大和ハウス工業株式会社

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第11回ダイワハウス コンペティション 結果発表

審査委員講評

審査委員長

小嶋 一浩 (建築家 CAtパートナー 横浜国立大学建築都市スクールY-GSA教授)

今回はバラエティ豊かな提案が集まり、最優秀はまったく予想できませんでした。その中でも「chimney Condo」のようなチャレンジングな提案があったのは、コンペの審査として議論に広がりが生まれてよかったと思います。このようなチャレンジングな案がどんどん出てくればよいと思います。アイデアコンペは私たちが挑戦する実施コンペとは違い、どんなふうに未来に対してゴールを掲げるか、構想の幅を広げていくかを考える場所であり、トレーニングの機会だと思います。自分にとっても実りや学びのある審査会となりました。「大地の息づかい ─さあ、ニュータウンへ帰ろう─」と「chimney Condo」に議論が集中してしまったのは、心残りでした。

審査委員

堀部 安嗣(建築家 堀部安嗣建築設計事務所京都造形芸術大学大学院教授)

何のしがらみもなく等身大での審査ができて、自分自身いろいろと収穫のある審査会となりました。こういうコンペはこれからも是非何かしらかのかたちで関わっていきたいと思います。現在の世の中の潮流として、住宅は高気密・高断熱が叫ばれ、自分の敷地内、家の内部だけを快適にしていこうという自己完結的なムーブメントが広がっています。今日の提案を見て、若い人がそうした潮流に窒息感を感じており、「呼吸する」ことの実現をポジティブに考えてくれたことに非常に力強さを感じました。今後も世の中の潮流に問題意識をもって、議論を重ねていってほしいと思います。

審査委員

平田 晃久 (建築家 平田晃久建築設計事務所京都大学准教授)

非常に考えさせられ、楽しく面白い審査会でした。優秀賞の「chimney Condo」はアイデアに留まらず、ずしっとくる訴えかけの強さがありました。個人的には「環境はろ過され、歓響になる」がよいと思いました。「呼吸する」というテーマに対して美しく楽しげに環境を変えているよい提案でしたが、「chimney Condo」のように強く訴えかけるものがあればもっとよかったと思います。「呼吸する」ということを考えた時に、そこに生命現象のような新しい秩序が生まれているか、を見極めたいと考えながら審査しました。「大地の息づかい ─さあ、ニュータウンへ帰ろう─」はそこに本当に到達できているかは分かりませんでしたが、街が姿を変えながら生き続けるための新しい建築的思考の可能性を感じました。

審査委員

西村 達志(大和ハウス工業代表取締役専務執行役員)

楽しい審査会でした。「大地の息づかい ─さあ、ニュータウンへ帰ろう─」は新しいクリエイティブのあり方を提示できれば、もっとよかったのではないかと思います。ただこの案がもつ可能性については高く評価したい。1次審査では、全員が強く推すというものがありませんでしたので、今日審査をするまでまったく結果は予想できませんでした。コンペを主催してよかったと思うのは、皆さんの作品を前にして審査委員の諸先生方に指導していただき、色んな意見をぶつけ合える場所ができ上がっていることだと思います。そこから、次のステップに進めるのではないかと思います。今後も多くの方々に参加していただき、この場を活かしていってもらいたいと思います。

倉橋 勇人 (大和ハウス工業賞特別審査委員)

第9回から設けられた「大和ハウス工業賞」を授与するにあたり、大和ハウス工業設計部の6名で審査を致しました。最優秀、優秀の基準を含め非常に甲乙つけがたく論点が難しい審査であったと思います。そこで私たちは普段実務に携わっている集団ですので、今回はより「リアリティ」があるかどうかという点をひとつの審査基準とさせていただきました。その中で賞として選んだのは「わたしの隙間を囲って」です。月島の木造密集地という問題に対しての答え方として、今後その地域すべての住宅に隙間を設けるようにリノベーションをしていくことによって新しい住環境ができるという提案が非常にエネルギッシュであり、これからの住環境のあり方を考えさせてくれた点が受賞の理由です。

当日の様子

二次公開審査 大和ハウス工業 2階ホールにて

表彰式・懇親会 D-parkにて

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受賞作品

最優秀賞 酒谷 粋将 (京都大学大学院工学研究科建築学専攻 研修員)藤原 真名美 (横内敏人建築設計事務所)

