「お客さまと共に生きていく」 長く愛され、信頼される企業であるために。
お客さまの声に正対し、声を大切な財産として育む新たなCSの形とは。

大和ハウス工業株式会社 本社CS推進部情報管理グループ 主任

栗原 奈王子 NAOKO KURIHARA

2004年12月:大和ハウス工業に入社

2006年10月:住宅事業推進部営業統括部 (現 住宅事業本部事業統括部)事業戦略グループ

2019年10月:CS推進部情報管理グループに配属

大和ハウス工業株式会社 本店 お客様相談室 神戸センター 主任

吉川 麻伊(写真左)MAI YOSHIKAWA

2009年4月:大和ハウス工業に入社 住宅営業所(営業職)に配属

2017年4月:神戸支店お客様相談センター(現 お客様相談室)に配属

大和ハウス工業株式会社 本店 お客様相談室 神戸センター

前場 藍(写真右)AI MAEBA

2004年4月:大和ハウス工業に入社 金沢支店管理部経理課に配属

2019年11月:神戸支店お客様相談センター(現 お客様相談室)に配属

大和ハウス工業株式会社 CS推進部 関西地区お客さまセンター 主任

中西 弘子(写真左)HIROKO NAKANISHI

2008年10月:大和ハウス工業に入社 本社CS推進部 関西地区お客さまセンター準備室に配属

2016年10月:コールセンター業務管理に従事

株式会社ベルシステム24

吉本 純子(写真右)JUNKO YOSHIMOTO

2009年6月:関西地区お客さまセンターに配属

2019年7月:ベルシステム24 スーパーバイザー職を担当

戸建住宅の定期点検でご訪問戸建住宅の定期点検でご訪問
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埋もれた宝に光を当てる

Spirit of Hearts

大和ハウスグループは毎年およそ3,000万人のお客さまと出会う。このうち約160万世帯※は「住まい」のオーナーさまだ。大和ハウス工業の戸建住宅や分譲マンションにお住まいのオーナーさま、賃貸住宅を建てられたオーナーさま。出会いから1年、2年かけて営業、設計、工事、インテリアコーディネーターがオーナーさまと二人三脚で歩む。プランを考え、インテリアを決め、時には土地探しからお手伝いし、建物を完成させてお引き渡しする。その瞬間はオーナーさまにとっても、大和ハウス工業にとっても喜びのクライマックスといえるだろう。

しかし、この1〜2年は住まいにとって序章に過ぎない。本編は、建てた後からスタートする。ここから長きにわたる建物の生涯のうち、多くの時間に寄り添い、約160万世帯を支えるのがアフターサービスのスタッフだ。彼らの存在なくして建物の価値を長く保つことはできない。

「住まい」のアフターサービスを担うCS部門は、オーナーさまからのお申し出を受けるコールセンターの「お客さまセンター」と、点検・修繕を行う全国の事業所にある「お客様相談室」とがある。オーナーさまからのお申し出は、CS統括部門に集約し、貴重な声として商品やサービスの改善・開発に反映する。

お申し出は住宅系だけでも年間約22万件。大和ハウスグループにとって、まさに無形の財産だ。しかし、情報量が膨大だ。社員へ発信した情報も、多忙な業務にまぎれて埋もれていく。その結果、オーナーさまから同じようなお申し出が繰り返される。そんな中、これまでの情報活用法も改善を積み重ねてきているが、より一層全社員へCS向上に取り組む重要性を伝えなくては。危機感に背を押され、CS推進部が動き出した。小さな蟻が大きな象を動かすように、組織を中から揺さぶる取り組みを始めたのだ。

※大和ハウス工業が建築した戸建住宅*、賃貸住宅*、分譲マンションにお住まいのお客さまの累計(*2023年3月31日)

CS推進部で新たなイントラページを運用CS推進部で新たなイントラページを運用
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失敗例と成功例を共有する

