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第9回ダイワハウスコンペティション

ダイワハウスコンペティション告知ページ


第9回 ダイワハウスコンペティション 後援:株式会社新建築社

    座談会風景
■審査委員

山本 理顕(審査委員長、山本理顕設計工場代表、建築家)
藤森 照信(工学院大学教授)
千葉 学(東京大学大学院教授、建築家)
松山 巖(小説家、評論家)
西村 達志(大和ハウス工業代表取締役専務執行役員)

■課題文

社会とどのように接続して人は生きていくのか。東日本大震災以降、それまでのネットワーク環境に依存した、場所さえあればよいという考え方から、人が居場所に求める具体的なイメージは変化しつつあります。これからの住まいは、住宅であると同時に、周辺の街との結びつきをさまざまなかたちで創出することが望まれ、特に震災からの復興に立ち上がろうとする街では、住まいでありながら、働ける場所をつくり出せるかどうかが、街を再生する大きなキーワードになるはずです。

これは日本の未来、少子高齢化する日本社会にとっても、重要な視点といえるでしょう。それぞれの地域がつくり上げてきた固有の環境を再評価し、ひとつの家の提案が地域社会の居住環境につながっていく、居職はそうした側面を持っていました。現代の居職を考えることで、それが新たな街の創出へつながり、これからの日本社会の未来像になるのではないかと思います。またその街がずっと生き続けていくために、できた時間が終着点なのではなく、できた時点から20 年後、50 年後をその住宅がどのように担っていくのか、その姿も描いてほしいと思います。

住まいと、そこで生きていく、働くことがどうリアリティをもって建築というひとつのかたちになるのか、提案してください。応募者はそれぞれに具体的な場所を設定し、どのような特徴のある場所かを明記すること。

※「居職」とは:自宅で仕事をする職業。裁縫師・印判師の類。(広辞苑より)

■第9回ダイワハウス コンペティションについて

大和ハウス工業が主催する「第9回ダイワハウス コンペティション」は10月2日に、山本理顕、藤森照信、千葉学、松山巖、西村達志の5氏による1次審査会が行われ、応募作品234点(応募登録554件)から1次審査通過7点と佳作10点(各5万円)が選出されました。
そして11月13日の公開2次審査において、通過者によるプレゼンテーションを行った後、公開審査により各賞を決定。
最優秀賞(1点):200万円、優秀賞(2点):各30万円、大和ハウス工業賞(1点):30万円、入選(4点):各10万円を決定しました。


■大和ハウス工業賞について

大和ハウス工業賞は1次審査通過7作品の中から、公開2次審査のプレゼンテーションと質疑応答を通して、審査委員とは独立したかたちで大和ハウス工業が1作品を選出する賞。

大和ハウス工業賞の審査委員は以下の通り。
目賀田史夫(大和ハウス工業東京デザイン事務所)、片平一正(大和ハウス工業横浜支社住宅設計課)、荒木智(大和ハウス工業千葉支社集合住宅設計課)、奥山正博(大和ハウス工業厚木支店集合住宅設計課)、山田康之(大和ハウス工業東京本店流通店舗設計部)、日高一郎(大和ハウス工業東京企画開発部企画デザイングループ)。




■課題文

社会とどのように接続して人は生きていくのか。東日本大震災以降、それまでのネットワーク環境に依存した、場所さえあればよいという考え方から、人が居場所に求める具体的なイメージは変化しつつあります。これからの住まいは、住宅であると同時に、周辺の街との結びつきをさまざまなかたちで創出することが望まれ、特に震災からの復興に立ち上がろうとする街では、住まいでありながら、働ける場所をつくり出せるかどうかが、街を再生する大きなキーワードになるはずです。 社会とどのように接続して人は生きていくのか。東日本大震災以降、それまでのネットワーク環境に依存した、場所さえあればよいという考え方から、人が居場所に求める具体的なイメージは変化しつつあります。これからの住まいは、住宅であると同時に、周辺の街との結びつきをさまざまなかたちで創出することが望まれ、特に震災からの復興に立ち上がろうとする街では、住まいでありながら、働ける場所をつくり出せるかどうかが、街を再生する大きなキーワードになるはずです。

