ダイワハウスでは家事に関するアンケートを実施。
今回は実質的な家事の負担量とは関係なく、
「どのぐらい苦痛を感じるか?」という主観的な観点から、
就業形態などの属性別に夫と妻の回答を分析し、根深き家事問題に迫りました。
調査時期 | 2023年4月18日~4月27日 |
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調査対象 | My House Palette メールマガジン会員 |
有効回答数 | 522件 |
調査方法 | My House Palette メールマガジンでのアンケート |
Q1.家事に苦痛を感じることはありますか?
回答者全体では、約7割が「ある」、約3割が「ない」という結果でした。属性ごとに細かく傾向を探ってみましょう。
家事に苦痛を感じる割合は、妻の方が多い
夫・妻に分けて見てみると、夫55%、妻88%と妻の方が苦痛を感じている割合が高い結果となりました。
共働き世帯では95%の妻が家事に苦痛を感じている
就業形態別に見ると、夫のみ片働き世帯における家事苦痛率は夫63%、妻78%でした。一方、夫婦共働き世帯では夫59%、妻95%という結果に。それぞれの数値差について、のちほど理由を探っていきます。
子育て世帯の83%は家事が「苦痛」
家事を苦痛と感じる割合は、子育て世帯で83%、子育て中ではない世帯で63%でした。子育て世帯では家事の総量が増えることや、育児に時間がとられることで、家事が「苦痛」と感じるのかもしれません。
Q2.家事のどのような点が苦痛ですか?
【夫と妻、共通で多かった項目】
夫・妻共に回答が多かったのは「苦手な作業・嫌いな作業がある」(夫54%、妻57%)、「家事の総量が多い」(夫33%、妻40%)、「複数の家事を要領よく進められない」(夫26%、妻27%)でした。就業形態や夫・妻の立場に関係なく、家事そのものへの大変さや、嫌いな作業へのストレスがあることがうかがえます。
【夫と妻、それぞれの上位項目】
共通項目を除いた妻の上位項目を見てみると、「自分ばかり負担している」(妻35%)、「家族に頼んだり説明したりするのが面倒だ」(妻26%)、「家族が自分から進んでやってくれない」(妻24%)などの回答が並びます。家事を主体的に担いながら、自分ごと化できていない家族に対する不満を内に溜め込んでいる様子がうかがえます。
【夫で多かった項目】
一方、夫で回答が多かったのは「仕事が忙しくてパートナーに任せてしまい心苦しい」(夫31%)でした。また「やり方に文句を言われる」(夫22%)「やっているのにやっていないと責められる」(夫15%)「後でやるつもりだったのに遅いと責められる」(夫11%)の並びからは家事に対してどこか受動的な姿勢が感じられつつ、実際にやっている人でも認めてもらえない歯痒さや、家事に対する認識の差に悩んでいる様子も見てとれます。
ところで、今回尋ねた「苦痛」は主観的な指標なので、実際ご本人がどれだけの家事を担った上での「苦痛」なのかはわかりません。仮に過去のアンケート結果や世間一般の認識通り、いまだ妻主体で家事が行われているとしたら、実質的に負担が大きい妻の苦痛を、苦痛が少ないであろう夫も負担して補うべき…というのが一般的な論調でしょう。
妻側の回答からはそんな期待がにじみ出ていますが、夫側の回答を見ると、彼らは彼らなりに心苦しさ、やりにくさ、また「察してほしい」「完璧にやってほしい」等の要求によって断罪される側の居心地の悪さ等の苦痛を感じているようです。強まるプレッシャーに反発するかのように家事への苦手意識が増し、妻の期待は叶うことなくお互いに苦痛が増幅される…。そんな望ましくない負のサイクルが浮かび上がってきます。
就業形態による差異
就業形態による差異も見てみましょう。前章のトピックでは共働き世帯の妻の苦痛度が95%と高い数値が出ていましたが、その内訳は下記の通り。
【妻 フルタイム共働き】
家事に苦手意識がある点や家事に割けるわずかな時間内でやるべきタスクが多すぎるという点に加えて、「自分だって仕事をしているから夫にもっと家事をしてほしい」という期待値が相対的に上がった効果もありそうです。
また、夫のみ片働きの家庭においては夫の苦痛率が下がるのでは?という予測に反して、共働き家庭の夫よりも高めであった(夫のみ片働き家庭の夫63%、共働き家庭の夫59%)のは不思議な結果です。
【夫 夫のみ片働き】
上位項目を見る限りの仮説ですが、「家事そのものが苦手で、少しやってみたけれども、やり方に文句を言われるので妻に任せており心苦しい…」という状況が考えられます。
いずれの仮説も推測の域を出ませんが、どんな立場の人にとっても家事をめぐってその人なりの「苦痛」がある、とは言えそうです。相手に自分の苦痛を訴える形で家事分担を提案しても、「俺だって…」「私だって…」と、対立が深まってしまう。家事問題の根深さはこういったところにあるのではないかと考察します。