大地の息づかい ─さあ、ニュータウンへ帰ろう─

高度経済成長期に都市郊外の各地で大地が切り開かれ、もとは森や林だった場所が大量の住宅で埋め尽くされた。同時に地面は住居とアスファルトによって蓋をされ、人と大地の交わりも断たれてしまった。また敷地境界で自然の流れと人の繋がりを断ち切る敷地主義の郊外住宅地は、現代の多様なライフスタイルに対応する冗長性をもち合わせていない。その住宅ストックは受容に見合わず過剰になっている。居住者の高齢化も進み、空き家も現れ始めた窒息寸前の郊外住宅地を、人びとの住まい方から大きく転換する必要がある。そこで、過剰に余った住宅を解体する。居住に必要な最小限の機能を残し、地面に接する一階部分は壁を取り除くことで、外部空間として大地に解放する。また、居住人口に合わせて必要のない住宅は撤去する。その後、居住者には区切られた敷地ではなく、床面積を基準とした居住スペースが確保される。大地の上を人びとが行き交う、そんな生きた大地の風景をつくるのが私たちの提案である。(プレゼンテーションより抜粋)

小嶋 一浩
リアリスティックな現代の住宅地からこのような風景をつくっていくのは共感できる。絵のテイストが建築的ではなく、情感に訴えるものがあり物語性がよい。
堀部 安嗣
先日行ってきたカンボジアの風景にとても似ているが、この提案はシュールでシニカルな側面をもっているところが違う。時間を逆戻しして緑溢れる牧歌的な風景をつくっているように見えるが、建て売り住宅の2階をそのまま使うなど、郊外住宅のあり方の行く末を先送りしているようにも見えるのが面白い。
平田 晃久
共感を覚える。これからの建築的思考へ対して示唆的な案。具体的な形というよりは時間の経過を意識しながら徐々に変わっていく仕組みが面白い。土との関係において非常に生き生きとした空間ができるシステムを提案していて新鮮である。 
西村 達志
ジオラマのような模型と絵本のようなプレゼンテーションボードが印象的。過去から未来までの時系列を含めた考え方が評価できる。現実的な可能性をもった提案。

大地の息づかい─さあ、ニュータウンへ帰ろう─<PDF:6.98MB>

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優秀賞 原 正彦 (東洋大学ライフデザイン学部人間環境デザイン学科 技術員)

chimney Condo

技術の発達によって、ゴミ処理場が不要となる時代が来るであろう。その際、不必要になった煙突をコンバージョンし、再度命を吹き込み、煙突の形状を利用した住まいを提案する。その煙突を見上げる人にとっては、環境を意識させるランドマークとして輝き、またその煙突は、呼吸をするように周囲に動きをもたらす。それは風の力を利用して発電し、都市に電力を供給する。さらに、快適な周辺環境をつくるために風力を生み出す壁をもち、クリーンな風の力を借りて建物内外の環境を整えることで、CO2削減の手助けもする。生物が呼吸をするように、都市と人に快適な環境と街へのエネルギー供給システムをもった煙突型集合住宅の提案。(プレゼンテーションより抜粋)

小嶋 一浩
アイデアコンペらしい思い切りのある提案。プレゼンテーションのパフォーマンスがよかった。
堀部 安嗣
大胆な提案だと思うが、この家で本当に人間が「呼吸できる」のか疑問に感じた。
平田 晃久
「煙突」という最大の他者を取り込みながら、新しい建築をつくろうとしている。非常にポジティブな提案。ただ空間としては新しさを感じなかった。
西村 達志
サイロをコンバージョンするものもあるからそこまで荒唐無稽とは思わない。インパクトが非常に強く面白い。

chimney Condo<PDF:5.13MB>

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優秀賞 中川 寛之 (神戸大学大学院)