これは日本の未来、少子高齢化する日本社会にとっても、重要な視点といえるでしょう。それぞれの地域がつくり上げてきた固有の環境を再評価し、ひとつの家の提案が地域社会の居住環境につながっていく、居職はそうした側面を持っていました。現代の居職を考えることで、それが新たな街の創出へつながり、これからの日本社会の未来像になるのではないかと思います。またその街がずっと生き続けていくために、できた時間が終着点なのではなく、できた時点から20 年後、50 年後をその住宅がどのように担っていくのか、その姿も描いてほしいと思います。

住まいと、そこで生きていく、働くことがどうリアリティをもって建築というひとつのかたちになるのか、提案してください。応募者はそれぞれに具体的な場所を設定し、どのような特徴のある場所かを明記すること。

※「居職」とは:自宅で仕事をする職業。裁縫師・印判師の類。(広辞苑より)

■最優秀賞(1点・賞金200万円、税込)

清水 慎之介(立命館大学大学院) 中辻 浩介(立命館大学大学院)


■優秀賞(2点・賞金各30万円、税込)

田中 伸明(フリーランス)、新田 直己(フリーランス)、吉田 智大(横浜国立大学大学院)
山田 文宏(大和ハウス工業) 山田 美紀(山田バナナデザイン事務所)

■入選(4点・賞金各10万円、税込)

大塚 亮(SPATIAL PRACTICE)
手塚 健太 (法政大学大学院)
西川 博美(横浜国立大学大学院) 小島 衆太(横浜国立大学大学院)
鈴木 智紘 (芝浦工業大学大学院) 上田 将之(芝浦工業大学大学院)

■大和ハウス工業賞(1点・賞金30万円、税込)

田中 伸明(フリーランス)、新田 直己(フリーランス)、吉田 智大(横浜国立大学大学院)

■佳作(10点・賞金各5万円、税込)

敦賀谷 俊(日本大学) 清水 亮輔(日本大学)
大谷 広司(千葉大学大学院)
山内 翔太(神戸大学大学院)
一万田 知宏 (東京大学大学院)
吉澤 裕二(昭和設計)
佐藤 建 (立命館大学大学院)
林 晃平(首都大学東京大学院) 石田 由郁(武庫川女子大学)
山本 至(東京大学大学院) 緒方 佑磨(東京大学大学院)
稲垣 拓(山下設計)
宮良 香央利(滋賀県立大学大学院)
鈴木 里美(早稲田大学大学院) 藤田 俊洋(大阪市立大学大学院)

■第9回ダイワハウス コンペティションについて

大和ハウス工業が主催する「第9回ダイワハウス コンペティション」は10月2日に、山本理顕、藤森照信、千葉学、松山巖、西村達志の5氏による1次審査会が行われ、応募作品234点(応募登録554件)から1次審査通過7点と佳作10点(各5万円)が選出されました。
そして11月13日の公開2次審査において、通過者によるプレゼンテーションを行った後、公開審査により各賞を決定。
最優秀賞(1点):200万円、優秀賞(2点):各30万円、大和ハウス工業賞(1点):30万円、入選(4点):各10万円を決定しました。


■大和ハウス工業賞について

大和ハウス工業賞は1次審査通過7作品の中から、公開2次審査のプレゼンテーションと質疑応答を通して、審査委員とは独立したかたちで大和ハウス工業が1作品を選出する賞。

大和ハウス工業賞の審査委員は以下の通り。
目賀田史夫(大和ハウス工業東京デザイン事務所)、片平一正(大和ハウス工業横浜支社住宅設計課)、荒木智(大和ハウス工業千葉支社集合住宅設計課)、奥山正博(大和ハウス工業厚木支店集合住宅設計課)、山田康之(大和ハウス工業東京本店流通店舗設計部)、日高一郎(大和ハウス工業東京企画開発部企画デザイングループ)。