Q3.家事に苦痛を感じる内容を具体的に教えてください。
自分の負担割合が高い
- 夫はほぼ家にいないので仕方ないが、自分一人で家事を担うのが時間的・体力的にツラい。子どもは塾や習い事・部活・勉強で忙しくお手伝いの習慣がつけにくい(40代・妻・共働き)
- 自分が家事をするのは当たり前なのであきらめている(50代・妻・夫のみの片働き)
- 気がついた方がやればよいという理屈のもとに、配偶者が家事を負担してくれない。共働きなのに腹が立ちます。(40代・妻・共働き)
家族が家事を自分ごと化できていない
- 夫が家事の把握をせず、基本指示待ちなので伝えるのが疲れる。自分で気づいてやってほしい(20代・妻・共働き)
- 家族が休みの土曜日、仕事から帰ると家が散らかっていて洗濯物もそのまま。「今日の夜ごはんは?」と聞かれてイラッ。休日くらい自分のことは自分でしてほしい(40代・妻・共働き)
- 洗濯物をたたむところまでするが、そこから先おのおのが片付けるのを、何度も言っても中々してくれない(40代・妻・夫のみの片働き)
パートナーに任せてしまい心苦しい
- 圧倒的に妻の負担が多いが、自分ではできないことばかりで申し訳ない(50代・夫・共働き)
- 家事は可能な限り分担しているが、家事に加えて育児も入ってくると妻の負担が一気に増え、仕事も忙しくて手伝えない。家事にばかり集中すると、子どもとの時間が確保できなくなり、家事と育児の両立に悩んでいる(30代・夫・共働き)
家族間で家事に対する認識の差がある
- 時間がある時は掃除など手伝っているが、やり方の違いで責められる(30代・夫・共働き)
- 夫は家事をしてくれるが後少しが甘くてやり直しが必要(30代・妻・共働き)
やはり目立つのは家族が家事を自分ごと化してくれないことへのむなしさ、家事を多く担う側が感じる不公平感です。同時に、家族に家事を任せてしまっている現状へのもどかしさや、家事のやり方・クオリティのズレに苦痛を感じている回答も散見されました。
やってと言われてもなかなかできない背景には、生活時間、仕事量の違い、家事スキルの有無、価値観や生活習慣の違いなど複雑な要因が絡み合っています。忙しい毎日の中ではそれらを「説明」したり「話し合い」をしたり、「お互いの立場や思いを深く理解し合う」時間もないまま、感情的な反応の応酬によるストレスだけが溜まってしまいそうです。いつしか「自分からやってほしい」「こちらの気持ちを理解してくれたらいいのに」という、思いやりのあるなしで相手を責めることが目的になり、家族関係まで悪くなっていた…。なんてことにならないよう、今からできることは何でしょうか。
家の構造上、家事の効率が悪くなる
- 洗濯機は1階、干すのは2階。濡れた重い洗濯物を運ぶのがつらい。収納場所もバラバラで時間がかかってストレス(30代・妻・共働き)
- 間取りがスムーズに家事を連動できないつくりになっている(60代・妻・共働き)
- 北側斜線制限の影響でベランダが狭くなってしまい、洗濯物を乾かすとき不便(30代・妻・共働き)
家事への苦手意識
- 片付けが本当に苦手。他の家事ができていても、在宅ワーク中に散らかった部屋が目に入るとすべてがダメに思えて悲しくなる(40代・妻・共働き)
- 他の家事は分担してある程度うまくやっているが、掃除だけは夫婦共に好きではなく、後回しにしがちで常に苦痛を感じている(30代・夫・共働き)
- 洗濯は好きだけどアイロンがけが嫌い。スッキリと収納がしたいがいいアイデアが浮かばない(50代・妻・共働き)
コミュニケーション問題の改善は、簡単なようで難しいもの。覚悟を持って向き合い続ける必要がある一方で、別の切り口から現状を変える突破口がないかを考えます。例えば前問のランキングでも注目度が高かった「住まいの設備や構造上、家事の効率が悪い」(夫11%、妻19%)。
収納がフィットしていない、家事動線がうまくいかないなど、家事の効率が悪くなる住まいは、家族みんなの「苦痛」を引き起こす大きな要因です。
夫妻どちらにも家事を担うキャパシティがないのであれば、苦手な家事も、家事の総量についても、作業の効率化によって改善することはできないでしょうか。この点についてはQ6にて解説します。
Q4.家事の負担を軽減するために、
過去に実施した工夫があれば教えてください。
ルールづくり
- 気づいた方が家事をやる決まりだと毎回気を揉むので、「お風呂掃除は最後に入った方がやる」などルール化
- 洗剤などの詰め替えは使い切った人がやると決めたが、なくなっても誰も詰め替えずに放置されているので、余計にストレスを感じる
- 洗濯物は夫が干す、妻がたたむと分担したが、やり方が違ったりして結局干し直し、たたみ直しの作業が発生してしまった
コミュニケーション
