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コラム No.19-1

PREコラム

「中心市街地活性化法」に向けた取り組み(前編)

公開日:2016/10/28

地方では現在、人口減少による集落の過疎化に加えて、街の顔である中心市街地においても空洞化が進み、生活の拠点が失われつつあります。
平成18年8月に改正・施行され、平成26年8月にも改正・施行された「改正中心市街地活性化法」は、中心市街地の活性化を支援することで安心して暮らせる生活基盤を整備することが目的でした。それは喫緊の課題であり、国土交通省や経済産業省をはじめ、農林水産省、総務省、厚生労働省、文部科学省、警察庁も中心市街地の活性化を支援しています。
まさに国を挙げての地方再生支援とも言える状況ですが、実態はどのような状況なのでしょうか。平成28年5月に日本商工会議所からの意見書によれば、以下のように、まだまだ取り組みは活性化していないようです。
「改正後の中心市街地活性化法に対する評価については、制度が活用しやすくなった等の声がある一方で、認定のハードルが高い、メリットが少ない等の指摘があり、実績としても中心市街地活性化の取り組みが増大しているとは言い難い。また、都市再生特別措置法の改正により新設された立地適正化計画制度については、200を超える地方自治体で活用が検討されているものの、同計画策定への商工会議所の関与は非常に低く、官民一体となった取り組みは進んでいない。加えて、空き地・空き店舗等の所有者の不在・不明や、まちづくりのリーダー・担い手の不在が、まちづくりへの取り組みの大きな課題となっている」(日本商工会議所「まちづくりに関する意見」より)

このように、平成26年の改正が必ずしも想定通りの結果とはなっていないことを受けて、平成28年に、国土交通省都市局まちづくり推進課から「改正中心市街地活性化法」をより一層活用できるよう、「中心市街地活性化ハンドブック」が公表されています。

中心市街地活性化法とは

そもそも「改正中心市街地活性化法」とは、どのような法律なのでしょうか。
かつて、大規模小売店舗が出店するにあたって、「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律」(大店法)に基づき、地元中小小売業者との商業調整が行われてきましたが、国内外の環境の変化に応じて平成12年に大店法は廃止されました。
その後、「大規模小売店舗立地法」「中心市街地における市街地の整備改善と商業等の活性化の一体的推進に関する法律(旧中心市街地活性化法)」「改正都市計画法」という、いわゆる「まちづくり3法」が制定され、従来の商業調整にかわる新たな枠組みへと転換しました。このうち、旧中心市街地活性化法は平成18年に改正され、その後平成26年にも改正され「改正中心市街地活性化法」として今日に至っています。

国交省からの「中心市街地活性化ハンドブック」によれば、平成18年に改正された「中心市街地活性化法」は、人口減少・超高齢社会の到来を迎える中で、高齢者をはじめ多くの人々にとって暮らしやすい街となるよう、様々な機能がコンパクトに集積した、歩いて暮らせるまちづくりの実現を目的とされていました。
それまでの、いわゆる旧中心市街地活性化法は、商業振興策が中心であり、街なか居住の推進や、図書館、病院等の都市機能の集積促進などが目的だったため、中心市街地を「生活空間」として再生する措置が少なく、また、市町村が策定した基本計画の内容を評価し、意欲的な取組みを国が集中的に支援する仕組みとなっていませんでした。

平成26年の改正のポイントと国交省の支援策

そのため平成18年の改正では、政府全体で取り組むため内閣に中心市街地活性化本部を設置するとともに、市町村が作成する基本計画の内閣総理大臣による認定制度を創設するなど、様々な支援策を重点的に講じていくことにしたものです。
しかし、その後も少子高齢化の進展や都市機能の郊外移転による中心市街地における商機能の衰退や空き店舗、未利用地の増加に歯止めがかからない状況を受けて、平成26年に再度改正されました。平成26年の改正のポイントは、民間投資の喚起を図り、中心市街地を活性化するために、次の2点に沿って事業を進めることにあります。

  • (1)国による総合的・一体的な支援:中心市街地活性化の実現のため、政府として総合的かつ効果的に推進するため、内閣総理大臣を本部長とする中心市街地活性化本部を設置し、基本方針の案の作成や施策の総合調整、事業実施状況のチェック&レビューを実施。基本計画に対する内閣総理大臣の認定制度を創設。
  • (2)多様な関係者の参画を得た取組みの推進:中心市街地の活性化を進めるため、小売業の顧客の増加や小売事業者の経営の効率化を支援するソフト事業を認定する制度、オープンカフェ等の設置に際しての道路占用の許可の特例、それぞれの中心市街地において活動が認められる特例通訳案内士制度等を創設。

上記に基づいて、国土交通省では様々な支援策を用意していますので、その一部を紹介します。さらに「中心市街地活性化ハンドブック」には、国交省の支援策を活用するための応募要項も用意されていますので、市街地の活性化を検討している企業・団体は是非とも参照されることをお勧めします。

  • 都市再生整備計画事業:地域の歴史・文化・自然環境等の特性を活かした個性あふれるまちづくりを総合的に支援。
  • 都市再生区画整理事業:都市基盤の整備と併せて街区の再編を行う土地区画整理事業に対して助成を行い、活力ある経済活動の基盤となる市街地への再生・再構築を支援。
  • 暮らし・にぎわい再生事業:都市機能の街なか立地、空きビル再生、多目的広場等の整備等を総合的に支援し、まちなかに公共公益施設等の都市機能等の導入を図る。
  • 市街地再開発事業等:活力ある経済活動の基盤となる市街地への再生・再構築を促進するため、市街地再開発事業に係る施設建築物の整備等に対して支援。
  • 都市公園・緑地等事業:商店街等の中心市街地の活性化に資する公園・緑地の整備について支援。
  • バリアフリー環境整備促進事業:建築物のバリアフリー化等の環境整備の促進を図るため、スロープ、エレベーター等の整備に対する支援。
  • 優良建築物等整備事業:市街地の環境の整備改善、良好な市街地住宅の供給等に資するため、土地の利用の共同化、高度化等に寄与する優良建築物等の整備に対する支援。
  • 住宅市街地総合整備事業:快適な居住環境の創出、都市機能の更新、密集市街地の整備改善及び街なか居住の推進等を図るための支援。
  • 地域住宅計画に基づく事業:公営住宅の建設や面的な居住環境整備など地域における住宅政策を自主性と創意工夫を活かしながら総合的かつ計画的な推進を支援。
  • 街なみ環境整備事業:地方公共団体及び街づくり協定を結んだ住民が協力して、ゆとりとうるおいのある住宅地区を形成するための支援。
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