Spirit of Hearts

住宅部門からCS統括部門へ異動してきた栗原は、驚いた。「CSに関わる人たちが、これほどまで真摯に、きめ細やかにオーナーさま一人ひとりと向かい合っていたなんて」

栗原は、住宅商品の販促や分譲ブランドの構築を担当していた。家や街に求められる安心・安全や快適に、プラスαの価値を付け、いかに良い商品で売れるものをつくれるか。事業活動では必然の視点だが、その先にあるCSのことを全くわかっていなかった。「なぜCS活動は、私も含めて社内で知られていないのだろう?」

CS部門では、オーナーさま一人ひとりの立場で考える「個客思考」をモットーにしていた。「同じだ!」。かつて栗原自身も、個々のお客さまのこだわりや価値観を大切にする「個客思考」を念頭に商品を開発していた。事業とCSは地続きだった。大和ハウス工業の両輪だったのだ。

その根底には創業者精神が息づいている。「何をやったら儲かるかではなく、何が世の中の人に喜ばれ、役に立つかを考えよ」。創業者が問うた「何が喜ばれるか」の答えは、オーナーさまの声の中にある。

CS部門の課題は、社内外に向けたPR力の弱さだと栗原は感じていた。では、オーナーさまの貴重な声を、事業所にどうわかりやすく伝えるか。悩んだ末、イントラネットに新たなページ「声のイエ」を立ち上げた。コンセプトは「オーナーさまの声からつくる1軒の住まい」。分散していた情報を体系立てて整理し、居室別・部位別に表示。「ここに“あの照明”のスイッチが欲しかった」といったご不満や失敗事例と、解決策・回避策を閲覧できるようにした。

だが、不満の解決はマイナスをゼロにする施策。ゼロからプラスへの底上げも目指したい。幸い、お客さまアンケートには社員へのお褒めの言葉も多い。お客様相談室のある担当者へは「定期点検でどんな細かい点も改善していただけて、毎回感心しています」とのご感想。営業担当者へは「私の生涯の財産に成り得る営業担当者だと思います」。設計担当者へは「ずっと顧客ファーストの姿勢で、とても安心できました」。工事担当者へは「『NO』ではなく『できる』方向で前向きな対応をしてくださった」と声をお寄せくださった。

ゼロからプラスへ。これらの事例のように、オーナーさまの期待を上回り、「大変満足」をもらう秘訣も共有したい。そこで「声のイエ」の1コンテンツとして、優秀な社員を取り上げ、考え方や実践方法を分析・紹介する「お褒めPROJECT」を開始。人選の基準は、営業成績や役職ではない。アンケートからあふれだすお褒めの声の熱量だ。

「個客思考」を掲げた初期(CSRレポート2011)

「個客思考」を掲げた初期(CSRレポート2011)

イントラネット「声のイエ」

イントラネット「声のイエ」

お客さまセンター お客様相談室による定期点検お客さまセンター お客様相談室による定期点検
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CS最前線で働く人たち

Spirit of Hearts

「お客さまセンター」は、コールセンターと業務センターで構成される。コールセンター業務は信頼できる専門企業に委託し、ご相談への回答や進捗状況のご報告などを電話・SMSで実施。災害時には、事業所の社員と連携し、オーナーさまにお見舞いの電話をかけて建物状況を確認することもある。隣室の業務センターには大和ハウス工業社員が常駐。HEMS※などの最新設備は現場映像を見ながら遠隔で指示を出したり、必要な資料を作成配布したりすることで、コールセンター内でのワンストップ対応ができるようサポートする。

業務センターの中西は「両センターの関係が良好で、忌憚のない意見交換ができるから、より良いサービスへ改善できる」と語る。ここ関西地区お客さまセンターはオペレーターの勤続年数が長く、住宅展示場や設備の展示会で操作を学ぶなどスキルも高い。電話を受けると、邸別の図面を見て問題点を探りあて、簡単なものは電話口でのワンストップ解決を図る。

当然お叱りの電話もある。コールセンターの吉本は「苦情はオーナーさまの“悲しみ”。一生のお住まいに不具合があると悲しんでいらっしゃる。だから、どんな時でも傾聴する姿勢を大切に」と心がける。

一方、「お客様相談室」はお引き渡し後の定期点検と、お申し出があれば臨時訪問を行う。臨時訪問は、お客様相談室神戸センターだけでも毎月300件のお申し出に対応している。