- 夫に家事のアドバイスをしたが、文句を言われたと感じたようでしばらく家事をしてくれなくなった
- 自主的にやってくれるときは文句をつけず、ひたすらほめ、お礼を言うがなかなか続かない。少しでもやってくれる気持ちは嬉しいので、そのままにしている
- 最近、いろいろと妻に教わって家事をしはじめた
- 「手伝って」と言わないこと。「なんで自分ばかり…」と思っても顔には出さず、明るく声をかけることを続けていたら、いつの間にか夫が自発的に手伝ってくれるようになった
手放す
- 料理をラクにするため冷凍食品や宅配、外食で乗り切る。掃除や片付けは気が向いたときだけ。しんどい日は無理せず休む
- 家事代行を依頼したが、あれもこれも頼むと料金が跳ね上がり、結局半年で解約
- 掃除や洗濯はできる日にする。1日ぐらい掃除・洗濯しなくても死なないと自分に言い聞かせると気持ちが楽になった
仕組みづくり
- 服は取り込んだ後ハンガーのまま収納すると、たたむ手間が省けて楽になった
- 食器洗い乾燥機、乾燥機能付き洗濯機、ロボット掃除機など便利な家電を購入して家事の総量を減らした
- 定期的に友達を招く計画を立てて、片付けをやらざるを得ない状況にする
試行錯誤している様子がうかがえます。ルールづくりやコミュニケーションでうまくいっているケースは、自分の苦痛を訴えるような感情的なやりとりは避け、一歩先を見越した言動を選んでいる人が多い印象です。
その一方で、「家事に完璧を求めない」「時にはプロの手を借りる」「仕組みによってやらなくていいことを仕分けする」のように、思い切って手放してみることも一つの考え方なのかもしれません。
Q5.あなたのパートナーは
「自分のことは自分でやるタイプ」ですか?
【夫】
【妻】
さて、家全体の家事分担は難しい課題ですが、自分のまわりの家事だけならどうでしょう? 苦痛を感じる具体例の中にも「自分のことは自分でやってほしい」と訴える声は数多くありました。
あらためてパートナーが「自分のことは自分でやる」=「家族の手を煩わせない」タイプかと尋ねてみるとご覧の通り。裏を返せば4割の夫と、1割の妻が、自分のことを自分でできないタイプであるという結果になりました。
上着やかばんをリビングに放り出す、服を脱ぎ散らかす、飲み終えたペットボトルを放置する、「ごはんまだ?」とせっつく…。パートナーに迷惑をかけ、子どもにとっても悪いお手本となってしまうその習慣は、見直したほうがいいかもしれません。
Q6.「家事シェアハウス」を導入してみたいと思いますか?
最後に、住まいによる家事の効率化、および「自分のことは自分でやる」の一つの解決策として、以下のような住宅があったら、あなたは導入してみたいと思うでしょうか?
ダイワハウス 家事シェアハウス
「家事を分担するのではなくシェアする」というコンセプトのもと、家族が自然と家事に参加しやすい仕組みを設計に取り入れた「家事シェアハウス」を提案しています。自分のことは自分でするを家事シェアの第一歩と考え、リビングにモノが散らからないよう、自分のモノを自分で片付けられる家事シェア動線や収納、連絡事項や家事の進捗を家族で共有できる工夫がたくさんあります。
「家事シェアハウス」の関心を聞いてみると、「思う」(20%)、「やや思う」(31%)を合わせた51%が好意的な回答でした。理由を見てみましょう。
思う・やや思う
- 夫・妻だけでなく、子どもたちも巻き込んで家事を皆でやっていける家庭にしたいから
- 特にリビングは共用部分なので、家族みんなで整理整頓を意識できれば、家族一人に負担がかからず、快適な時間も増えそう
- パートナーや子どもにとって家事のイメージが苦痛や強制にならないようにしたいから
- 共働きでいかに家事を楽にするかを常日頃から考えているのでとても共感できる
思わない・あまり思わない
- 家事シェアが叶うなら理想的だが、実際には今と変わらないのでは…と思ってしまう
- 家族にとって使いやすい家はそれぞれなので、我が家には合わないかも
- 家事シェアできる仕組みがあっても、サボってしまいそう
「思わない・あまり思わない」と「わからない」の理由として、設計の工夫で本当に家事シェアが叶うのか懐疑的なコメントが目立ちました。「実際に見てみないとイメージが湧かない、わからない」といった意見も少なからずありました。
全国の家事シェアハウスの分譲物件では「家事シェアハウス」をリアルに体験することができます。使い勝手を実際に確かめて、家事負担軽減の方法のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
家事問題は複雑で根深く、相手に期待して要求するだけでは解決しません。対立することなく、夫妻が、あるいは家族みんなが同じ方向を見て前向きに改善していけるよう、まずは小さな一歩、「自分のことは自分でやる」を浸透させることからはじめてみませんか。