ダイワハウスでは、「日本の住まいにおいてどんな暖房の悩みがあるのか?」を調査すべく、
最も寒さの厳しい1月期にアンケートを実施しました。
今冬、寒かったエピソードの中から、
次の冬こそ暖かく快適に過ごせるよう、ヒントを探ってみましょう。
調査時期 | 2022年1月4日~1月17日 |
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調査対象 | My House Palette メールマガジン会員 |
有効回答数 | 644件 |
調査方法 | My House Palette メールマガジンでのアンケート |
Q1. 冬の住まいにおいて、
どの部屋で寒さを感じることがありますか?
まずは家のどの部屋(部分)で寒さを感じるのか尋ねました。その結果、なんと「家全体」と答えている人が30%もいることがわかりました。「特にない」は3%と極めて少なく、逆算すると97%の人はなんらかの寒さを住まいの中で感じていることになります。
場所ごとに見てみましょう。「洗面・脱衣所」が52%と最も多くなっています。同様に「トイレ」や「廊下」「玄関」も高い割合になっています。「洗面・脱衣所」では裸になるから…といった点を差し引いても、これらの空間に共通して寒くなる理由とはなんでしょうか?
寒さを感じる具体的な場面を尋ねたところ、「常時居る場所(リビングなど)はそれなりに暖房をしているのでそれほど寒さは感じないが、浴室(特に脱衣所)やトイレは常時暖房をしていない」といったコメントが多数、見受けられました。居室以外の空間で寒さを感じる人の割合は実に92%。ダイニングやリビングなど常に人がいる空間は暖房をつけて暖めているけれど、そうではない部屋(部分)は共通して、寒さを感じるペインポイントとして認識されているようです。
「脱衣所が寒く風呂に行きたくなくなる」「部屋は暖かいが、洗面所や脱衣所が寒く子どもがお風呂に入るのを嫌がる」「とにかく脱衣所とお風呂が寒くてヒートショックが心配です」といった声もあり、住まいの寒さが暮らしや健康にまで悪影響を及ぼしている可能性も否めません。
Q2. 住まいの暖房においてどんな不満や悩みがありますか?
Q1では体感的な「寒さ」と「部屋」の関係について尋ねたのに対し、次は暖房設備や個々の暖房機器などに感じている不満や悩みを伺いました。
ここでもQ1でのポイントを裏付けるかのように、暖房設備全体の悩みとして「居室以外の箇所(廊下・玄関・階段など)が寒い」が50%で最多となっており、居室とそれ以外の温度差に関連する悩みの深さを表しています。
それでは全部の部屋に暖房機器を入れればいいのかというと、「暖房機器を使うと光熱費が高くなる」が40%と2番目に高くなっており、Q1でも「省エネで特定の部屋しか暖めていないので、それ以外は寒くなる」といった意見が散見していました。「寒い」けれども「光熱費が上がるから暖房機器を使いたくない」というジレンマに、打ち手なし…と諦めて寒さを我慢する人を選ぶ人も多そうです。
その次に多いものとしては「部屋の中で寒暖差がある」が29%弱、「家の断熱性能が悪いため、暖房の効きが悪い」28%が続きます。その他、近年のお悩みとして、「換気をしたいが窓を開けると一気に室温が下がるのでできない」21%は、コロナ禍を経てさらに意識が高まった習慣。換気したほうが良いとわかっていても、いざ実行するとなると、あまりの寒さにためらってしまうこともありますよね。
Q3. 住まいの暖房において、
今後改善したいことはありますか?
冬の住まいにつきまとう寒さの悩みから解放されるために、今後検討している改善策について尋ねました。
「暖房機器の買い増し・買い替えをする」33%が最も多く、現実的かつ即効的に状況を改善する方法として選択されています。
一方、「断熱性能を上げるリフォームをする」25%をはじめ、「高断熱の家に建て替える」12%、「住み替える」16%といった回答もあり、足し合わせると決して少なくない割合の人が、思い切った改善を検討していることがわかります。
高断熱の家は、Q2でもネックになっていた光熱費が上がるのが嫌だから暖房機器を使いたくない、部屋の中で寒暖差がある、といった悩みにも有効です。せっかく暖房で暖めた空気も、逃げてしまっては無駄になります。むやみに暖房をつけるというよりは、寒くならないようにする。そのような視点の転換が、効率的な寒さ対策のヒントになるのではないでしょうか?