吉川と前場は定期点検を担当。この日は1年点検のお住まいへ。建物・設備の点検と並行し、お手入れ方法も実演を交えてアドバイスする。オーナーさまは「浄水器のカートリッジ交換のサポートや、便器のサイドカバーの開け方を教えてもらうなど、なんでも大和ハウスに相談しています」とのこと。

その信頼にお応えするため、吉川たちは数十社に及ぶメーカーの建材・設備情報や施工の知識を日々学び続ける。キズや故障があれば、「このドアだけ丁番が緩むのは、小さなお子さまが頑張って開けようとするからかな?」と暮らし方まで推し量る。プライバシーに踏み込みすぎないよう、でもアンテナは張り巡らせ、暮らしを感じ取っている。

竣工後もアフターサービス担当者だけでなく、営業、設計、工事、インテリアコーディネーターのみんなで知恵と経験を出し合えば、オーナーさまの満足度はもっと高くなるだろう。暮らしの本編は、建てた後から始まる。そこに長く寄り添い続けることが、大和ハウス工業の役割なのだ。

※ホームエネルギーマネジメントシステム。エネルギーの見える化、設備を最適に制御するための管理システム。

レンジフードの外し方などもアドバイス

レンジフードの外し方などもアドバイス

浴室の排水口は部品を外して点検

浴室の排水口は部品を外して点検

CS活動の喜びも苦労もわかりあえる仲間たちCS活動の喜びも苦労もわかりあえる仲間たち
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お客さまに愛され、信頼される企業に

Spirit of Hearts

CS最前線にいる人たちは、数十年にわたってオーナーさまを支える、大和ハウス工業の宝だ。「凡事徹底」、やるべきことをあたり前に実践することが信頼につながると知っているから、努力や成果を声高に主張しない。その中において栗原の役目は、「声のイエ」で最前線の声なき声をすくい上げ、オーナーさまの声と共に社内へ広めていくことだ。

成功体験もある。鉄骨住宅商品「xevoΣ」はデビュー当時、持続型耐震技術を売りにしていた。ところがご入居者宅を訪問調査すると「高い天井が広々快適」との声が続々。販売開始から1年半後、マーケティングコミュニケーションの軸足を「天井高2m72cm」に変え、「xevoΣ」の売上を伸ばすことにつながった。

「声のイエ」は、大和ハウス工業全社員とグループの大和ハウスリフォームに向けて発信している。当初の閲覧数は1記事で平均400人だったが、今では2,000人に。「お褒めプロジェクト」はユニークユーザー9,000人超えの人気コンテンツに成長した。

スタートから2年経過時のアンケートでは、「声のイエ」が設計提案や竣工検査、工事中のオーナーさまとのコミュニケーション、研修など、さまざまな場で活用されているとわかった。住宅商品開発でも「浴室カウンターはいらない」との声を受けたバスルームがラインナップに組み込まれた。

流通店舗など他の事業を担当している社員の関心も高い。経理や総務、工事監理などの管理部門にとっても、オーナーさまの声を聞ける貴重な場になっている。「声のイエ」は部署や職種を越えて気付きと刺激をもたらしている。今後は内容をさらに拡充し、認知率を高め、CS理念の浸透を図っていくのが目標だ。

大和ハウスグループは今、顧客リレーションを最重要視して事業や活動を展開している。その一つ、かつて開発した戸建住宅団地を再耕・再生するリブネスタウンプロジェクトでも「声のイエ」を活用している。

こうして多様なCS活動を一つひとつ積み重ねていけば、オーナーさまの幸せや笑顔が広がり、社員の幸せや笑顔も増えていく。幸せのスパイラルは無限に続き、2055年の創業100周年を迎える頃には無形の企業価値となるだろう。平時は「凡事を徹底」し、有事の際には頼られる「社会の公器」を目指す。そして私たち一人ひとりが、CS理念に掲げた「お客さまに愛され、信頼される企業」の誇り高き一員でありたいのだ。

※掲載の情報は2023年12月時点のものです。

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