住宅業界では「家は3回建てて初めて満足のいく家ができる」といわれます。
これは、何度か建てて住んでみないと、
家の実質的な住み心地はわからないという家づくりの難しさを示しています。
しかし、多くの方にとって、家は一生に一度の大きな買い物のはず。
せっかく建てた家に後悔しないよう、「後悔しない家づくり」のコツについて、
大和ハウス工業の野口豊樹が解説します。
Profile
大和ハウス工業株式会社
東京本社住宅事業本部住宅商品開発部戦略室 商品企画グループ
野口 豊樹
木造住宅のプラットフォーム商品であるxevo BeWood開発、2018年ウッドデザイン賞、2008年・2017年にはデザイナーとしてグッドデザイン賞受賞。
後悔しない家づくりのコツとは？
一生に一度のマイホーム。「家づくりに後悔したくない」という思いから、「あれもこれも」とこだわりを詰め込みたくなるのは当然のことでしょう。注文住宅は建てる方の理想を存分に間取りに反映できる反面、「住み心地」という視点が抜け落ちてしまうリスクもあります。こだわって建てたはずの家なのに、いざ住んでみたら使い勝手が悪かった…といった事態は避けたいものです。
それを防ぐ方法は、数多くの家づくりの経験を持つ設計士のアイデアを最大限に引き出し、活用することです。注文住宅を数多く手掛けてきた設計士は、家を建てる方が陥りがちな課題やニーズを熟知し、思わぬところから設計アイデアを生み出し、解決するプロです。そんな設計アイデアをいくつかご紹介します。
アイデア①「窓から光を取り入れたい。でもプライバシーも守りたい」相反するニーズをかなえる設計テクニック
家づくりの打ち合わせの中でよく上がるのが「窓から光を取り入れたい。だけど、プライバシーは守りたい」というご要望です。たっぷり光を取り込もうと、単に大きな窓を設計しても、外からの視線が気になって一日中カーテンを閉めて過ごすことになっては快適な住み心地にはつながりません。こうした、一見相反する2つの希望をかなえつつ、建物の美しさも追求した設計手法をご紹介します。
イメージ図のように、天井近くまで窓を上げて、欄間のように窓を設ける手法があります。視線の気になる高さの窓の設計は最小限にとどめ、上に窓を集約させることで、プライバシーに配慮しながら採光を確保しています。
デザイン的なメリットもあります。窓の高さや列を上記イメージ図のように整理することで美しい壁面が現れ、ファサード（外観）の印象がスタイリッシュに整うのです。また、外から見たときに、屋根の軒天と室内の天井が同じ高さにそろうため、建物の内と外が緩やかにつながり、心地良いたたずまいを生み出します。
アイデア②シンプルかつ上質な外観で「わが家」への愛着を育む
家を建てるときには、間取りや広さ・設備など、家の内側にどうしても意識が行きがちです。もちろん、それも大切ですが「外から見たとき」の目線も加えて設計すると、より満足度の高い住まいが出来上がります。
例えば、住まいの「顔」となる外観。デザイン嗜好性調査や弊社のアンケート結果などを見ても、外観のトレンドは「シンプル」がキーワードでした。上記イメージ図のようにシンプルだけど奥深い趣がある…そんな無駄のない造形美は、外壁をゴツゴツさせず、手仕事の風合いを生かした滑らかな塗り壁でシンプルに仕上げることでも実現できます。
大和ハウスは、素材の上質さにこだわり、独自の塗り壁を開発しました。繊細で滑らかな塗り壁は樹木の陰影を美しく映し出し、道行く人も引き立てるスクリーンとなります。地域の方から「素敵な家だな」と感じてもらえることで、より一層街並みに溶け込み、住む人も時がたつにつれて、わが家への愛着が増していくはずです。
こちらの家のように、美しい塗り壁を引き立てるために庇を取り払うのも手法の一つです。ただし、雨に濡れないように玄関を内に入れ込ませて、機能面でも使いやすくデザインしています。
アイデア③家の中と外、全体のバランスを美しく整える
住宅密集地のようにプライバシーの確保が難しい立地では、「外」に閉じ、「内」に開く空間デザインの手法として、建物の中央に中庭を設けるのも一案です。壁や軒先に切り取られた青空を眺めながら、地面に植えられた樹木の木洩れ日や、風にそよぐざわめきを都市の中で体感することもできます。全体を一つの箱としたシンプルなシルエットを、光や陰影を美しく表現するきめの細かい塗り壁で仕上げることで、印象的な外観にデザインしています。
経験豊富な設計士だからこそ思いつくデザインの数々。注文住宅ではもちろん実現できますが、ダイワハウスでは一部の規格住宅でも、設計士の知見を生かしたプランを展開しています。
トップ建築士の知恵の結晶。
「大和ハウスのスマートセレクション」とは？
2023年10月に販売を開始した規格住宅の「大和ハウスのスマートセレクション」は、豊富な数の間取りプランの中から理想の暮らしに近い間取りをセレクトし、プロが厳選した外装・内装・住宅設備のパッケージからお客さまがお好みのものを選んで組み合わせる新しい住まいの建て方です。
大和ハウスのトップ設計士集団「ハウジングマイスター（社内資格）」が、過去に建てた設計プランのちょっとしたクセ＝オリジナリティに、使い勝手やコスト、デザイン性などの観点から調整を加え、多くの方が住みやすい間取りへと仕上げしました。ちょっとした調整が間取り全体のバランスに影響を及ぼすこともあるため、一つひとつの間取りを詳細に検証して、調整を重ねました。
ダイワハウスの特長の一つである大開口・大空間、耐震性・耐久性・快適性、長期保証、ZEHの標準仕様はそのまま。現在は675プランですが、さらに多様なニーズに応えるべく、今後は1000プランまで拡充予定です。
注文住宅を建てたいけれど「すべてイチから決めるのは大変」という声も聞かれます。その点、大和ハウスのスマートセレクションは、家づくりのプロの知恵が凝縮されているので、決められた時間と予算の中で理想の住まいを最短で手に入れたいという方にはぴったりではないでしょうか。
まとめ
3D VRシミュレーションを用いて、建材の色や収納の大きさといったカスタマイズもボタンひとつで納得の行くまで選べるので、住んでからの「こんなはずじゃなかった」を減らしてくれるはず。設計士のアイデアが凝縮された「大和ハウスのスマートセレクション」「大和ハウスのスマートデザイン」で、後悔のない理想の家づくりを実現してみませんか。