■審査員講評

「居職の家」は非常に面白いテーマだったと思います。明治時代までは家で仕事をする「居職」の人がたくさんいて、職が住と一体化していました。住宅は「住居専用」だと私たちは思っていますが、これは歴史の中では非常に新しいかたちなんです。ですから、「居職」というテーマで住宅についてもう一度考えて欲しいと思いました。「住宅は住居専用であり、プライバシーが大切だ」という思い込みをもう少し変えることができたら、街に対してもっと面白い提案が考えられたのではないでしょうか。いちばん気になったのは、多くの提案がリアリズムは外から与えられるものだと思って、今の現状を丸ごと受け入れてしまっていることです。リアリズムは与えられるものではなく自分たちでつくるものだということを真剣に考えて、私たちのつくる建築がこれからの社会を変えていくと信じて欲しいと思います。

「居職」というテーマには、住宅街の中に物をつくる人たちの生活もあることで、街に活気が出てくるのではないか、という意味も込めていたのですが、そこに正面から応えている提案が少なかった印象です。カフェやレストラン、学習塾といったサービス業は、居職とは少し違うのではないでしょうか。そういう意味で、「養蜂のいえ」と「2つの雁木をもつ家」はきちんと居職の内容を考えていると思いました。 僕はプレゼンテーションの絵が上手なものが好きなので、「養蜂のいえ」は抜群によかったと思います。コンセプト的にはよくても、何もデザインされていない作品も多かったので、確かにアイデアコンペですが、考え方をデザインすることをもう一度よく考えて欲しいです。


もはや住宅という器の中に留まったプライバシーや家族の生活などだけでは住宅が成り立たない時代であることは、皆さんの共通認識だと思います。何らかのかたちで地域との連携をしていくことが根底にあり、その中で職をひとつの媒介にして住宅はどう変わるか、というのが今回の大きなテーマだったと思います。どの案も魅力的ではありましたが、「居職の家」としては物足りない点も多かったように思います。 最終審査ではいろいろと迷ってしまいましたが、「養蜂のいえ」は最初から気になっていたものです。やはり建築に力があると信じて出されている提案の強さを感じました。お話ばかりで建築自体はつまらない提案が最近のコンペには多いと思うのですが、是非今後も建築そのものに社会を変える力があると信じて作品を提案して欲しいと改めて思いました。


僕は、居職はこれから新しい住居形態を生むだろうと思っています。京都にはお寺が多いので、障子屋さん、欄間職人や家具職人、手工芸など、居職の職人がまだたくさんいます。そうした居職のあり方と共に家のかたちが多様に出てくると非常に面白いと思ったのですが、ピンとくるものは少なかったです。もう少し、居職の意味について皆さんによく考えて欲しかったです。 僕は論文コンペの時から審査委員として参加しているので、デザインコンペになってからの審査は2回目でしたが、昨年より今年の提案の方が断然よかったなと思います。それだけに審査委員の先生方の批評も厳しかったのではないでしょうか。来年はさらに面白い作品が出てくるように頑張って欲しいと思います。


テーマ会議の時に「居職」という言葉について考え、新鮮に感じました。私たち都市や住宅に関わる仕事をする者にとって、建物や住宅が常に劣化するのではなく、新たな輝きを持ち続け、住まい手の方々が生き生きと住める空間をつくることが大切です。そのために「居職」という考え方は真剣に考えていかなければいけないテーマだと思いました。今までの単純に「店舗併用」など、「併用」住宅という意識ではなく、住まい手が輝きを増すための居職住宅の開発の可能性について、私たちも真摯に受け止めていきたいと思います。 今日講評を受けた皆さんも、先生方からの意見を聞かれて得るものが多かったのではないでしょうか。今日の機会をひとつの糧として、今後の展開につなげていって欲しいと思います。