浮かぶイエ、繋がるマチ

現代の人の生活や建物は内に閉じており、他の場所との関係性が稀薄である。また、一般的な住宅平均寿命は約30年と短く、長く残る住宅は少数であり、変化、もしくは変化していないことを認知するのは難しいように感じる。つまり現代は、建築の時が止まっている、呼吸していない状態といえるのではないか。そこで、生活雑貨から建築、街区までの「生活の更新速度の在り方」に変化を与えることで、変化を許容し現代の価値観を受け入れる場所を提案する。大地から建築を浮かし高さ方向の変化によって周辺環境との距離感を調節し、また、壁面を建具化することで、住宅を住人の手で扱える能動的なものとする。そこで、それぞれの更新速度の範囲をかみ合わせることで1対1ではない多元的な関係性をつくり出す。(プレゼンテーションより抜粋)

小嶋 一浩
弱々しい提案ではなく、力強い提案で好感をもてた。ただ、最後が図式的すぎるのではないか。図式を超えた空間を見たかった。
堀部 安嗣
6つのインフラを納めたコアに支えられて、家が浮かび上がっているのは面白い。
平田 晃久
空間として面白い要素を孕んでいる。斜めの視線の抜けや外部の使い方、内部と外部の関係などをもっと立体的につくれたら、より面白くなると思う。
西村 達志
非常につくり込まれている案。転写すること以外にもつくり方の提案があるとよかった。土地を開放するという意味では可能性がある。

浮かぶイエ、繋がるマチ<PDF:5.76MB>

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入選/大和ハウス工業賞 市古 慧 (横浜国立大学大学院)小林 しほり (横浜国立大学大学院)

わたしの隙間を囲って

「呼吸する家」とは立面という建築の表皮を通して、生活の息吹を吐き出し、周囲とのさまざまな関係性を取り込んでいく建築だと感じた。しかし、老朽化した木造密集地帯における住宅は狭小な共有の隙間に対して設けられる立面が硬く閉ざされ、人びとの居場所とはかけ離れた呼吸しない存在となってしまっている。そういった共有の隙間に対して無関係なモノに挟まれるのではなく、さまざまな関係性によって囲まれるような「わたしの隙間」をもつ家を提案する。隙間が自分の所有物として都市に在ることによって、生活に付随したさまざまな豊かさをもった関係性が都市に張り巡らされた隙間のネットワークを介して街中に広がっていった時、その街固有の息づかいが聞こえてくる。(プレゼンテーションより抜粋)

わたしの隙間を囲って<PDF:3.73MB>

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入選 保坂 整 (東京工業大学大学院)吉池 葉子 (東京工業大学大学院)

環境はろ過され、歓響になる

「呼吸する」とは「環境をろ過する」と言い換えることができるのではないか。建築が自然のサイクルに組み込まれる、それが「呼吸をする」ということだと考え、私たちはそれを実現するために屋根に着目した。敷地はイタリア南部の街・マナローラ。自然に恵まれ人が集まるこの場所に今回は提案する。地形の上にろ過機能をもつ屋根を架け、雨水をろ過する屋根の下にはお風呂が配置されるなどろ過と対応した空間が形成される。これらの空間を周辺と連続させていく。環境という普遍的なものの中で、硬いものである建築の性質と闘いながら、完全に閉じるのではなく、テントのように住むのでもなく適度に開いている状態として「ろ過」された空間を考えた。(プレゼンテーションより抜粋)

環境はろ過され、歓響になる<PDF:6.17MB>

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入選 渡邊 圭 (前橋工科大学大学院)

みちに住まう、みちにある家

人が呼吸する対象がさまざまな物質が流れている空気であるならば、建築は多様なもので溢れかえる「みち」ではないだろうか。人や動物、風や光、音や視線...そんな「みち」を家が上手く吸い込むことができるなら、常に多様な因子で溢れかえり、普段の生活より豊かになるのではないか。「みち」を吸い込み、「みち」に寄り添う家、あたかも「みち」の上に建っているような家を提案する。街の生活インフラの延長としての「みち」を家の中に引き込み、屋根壁により「みち」の領域を家の内部まで拡張させる。さまざまな抜けを介して取り込まれる光や風や雨、街のようにさまざまな世代間の交流や活動は、「みち」からそのまま住戸内部へ浸透し、循環していく。(プレゼンテーションより抜粋)

みちに住まう、みちにある家<PDF:2.55MB>

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入選 山口 貴司 (フリーランス)

