かさばる冬服の収納は衣替えで特に悩みがちです。
しかも、春先は暖かくなったり寒くなったりと気温の変化が激しく、
一気に片付けると、またすぐに必要になるなど、収納するタイミングも悩ましいところ。
そんな冬服の収納方法のコツや衣類ごとに適した収納方法、家の収納スペースの考え方などを解説します。
「3秒ルール」で服を減らすなど事前準備が大切
服ごとの収納を考える前に、あまり着ない服を思い切って減らすことで、収納スペースを有効活用できるようになります。加えて、きちんとお手入れするなど、冬服収納では事前準備も大切です。
冬服収納のタイミングや順番
「冬服から春服への衣替え」と聞くと、一気に冬服を片付けることのように思えますが、実際には気温に合わせて3月から5月ごろまで段階的に行うのが現実的。特に春先は暖かくなったり寒くなったりを繰り返すことも多く、寒暖差を調整できる薄手の冬服を残しておくと便利です。
冬服収納の順番は真冬の服からスタートして、徐々に冬物全般の衣類を片付けるのがコツ。季節の変わり目は、カーディガンや薄手のニット、マフラーなどを残し、冷え込んだ日でも暖かく過ごせるようにしましょう。
「3秒ルール」で手放す服を決める
今年の秋冬に着たものの中から、来シーズンも必ず着るものを残して、それ以外は手放す決断を。そのコツは「3秒ルール」です。3秒考えて、これからも着るか手放すかを判断してみてください。誰しも時間をかけるほど、あれこれ「残す理由」を考えてしまうもの。まずは冬服を一度全部出してみて、似た服や着ていない服がないか、見直してみましょう。
はやり物は基本的に今シーズン限りと考え、サイズが合わなくなったものも処分の対象に。シミや汚れが目立つ、毛玉が出やすいなどメンテナンスが難しいものも処分する、なども見直しのポイントです。
どうしても判断できない衣類は「保留ボックス」に入れて来シーズンに持ち越し。ボックスの中身は来シーズンに再度「3秒ルール」で検討して、3年間着なかった服は無条件で処分の対象にすると良いでしょう。
難しいときは、一度着てみて、これからも着るかどうかをチェック。処分するのがもったいないと思う人は、リサイクルショップなどを利用しましょう。一方、残したいものが多くて家では収納できないなら、トランクルームやクリーニング店などの保管サービスを利用することも検討してみましょう。
収納する前にキレイにしておく
衣類をしまう前のお手入れも大切です。冬服をしまっておく春から秋は気温や湿度が上がり、カビが発生しやすい環境になります。衣類の虫食いも春から秋にかけて多く、着ようと思ったときに穴が空いていては、せっかく収納を工夫しても意味がありません。
衣類についた汗や皮脂はカビや虫食いの原因にもなるので、衣類の洗濯表示に従って自宅で洗濯したりクリーニングに出したりして、キレイにしてから収納しましょう。
クリーニング店がつけてくれる衣類のビニールカバーは、長期的な保存には向きません。必ずカバーを外し、風通しをして、溶剤の臭いを飛ばしてから収納を。クローゼットにつるすならそのままでも構いませんし、大切な衣類だからカバーをつけたいという場合は、市販の不織布でできた衣類カバーを使いましょう。
お気に入りの服で、シミがついているものは染み抜きを、毛玉があれば毛玉取りグッズでお手入れをしてから収納。コートやジャケット、スーツは普段から着た後に軽くブラシをかけておくと、収納時のお手入れが楽になります。
衣類をカビや虫食いから守るには、防虫剤を収納スペースなどに合った量を使うこと。量が足りないと、十分な防虫効果が得られないことが考えられます。防虫剤の効果は上から下に広がるため、衣類を入れた後で一番上に置くのが正しい使い方です。
冬服の収納方法
厚くてかさばる冬服も、コツが分かればスッキリ収納できます。収納のタイミングや片付ける順番、圧縮袋を使うポイント、ダウンコート・ダウンジャケット・ダウンベストの中身を傷めないたたみ方など、役立つ知識を詳しくご紹介します。
まずは服を仕分ける
冬服収納は、最初にクローゼットなどの収納スペースや収納用品(衣装ケース他)を確認して、それぞれの収納方法に合わせて服を仕分けしましょう。例えば、クローゼットに備え付けのハンガーパイプは、コート、スーツ、ジャケット、ワンピース、プリーツスカートなどで使用。ハンガーに掛けてつるしておくことで、たたみじわと型崩れを予防します。
クローゼットのバー1本当たりの収納量は、バーの長さをハンガーの一般的な厚みの2cmまたは3cmで割り算すると、ある程度把握できます。衣装ケースは、たたんだり丸めたりする衣類に使いますが、何となく収納ケースに詰めてしまうと、次回着るときに「あれはどこにしまった?」と探すのに苦労します。
そうならないために、自分なりにテーマ分けして、ケースごとに収納することをおすすめします。主に使う季節物やシーンのほか、アイテム、色、素材などで分け、1ケースは1テーマで収納するのが探しやすくするコツです。
例えば、季節物なら真冬の服、秋冬の服など、アイテムならトップスやボトムスなど。目的別に外出着と部屋着で分ける、色で暖色系、寒色系に分けることもできます。「収納ケースに見出しラベルをつけるなら?」という視点で、自分が取り出すときに便利なテーマを考えてみましょう。
コート・ジャケット・スーツの収納
コートやジャケットは肩幅に合ったハンガーにつるして収納するのが基本。特に冬服は型崩れを防ぐ厚みのあるハンガーを選びましょう。圧縮袋に入れても大丈夫な素材なら、圧縮してつるすと省スペースで収納できます。