今回から「大和ハウス工業賞」を設けることとなり、大和ハウス工業設計部門の6名で審査を致しました。議論の中で「ほどかれる団地」と「養蜂のいえ」が候補に残りました。「ほどかれる団地」は、小規模な居職のある家をつくることで団地に人が戻り、コミュニティを取り戻すことができる提案です。震災後にたくさんの仮設住宅をつくり、その後本設の共同住宅や福祉施設、店舗、公共施設などを建設してきた私たち設計部門の発想を、かなり豊かにしてくれました。「養蜂のいえ」は、強制的な環境改善ではなく自然治癒的な提案で、蜂を媒介に生態系を整えることによって、人の生活が成立していくイメージを感じ取りました。環境設計の切り口として考えさせられる提案でした。 最終的に、リアリティと実現性を重視し、今回は「ほどかれる団地」を大和ハウス工業賞に選びました。

■最優秀賞 養蜂のいえ
 清水 慎之介(立命館大学大学院) 中辻 浩介(立命館大学大学院)
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敷地は京都府京都市。大通りに面しては中層のオフィスが建ち、その隙間に町屋が残存する。新旧の建物が混在した街において、分断されたものを再びつなぐ媒体として、蜜蜂と共存する家を提案する。京都は緑被率が高いが、都心部では自社や個人所有の小さな緑地が多く、人の目に触れない。蜂はこれらの緑を見つけ出し、人と緑の豊かな関係を間接的につくりながら京都味の蜜をつくる。蜂は採蜜の際、高く飛び上がり花に降下する習性があるため、養蜂小屋を上層部に取ることで人と蜂の動線を分け、蜂蜜を提供する喫茶室を1階に、住居を2階に設ける。たくさんの蜂を飼うことで植物の活動が促され、鳥なども集まるようになり、近隣の屋上を含め緑化が進む。ビルの隙間でありながらも、緑と生物が身近にある住環境へと変容していく。    (プレゼンテーションより抜粋)

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プレゼンテーションがきれい。京都という場所性をもっと考えて、景観など街全体が抱える問題を解決するようなもう少し広がりのある提案になるとよい。(山本理顕)

絵が魅力的でよい。京都の緑被率が高いことと、蜂が集まってくるかどうかは別の話ではないだろうか。屋上庭園をつくることは京都の瓦屋根の風景がなくなってしまうことにもなる。    (藤森照信)

都市部でも成り立つ生態系を持ち込み、それが何らかの職に絡んでいるという提案は面白い。もっと養蜂している場であることが街に対して伝わる方法を考えるとさらによかった。    (千葉学)

蜂には現実味を感じないが、京都はいろいろな居職を持っている街なので、ビルとビルの隙間に細長い建物を建てて、下で何かを売り、上で何かをつくるあり方は、ひとつのプロトタイプになり得ると思う。    (松山巖)

かつての町屋のようなコミュニティを目指す時に、なぜ養蜂業なのか。周りへの影響など、もう少し強い提案があるとよい。採れた蜂蜜を喫茶室やレストランで提供する仕組みをより具体的に提案すると、リアリティが出てくると思う。    (西村達志)

■優秀賞/大和ハウス工業賞 ほどかれる団地─団地から広がる街の生活─
 田中 伸明(フリーランス) 新田 直己(フリーランス) 吉田 智大(横浜国立大学大学院)
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職と住の新たな関係を、均質な住居の連なりでありストックの再活用が期待される団地で考える。職が住居の単位をまたいでいくことで住まいを解きほどき、居住者のみでなく、周辺住民の生活にも寄与していく。敷地は地方都市、前橋。現状の団地では住戸ごとに生活が完結しており、団地の均質な表情をつくり出している。そこで末端にあるバルコニーをつなぎ合わせ、パブリックな共有動線として開放する。さらに従来の住戸単位をまたぐようなかたちでさまざまな職のプログラムを介入させ、バルコニーに対して上下階の動線として機能する階段、踊り場を足す。そこは職空間としても利用され、多様な奥行きと賑わいを生み出す。   (プレゼンテーションより抜粋)