小さな家

呼吸とは、空気を取り込み体内から吐き出すことを絶えず繰り返し、「生きる」ということ。暮らしにおけるそれは、街と家との豊かなやりとり、なのではないだろうか。敷地いっぱいに家を建て周囲へ閉ざすことでかえって息が詰まるような暮らしをしているように思えてならない現代の家。外部環境を遮断し、快適性という重装備をまとった家の中のみで完結してしまう暮らしは、果たして豊かといえるのであろうか。街と敷地を隔てていた塀を取り払い、敷地内に生まれた余白と街路を地続きにすることで、街と家に多様な関係性をつくり出すきっかけを与える。 

小さな家<PDF:4.00MB>

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佳作

佳作 山田 寛 (フリーランス)

様々なモノを許容する集合住宅

建築がいきいきと呼吸するための条件を以下に示す。「広いということ」…広いことは、さまざまなものを受け入れる場所が用意されているということだ。呼吸するためには大らかさが重要である。「木の枝のような空間構成」…木の枝は、大きな幹から細い枝へと枝分かれしていく。この生成プロセスに置き換え、大きな空間から小さな空間へと枝分かれしていく空間構成とする。「まちなかに存在するということ」…まちなかにその建築があるということは、周辺の環境に応じて、さまざまな「出来事」を許容していく。「出来事」が反映された建築はいきいきとしたものになる。(応募案より抜粋)

様々なモノを許容する集合住宅<PDF:3.78MB>

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佳作 江種 航 (関西大学)三浦 紋人 (関西大学)

町をはぐくむカレー屋さん

この町には、昔から地域の人に愛されているカレー屋さんがある。町にとって「第二の家」として長年あり続けてきた街角のカレー屋さんがなくなってしまうことは、町のアイデンティティをひとつ失うことである。そこで、店をたたむまでの間に地域の人びとを巻き込んだ「この場所に酸素を送り込む11回のWS」を企画する。カレー屋と地域、そして建築家、それぞれの関係性を織り交ぜていくことで、この町に新しい関係性を生みながら、場所環境はろ過され、歓響になるをつくり、育んでいく。(応募案より抜粋)

町をはぐくむカレー屋さん<PDF:3.78MB>

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佳作 澤江 隆志 (フリーランス)

都市型テント住居

人の生活によって様相が移ろい、それによって街とコミュニケーションするような家、それが呼吸する家だと思う。風が吹けば境界が揺らぎ、音や明かりで気配が漏れる。テントでの生活は他者との関係性の中に存在する。集合することで都市においてテントでの暮らしを可能にし、さらに街に対してインパクトをもち始める。人の生活によって各住戸、さらには建築全体の様相が変わり、街の風景に変化をもたらし街とコミュニケーションする、都市型テント住居。( 応募案より抜粋)

都市型テント住居<PDF:1.89MB>

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佳作 田中 健人 (神戸大学大学院)渡邊 匠 (大阪市立大学大学院)

大地はいえとなり、いえは大地となる

現代の家は外部に対して閉じ、他者が入り込むことを遮断している。快適さを求め、日常の生活は家の中で完結し、変化のないものとなっている。家は大地の上にあるが、家と大地の間に関係性はない。土と共に歩んできた江戸時代から焼き物の町として栄えた栃木県益子町に、土の建築を提案する。土を家の中に取り込み、移動・交換することにより新たな空間が生まれる。土が日常の暮らしに変化を生むきっかけとなる。土の交換により土が家の中を循環し、家は呼吸する。(応募案より抜粋)

大地はいえとなり、いえは大地となる<PDF:2.94MB>

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佳作 石山 一紀 (フリーランス)

sit on the floor, or sit on the chair.

「垂塀…まちとの呼吸」…まちには2種類の他者がいる。ひとつは通りすがりの人、積極的に関係をもつ必要のない「他人」。もうひとつはご近所さんなどの積極的に関係性をもつべき「他者」。垂塀は立位の状態で視線を遮り、座位の状態で視線を通す。「腰壁…外部との呼吸」…庭との境界はガラス戸で、そこからセットバックさせて腰壁を設ける。腰壁の手前は庭と繋がる大きな縁側のような空間となり、奥は上のみが庭と繋がるプライベートな空間となる。「垂壁…家族間での呼吸」…垂壁に囲まれた空間が個の空間となる。椅子やベッドの上では閉じた空間としてひとりの時間を過ごせ、床に座れば周りの共有空間と繋がる。「腰窓…お隣さんとの呼吸」…隣の家との境界の開口部をセットバックさせ坪庭をつくり、腰窓をあける。家の中からは坪庭だけが目に入り、窓際に座ればお隣さんとのコミュニケーションが取れる。(応募案より抜粋)

sit on the floor, or sit on the chair.<PDF:1.89MB>

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佳作 鳴海 舜 (京都工芸繊維大学)

