、その理解を深めるために、ケーキ作りを例にして解説を加えていきたいと思います。
ケーキの主な材料である、小麦粉、砂糖、卵、バター。これを混ぜ合わせて焼けば、スポンジケーキができあがります。しかしそのレシピは星の数ほどあり、分量をたった10g変えるだけで、焼きあがったときのふくらみ、甘さ、口に入れたときの食感などが変わってきます。感覚的には、個性のでき方もそれと同じ。材料は一緒でも、9つそれぞれのバランスがその子によって異なるので、全く違った「個性」が出来上がります。
1~9の要素が全て入っているものの、それぞれの重みが微妙に違うことで、その子らしい「味」が出てくるわけです。

親が求めるのは我が子専用の育児書

診断などでは、この9つの気質的な特徴を、「高い・普通・低い」の3段階で測定したりしますが、実際には、同じ「高い」でも微妙なレベル差がありますから、その組み合わせは無限大です。この世に同じ個性を持った人間が存在しないのは当然なのですね。

これほど違う個性に対し、「6カ月の子の様子」「1歳児の発達の目安」と見開き1ページでまとめあげてしまうのは、いささか無理があるのはお分かりいただけるでしょう。個性が違えば、成長も違う、理想的な接し方も違う、だから育児書通りにいかないことがあるのは当然なのです。

親が本当に欲しているのは、「うちの子にぴったりな接し方」ばかりが書いてある、我が子専用の育児書です。これこそが、個性と向き合うために必要なのですね。
次号では、その「ぴったりな接し方」を見出すヒントとなる「個性との向き合い方」についてお伝えしていきます。
お子さんの個性を、実際にチャートを用いて分析しながら、接する際の注意点などを具体化していきたいと思います。

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