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ひとつの住棟だけに注目しているが、団地は複数の住棟が並んでいるもので、北側には隣の住棟の居職の空間が広がっているはず。北側を裏側としてとらえるのではなく、住棟と住棟の間の空間の可能性を考えて欲しい。      (山本理顕)

住民以外も利用することを考えると、北側の廊下を残して住民だけの動線を確保しているのはよい。団地の改修では北側に対する提案が多い中で、南側から改修しているのが新鮮。南側に公共性の高いものができると逆に北側の廊下は歩いていて楽しい場所になるのではないか。     (千葉学)

同潤会青山アパートメントの改修のように、住宅と共に小さな工房やアトリエ、ギャラリーなどを入れて魅力的な建物として蘇らせる、そうした可能性をもっている提案だと思う。    (西村達志)

■優秀賞 平成ミゼットハウス─減築による小さく豊かな住まい─
 山田 文宏(大和ハウス工業) 山田 美紀( 山田バナナデザ イン事務所)
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「ミゼットハウス」は、昭和34年に大和ハウス工業が発売した、坪単価4万円以下、面積10m2以下、工期3時間のプレハブ住宅の原点となる小さな家。既存の住宅やマンションの一部を減築し、そこに居職の場となるミゼットハウスを追加する。壁や塀を壊し、減築することで現況の閉じられた住まいに穴を開け、敷地や住宅内に光と風を呼び込む。近所の人びとが自由に行き来できるオープンスペースを生み出し、街と住まいをつなぐ。居職は女性が働き続けるための有力な手段。隣人同士でミゼットハウスを共用することもでき、起業のきっかけにもなる。ミゼットハウスを活用することで住宅地に眠るプロフェッショナルを呼び起こす。   (プレゼンテーションより抜粋)

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わずか10m2の小さな建物をもう一度街の中に置くことで、さまざまな仕事を展開し街を活性化しようという、非常に現実的なアイデア。そのダイアグラムだけで、新しいミゼットハウスの形がデザインされていないのが残念。    (山本理顕)

塀を壊して住宅地につながりをもたせるのはよい。サービス業ばかりでなく、この場所で物をつくる人のあり方が考えられると、地域に活気が出てくるのではないか。    (藤森照信)

居職のあり方を30パターンくらい考えてくれるとすごく魅力的だった。居職の内容に合わせて間口が広がったもの、閉じたものなど、ミゼットハウスのデザインが展開していくのではないか。     (松山巌)


■入選 3層敷地の家
 大塚 亮(SPATIAL PRACTICE)
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住宅と商業が交錯する都心の密集住宅街に、3つの断面的仮想敷地を計画する。1層目は小さな単位からなる商業空間。路地や公園と一体となった開かれた場所となり、床面の凹凸によってランドスケープをつくる。2層目は住空間。コンパクトで身軽な住宅を、浮遊するような屋根の風景として設計する。3層目は、働く場所(1層目)と住む場所(2層目)に挟まれた、ひとつながりのパブリックスペース。それぞれの住宅は独立しており、閉じた個人住宅でも集合住宅でもない、新しい建築となる。小さな単位でつくられた商業空間と住空間が街に隙間をつくり出し、断面的にパブリックスペースとつながることで、街、住宅、商業がひとつになる。   (プレゼンテーションより抜粋)

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■入選 2つの雁木をもつ家
 手塚 健太(法政大学大学院)
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近年、護岸の造成が進むに従って、人と川との生活が切り離されてきた。水辺を取り込んだ居職の家を設計することで、人と川との距離を少し近づけ、川との暮らしを後世に残す。敷地は新宿区上落合。かつて着物染色の産地であったが、年々職人が減り周辺には空き家が目立つ。敷地は川と路地に挟まれているが、両方に対して閉鎖的である。そこで緩衝空間としてふたつの雁木(船着場などにおける階段状の構造物)を挿入する。水辺を取り込むための雁木と、生活を受け止め街に発信する雁木。地下を開かれた親水空間とし、上階を居職の空間とする。親水空間は、豪雨時の水量の変化を受容し地上へ川が反乱するリスクを減らす役割も担う。  (プレゼンテーションより抜粋)