押入兼茶の間兼廊下

帰宅と同時に押し入れの戸を開き、おのおのの活動を広げていく住人たち。得意の手料理を友人にふるまい、小遣いを稼ぐ僕。向かいの山下くんとゲームを始める上良さん。黙々と筋トレにはげむ下川原さん。廊下にはみ出したアクティビティにも、朝になれば戸締まりのため、店じまいする。夜にだけ出現する、物好きな屋台がひしめく下宿への改修提案。(応募案より抜粋)

押入兼茶の間兼廊下<PDF:2.94MB>

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佳作 松田 仁樹 (東京大学大学院)石井 孝典 (東京大学大学院)

息の緒を紡ぐ ─木密に広がる都市の肺─

縮退しているからこそ生まれる人と人、都市と人の豊かな関係性のあり方を考える。空き家を減築して1階を街へと解放し、2階は単身者や若年夫婦向けの賃貸として活用する。また、空き家同士を新たに壁で接続する。壁は小さな家々を繋ぐことで水平耐力を高め耐震補強を行うと同時に、各住戸の平面に拘束されない新しい領域を地面レベルに生み出す。減築により周辺住戸の元々裏だった面に開口を開けたり縁側を付けることが可能となり、周辺住戸同士の関係性が自然に生まれてゆく。(応募案より抜粋)

息の緒を紡ぐ ─木密に広がる都市の肺─<PDF:2.07MB>

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佳作 上田 満盛 (大阪市立大学大学院)

xLDK

現代の家は高気密・高断熱といった住宅性能を求め身体的な自由を得た一方で、家は精神的な自由を失い、どこか息苦しさを感じる。身体的に自由で精神的に不自由となってしまった現代の家に対して、私は身体的に不自由で、精神的に自由なひとつの家を提案する。この家には壁が足りない。隣り合う部屋どうしが可動する壁を共有し合う。ドアは存在せず、人が動くたびに壁が動く。その際に部屋が現れたり、消えたりする。または意識的に大きくなったり、小さくなったり。隣の部屋や外気や街と繋がったり......人と共に間取りや設えが変わり建築と人が呼吸を始める。 (応募案より抜粋)

xLDK<PDF:4.62MB>

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佳作 遠藤 菜那 (首都大学東京)

畑床の住宅

建築物の更新が難しく、空き家問題の要因のひとつともなっている旗竿地の住宅。これらの価値が低い原因として、暗く狭い外部空間が挙げられる。近年、都心の住宅では敷地の狭さを有効活用したエディブルガーデンが見られるが、環境の悪い旗竿地の住宅での実現はなかなか難しい。そこで、敷地の余白に植栽を施すのではなく、敷地全体を利用して適材適所に植物を配置し、これを住宅の床とすることを提案する。植物のつくる微気候の内に家具を配置し、植物を育てながら生活をする。エディブルガーデンを取り入れることで、住宅が食料生産の場となる。収穫された野菜を使った料理は、人びとを繋げる。 (応募案より抜粋)

畑床の住宅<PDF:3.19MB>

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齋藤 直紀 (東京理科大学大学院)大村 高広 (東京理科大学大学院)

environmental node

ウィンドウォールを強い風が吹き抜け、ウィンドビームは音や匂いを届けてくれる。ヒートスラブは私たちに太陽の光を暖かく提供し、ライトビームから落ちる灯に生き物たちが集まる。水呼吸するウォーターウォールを通って雨水は静かに地上に落ち、ソイルコラムの中にゆっくり染み込んで植物や空気を潤していく。個々のエレメントは建物全体の構成要素であると同時に、それぞれが周囲の異なる外部環境を取り込み、循環させる存在だ。エレメントを介して複数の生態系が折り重なり、この家は周囲の環境の結節点として現れる。 (応募案より抜粋)

environmental node<PDF:3.89MB>

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