ダイワハウスコンペティション告知ページ
愛という言葉にどんなイメージをもつでしょうか。愛は、特定の誰かへ向ける愛だけでなく、とても多義的な広い意味をもちます。身近な暮らしの中から見つかる愛もあれば、世界や地球規模までスケールを拡げてとらえる愛もあるでしょう。また、偏った愛でも、それを突き詰めると、何か大きな可能性に繋がるかもしれません。
反対に、効率や機能、綺麗事のような正しさだけでは愛は生まれないでしょう。紆余曲折を経ることも愛を考えるうえで重要なプロセスといえます。では、そのような愛を考えた時、家はどのようになるでしょうか。自分と他者との関係を深く追求し、愛を核に、そこに住まう意欲が強く現れる家を具体的に考えてください。
敷地は架空でもリアルでも自由です。戸建て1棟、戸建ての集合、併用住宅、リノベーションなど、形式やプログラムは問いませんが、ひとつの家として必要な空間を提案してください。「愛」をどういうものとしてとらえたかをしっかりと定義して、家の根本に立ち返り、それぞれの愛からこれからの時代の家を考えた案を期待します。
座談会風景。左から、南川氏、小堀氏、堀部氏、青木氏、平田氏。
建築家 青木淳建築計画事務所
東京藝術大学教授
無条件の愛は英語でunconditional love、つまりconditionと相反するところにあります。僕たちは普通、世の中がこうなるならこうする、こういう状況だったらこうするというように、conditionalに設計を行います。そうした普通に生きていて必要とすることと違うものが何なのかを知りたいですね。だからこそ、愛をどういうものとしてとらえたかをしっかりと定義することが大事になると思います。
建築家 堀部安嗣建築設計事務所
京都造形芸術大学大学院教授
建築を考えるうえで愛を注げるのは、家族、近隣もあるし街もあります。あるいは風土でもいいし、趣味でもいい。愛とは、素手で握ったおにぎりと、ビニールを使って握ったおにぎりの美味しさに違いがあるような、ある正しさではなく、矛盾を孕んでいる場合もあるかもしれません。綺麗ごとで終わらない、そういう表現が出やすい状況にしたいですね。個人の愛でもいいですよね。偏愛も面白そうです。
建築家 平田晃久建築設計事務所
京都大学教授
愛がない状態を想像すると、愛がある状態を想像しやすくなるかもしれません。正しさや効率を優先すると愛がなくなる。何か目的があるわけではなく自発的に投げかける時に愛は発生するのかもしれません。身近なところから想像すると割と簡単に見つかるかもしれない。自分の中に他者を取り入れることで自分が半ば壊れる、そのくらいのレベルで愛をとらえた提案があると面白いですね。
建築家 小堀哲夫建築設計事務所
愛は選択なのかもしれません。最近は世の中のスピードが速くて何でもかんでもやらなければなりません。その時に、何かを選択するきっかけとして、愛しているから選択するみたいなこともありますよね。何かひとつを決めて他を削ぎ落としていくことも愛が関わっているのではないでしょうか。
大和ハウス工業 上席執行役員
今自分が住んでいる家が不自由で大変でもそこに強さを見出す。そういうとらえ方はよいですね。スケールを大きく地球環境や私たち自身などとらえ方もいろいろとあるような気がします。思いもよらない発想に期待したいですね。