パンツは裾を挟んでつり下げるか(A・B)、またはハンガーに掛けて二つ折りで収納します(C・D)。スカートはピンチ付き(A)か、挟めるタイプのハンガーを使用(B)。スーツのパンツは上下セットで収納できるハンガーを使う方が探す手間が省けます。
ダウンコート・ダウンジャケット・ダウンベストの収納
化学繊維でできた中綿とは違い、ダウンの衣料には羽毛や羽根が詰められています。安易に圧縮すると羽根が傷んだり折れたりする可能性があるので、軽く空気を抜くようにしてたたむ(または丸める)ようにしましょう。
たたみ方のコツは、縦半分に折った後、横半分にたたんで(1)、裾の方から筒状に巻いていくこと(2)。使い古したストッキングやタイツをカットして(筒の幅に合わせて足首から膝上あたりまで)、その中にダウンを差し込むとコンパクトなまま収納できます(3)。
ダウンの収納(1)
ダウンの収納(2)
ダウンの収納(3)
フリース生地の衣類・小物の収納
寒い季節を暖かく過ごせる厚みのあるフリースも、そのまま収納するとかさばる要因に。フリース生地はシワを気にする必要がないので、ダウンと同じように筒状に巻き、使い古したストッキングやタイツを使って留めましょう(1)。
また、フリース生地のマフラーやネックウォーマー、ニットキャップ、手袋をはじめとした各種の冬小物は、洗濯ネットでひとまとめにして収納すれば(2)(3)、使うときに探しやすくなります。
フリースの収納(1)
フリースの収納(2)
フリースの収納(3)
ニット・セーターの収納
ニット・セーター類は圧縮袋に入れて圧縮すると収納スペースが節約できます。また、何枚か重ねて収納することでコンパクトになります。まず厚手のセーターを平たく大きくたたみましょう(1)(2)。
最初から収納ケースの中でたたむと、大きさや形が整えやすく簡単です。その上に薄手のセーターを四角く小さくたたんで積み重ねて収納します(3)。保管の際には、収納ケースに「セーター」など中身が分かるラベルを貼っておきましょう。
ニット・セーターの収納(1)
ニット・セーターの収納(2)
ニット・セーターの収納(3)
生活動線をふまえた収納
かさばる冬服の収納の方法をご紹介してきましたが、自宅の収納スペースを考える際は生活動線をふまえると良いでしょう。
収納スペースをあちこちに作って、その合計面積が広くても、入れたいものが入らなければ役に立つ収納とはいえません。家族が家の中のどこで何かをして過ごすかによって、必要な収納スペースの広さや形、設置する場所は違ってくるからです。
玄関近くに家族一人ひとりの収納スペースを作っておくと、お出かけに必要な小物をまとめてしまえるなど、生活動線を考えた収納なら便利さもアップします。
これから家を建てるなら、クローゼットもウォークインタイプにして、中で着替えられるようにすれば、いちいち持ち出して着替える必要もなく効率的です。ただ、ウォークインタイプは中に人が入って動けるスペースを作る必要があり、収納の方法を工夫しないと、「意外に物がしまえない」と後悔する要因になってしまいます。
例えば、衣類のクローゼットを計画するときには、主に3つのエリアに分けて考えると効率よく収納できるでしょう。
- ハンガー掛けでつるす収納のエリア
- つるした衣類の裾から床までのエリア
- ハンガー掛けよりも上にあるエリア
特につるした衣類より下の空間を無駄にしないことが大切。床面から引き出しケースを積み上げて置くと、たたんでしまうタイプの衣類もまとめて収納できます。ハンガー掛けよりも上にあるエリアには、シーズンオフの衣類、毛布やタオルケットといった季節寝具など、使う頻度が低いものを収納。入れ物はキャンバスや不織布など軽い収納ケースにしておくと、必要なときに取り出しやすくなります。
ハンガーパイプは、L字型やコの字型だと角がデッドスペースになって使いにくいもの。直線型を選んだ方が収納しやすくなります。もし、ハンガーパイプを前後2列にする場合は、手前にオンシーズン、奥にオフシーズンのものをつるすなど使い分けを。そのほか、ハンガーパイプを上下2段に設置して、トップス用とボトムス用にしたり、子ども服のオンシーズンを下段にオフシーズンを上段にしたりと、収納力をアップさせるよう工夫しましょう。
ダイワハウスの注文住宅では、ご希望に応じて収納スペースの使い方をカスタマイズできる収納システム「しまいごこちイージークローク」も用意されています。クローク内の棚板・パイプの高さや位置を動かすことができ、使う人の年齢や収納するものによって、上下2段にパイプを設けたり、棚板を追加したりすることができます。
ハンガーパイプを上下2段に使って整理しやすく、収納力もアップさせたクローゼットタイプ(左)から、来客用寝具などをしまう押し入れタイプ(右)に変えることもできます。
また、玄関を来客用と家族用に分け、家族用に収納スペースをまとめるといったプランも提案しています。家族用の玄関には、ベビーカーや傘、靴などをしまっておけるので、帰宅したときや出かけるときもスムーズ。ダイワハウスは、こうしたライフスタイルや生活動線を考えた収納プランを大切にしています。
玄関を来客用と家族用に分け、家族用に収納スペースを作れば、来客用の玄関はいつもすっきり。家族も出かけるときの小物を玄関に置いておけるので便利です。
お話を伺った方
すはら ひろこ さん
片付け・整理収納・模様替え・インテリアをトータルでコンサルティング。建築・インテリア・整理収納の資格と経験による片付け術に定評があり、商品開発や収納用品のデザイン監修をはじめ、雑誌やテレビ、ラジオなどメディア出演多数。著書・監修書20冊以上、人気講師としてオンラインセミナーを開催。プロの目線から追求したメソッドが好評。