しかしながら、「特にない」33%を選んだ人も依然、高い水準になっています。寒さは毎日身を置いていると慣れてしまうものでもあります。感受性が鈍ってしまっても、前述のように自分以外の家族の暮らしや健康を脅かしている可能性も考えながら、時には住まいを見直すことも必要です。
Q4. 暖房/冷房手段の一つ「全館空調」とは何か、
ご存じですか?
ここで、個々の暖房機器ではないアプローチの一つとして、「全館空調」の認知度について尋ねてみました。「内容まで知っている」「名前だけ知っている」を足し合わせると71%となり、多くの人が多かれ少なかれ意識しているようです。
全館空調とは、家じゅうの空気を快適な温度/湿度に調整する空調システムのこと。換気・空気清浄・冷暖房を24時間、一括で管理できるというメリットも持ち合わせています。
多くの人の悩みである居室とそれ以外の温度差を解決する方法、そしてウイルス感染リスク回避のために換気を常時行う方法としても理にかなっていると言えますが、実際の導入意欲についてはどうでしょうか?
Q5. 暖房/冷房設備として、
「全館空調」を導入したいと思いますか?
「わからない」30%を筆頭としながら、以降は答えが分かれています。それぞれの理由も見ていきましょう。
思う
- 今住んでいる家も全館空調を入れて快適に過ごしているため、次に家を建てる時も必ず入れる
- いちいち寒いから暑いからとエアコンをつけたり扇風機を出したりするのが面倒だから
- 小さい子どもがおり、戸を開けっ放しにしていろんな部屋に行って遊んだりするので、家全体が暖かいと寒さをあまり気にせず自由に遊ばせてあげられるから
- 年を取ったら、寒さに弱くなった
- 戸別に暖房機器やエアコンを導入するのも良いが、ランニングコストなどを考慮すると全館空調もだいぶお得になりつつあるため、導入した後のコストもそんなに高くないところが決め手である
どちらかというと思う
- 一括管理は面倒くさくなくていい
- 全館空調だと常に快適な温度で、廊下や脱衣所まで暖く生活しやすいと思うため。ただ、光熱費がとても高くなりそうなので、現実的には難しいかなと思う
- 見た目もスッキリするし、快適な温度で保たれるから
- 費用がどのくらいかかるか不安
思わない
- 電気代が高くなる
- 子どもには寒暖差がわからない子に育ってもらいたくない
- 一部屋にしか人がいない時もあるし、全館空調が必要なのかな?窓を開けたい時は?
- 機械のメンテナンスや故障時の対応が不安
- エネルギーが無駄になりそうだから
わからない
- 初期投資とランニングコストが気になる
- 電気代がかかりそうだし、具体的なイメージが湧かない。メンテナンスも大変そう
- 管理をするにしても、スイッチのオンオフくらいは人の手だと思うが、自分はうっかり者なので、せっかくの高機能も宝の持ち腐れになりそう
- 建て替えレベルの大工事が必要な感じがするから
こうしてみると、全館空調にはさまざまなご意見・考え方があることがわかります。とはいえ、導入をためらう側の意見としては、費用がいくらになるかわからない、なんとなく高そう…といったあいまいなイメージ、理解不足によるところが大きいようにも見受けられます。
一方、導入に前向きな側の意見としては、ご自身や周囲の人が経験済み、あるいは相場を知った上で、コストとパフォーマンスを判断している人が一定数みられました。どちらにしても、詳しく知らないがゆえに不安に思う部分、誤解している部分、あるいは勝手に期待してしまっている部分などは当然あることでしょう。
人それぞれに寒さの感じ方や、メリットと思う点、地域の特性や住宅のコンディションによる費用感も異なるので、一般論で一概に判断しようとせず、じっくり調べてご自宅で導入したらどうなるのか?を確認してから要・不要を判断してみるのも良いのではないでしょうか。
まとめ
今回ヒントとして出てきた「高断熱の家」や「全館空調」は冬の暖房のみならず、夏の冷房においても有効なアプローチです。導入にあたり、建て替えや住み替えなどを検討する際には、空調効果を最大限に高められるよう、住宅設計のプロに相談してみるのもおすすめです。