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■入選 キオスクホーム─郊外のまちに住まうということ─
 西川 博美(横浜国立大学大学院)小島 衆太(横浜国立大学大学院)
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加速する高齢化、斜面の多い立地による買い物難民、街に点在するコンビニ、という3つの文脈をもつ郊外住宅地において、街にコミュニティを求める単独高齢者と、誰でも気軽に訪れることのできるコンビニを掛け合わせた居職を提案する。徒歩300m間隔に住民の動線から導いた領域を複数想定し、居職の場を点在させる。配達トラックが循環することで、各領域をつないでいく。大屋根を架けた建築の1階は誰でも訪れられる職としてのコンビニ空間、2階を単独高齢者の住まいとする。棚ではなく大きな机で構成されたコンビニは、リビングのような交流の場となり、2階の住空間からも街の気配を感じることができる。   (プレゼンテーションより抜粋)

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■入選 Time Table House / 戸袋の中のすまい
 鈴木 智紘(芝浦工業大学大学院) 上田 将之(芝浦工業大学大学院)
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敷地は、昼夜間人口比がもっとも高い日本一のベッドタウン、神奈川の相模原市。昼に住民が減り、夜には住民が戻ってくる特殊な環境にある。住民の数や時間帯により家の大きさが変化する住まいを考えることで、より豊かな生活を考える。既存の住戸の塀を取り払い、プライベート空間をコアにして、扉の層で囲まれたひと回り小さな家をつくる。時間により扉が開閉することで家の大きさが変化し、家の周りに居場所が生まれる。住戸間の隙間の大きさも変化し、路地が中庭のようにもなる。戸袋の家は家族の変化にも対応する。同じリズムで生活する人が小さな生産を生み出し、豊かなつながりを生み出す。   (プレゼンテーションより抜粋)

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■佳作 環状居職
 敦賀谷 俊(日本大学) 清水 亮輔(日本大学)
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住むことは「ウラ」 働くことは 「オモテ」という関係に対し、「環状」に連ねることで、その関係性から表裏をなくす。従来の居職の家は商業が通りに面し、住環境は外部とのつながりが薄かった。断面を操作することで、商業は通りに面し、住居は外部(中庭)に面することができる。東京の伝統工芸を発信し、住まう建築群を、浅草の街に落とし込む。都市に住まい、都市を活性化する居職のかたち。    (応募案より抜粋)

■佳作 おおきな扉のしたで
 大谷 広司(千葉大学大学院)
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大きな突き出し扉をもった建築。大きな扉が開くと同時に生まれる扉の下のパブリックスペースは、店の主の仕事やライフスタイル、お客さんの様子や自然環境に応じて多様に変化し、さまざまなアクティビティが生まれる場となる。敷地は千葉県千葉市中央区の戸建て住宅地。学生や高齢者などの単身世帯、核家族世帯が生活する地域に、住まいであると同時に居職を通じて街とのさまざまな結び付き方を生み出す建築を提案する。    (応募案より抜粋)

■佳作 悉皆(しっかい)バスが通り抜ける家
 山内 翔太(神戸大学大学院)
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かつて、京都には着物の専門の職人をつなぐ役割を担う「悉皆屋」と呼ばれる人たちがいた。着物のことはもちろん、時には結婚の相談まで何でも請け負う地域のネットワークの核となる存在だった。そんな「悉皆屋」のような、人と人・人と地域のつながり方を考える。敷地は地方都市に隣接する北海道の小さな街。職を通じて街のリズムと個人の家のリズムを同調させるため、バス停を家の中に引き込む。小さな点としてのコミュニティや活動が、バスを通じて街全体へと広がっていく。     (応募案より抜粋)

■佳作 生きるたばこ屋─窓に暮らす/働く/集まる─
 一万田 知宏(東京大学大学院)
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たばこ屋は窓を介して社会とつながっている。 このたばこ屋には、たくさんの窓がある。店の人の気分や生活リズムによって、たばこを売る窓はゆるやかに移ろっていく。窓際にはいつも誰かがいて、たばこを吸いながら本を読んでいたり、店の人とみんなでごはんを食べていたりする。人がつながる場所を街に与えながら、いつまでも街にあたたかく見守られていく、そんな居職の家を提案する。    (応募案より抜粋)

■佳作 住宅×鉄道
 吉澤 裕二(昭和設計)
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情報化された社会システムにより、在宅勤務やノマドワーカーなどの場所にとらわれない働き方が注目されている。この現代社会において、場所にとらわれない住まいを提案する。住まいが動的になり、現代のワークスタイルと結実することが「居職の家」となる。住まいの動性を担保するインフラとして既存の鉄道網を活用し、各地を移ろいながら各地に活気を分散していく。住居のつながりも職のつながりもライフスタイルの中で増減していき、その変化を楽しむシステムである。    (応募案より抜粋)

■佳作 都市に寄り付く小さな家
 佐藤 建(立命館大学大学院)
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小さなイエ型の連続によって、既存の都市を新たな職住一体都市へとコンバージョンする。店舗空間を増築するだけでなく、アクティビティを表出し、人が寄り付かなかった上層にも人を引き込むことで、既存のシステムをも変更する提案。敷地は大阪・難波の道頓堀川に面するペンシルビル群。単純なボリュームのペンシルビルに、規模やプログラム、空室状況に応じたイエ型のボリュームを寄り付け、それらが連続することで建築内部に閉ざされていたアクティビティにつながりが生まれ広がっていく。   (応募案より抜粋)

■佳作 床下の共同職場
 林 晃平(首都大学東京大学院) 石田 由郁(武庫川女子大学)
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近年ネット社会の到来により自宅に居ながらネットワークを介して仕事を行う職と住の関係も現れてきた。しかし現状はあくまでも住宅内で完結し、町屋や商店街のように外部との関わりは希薄である。それらの職空間を解放し周りの職空間同士を結び付けることで、住宅は職を介して地域とのつながりをもち、街並みに賑わいを生む。郊外住宅地を対象に、床下に共同職場のある住宅群を提案する。 (応募案より抜粋)

■佳作 村という職場
 山本 至(東京大学大学院) 緒方 佑磨(東京大学大学院) 稲垣 拓(山下設計)
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集まって働くという、職の新たなかたちを考える。震災によって主産業である農業が衰退している村を対象とし、村人たちが集まって農業を行う村単位の職の場をつくる。震災後、もはや個人営業で生き残るのは厳しい農家が、農地をシェアすることで村単位の農業を行い、復興を促す。村単位の職場は居の空間によって結び付き、企業とは違ったつながりによる新たな集合としての職の場ができ上がる。 (応募案より抜粋)

■佳作 協働の家
 宮良 香央利(滋賀県立大学大学院)
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誰かの助けがなければ生きられない人はどれくらいいるだろうか。生きづらさや閉塞感を感じている人のために、小さなゆとりをつくり出す家を提案する。敷地は滋賀県野洲市、育児や介護など「小さな助けを必要とする人」と「少しなら手助けができる人」がいる地域。必要な人が必要な時に利用できる「協働の家」は、ある人にとっては生活の一部を担う第二の家であり、ある人にとっては小さな声を仕事にする場所である。戸建ての空き家を活用して「協働の家」が増えていくことで地域が暮らしやすくなる。   (応募案より抜粋)

■佳作 暮らしを生産する家
 鈴木 里美(早稲田大学大学院) 藤田 俊洋(大阪市立大学大学院)
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日本の住まいづくりを支えてきた林業の仕事を見つめ直し、「暮らし」を生む場と「住宅」が一体となった建築を提案する。林業不況の影響を受ける奈良県の吉野地方において、ばらばらだった林業家が集住し労働力を集約、共同組合を設立し共有の製材工場をつくる。林業家たちの住まいは間伐・主伐によって林中に生まれる余白に立ち上がる。伐採の周期に合わせて建築のかたちは常に変容する。   (応募案より抜粋)

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