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コラム No.8-2

トレンド・CREコラム

小売業三業態(スーパー、コンビニエンスストア、ショッピングセンター)の動向に見るCRE戦略のヒント

公開日:2016/08/31

国内の小売業の業態動向は現在、どのような傾向を示しているでしょうか。CRE戦略をBtoCの視点で見た場合、小売業の業態動向はひとつのヒントになるのではないでしょうか。
各種調査結果から、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ショッピングセンターの現況を分析し、CRE戦略のヒントを探ってみたいと思います。

スーパーマーケットにおける店舗数の増減

まず、スーパーマーケットの店舗数について見てみましょう。
全体的には、減少よりも増加が若干増えていますが、小売企業の保有店舗数と標準的売場面積によって、大きな違いがあります。
保有店舗数別(表1)に見ると、保有店舗数4店舗以上の企業では、店舗数が多くなるほど「増加」の回答割合が顕著に高くなり、「変わらない」の回答が減少します。保有店舗数が10店舗以下の企業では「減少」の回答割合が「増加」を上回りますが、11店舗以上では「増加」の回答割合が「減少」を上回るなど、同じスーパーマーケットでも保有店舗数が多い企業と少ない企業とでは明らかな差異が見られます。
標準的売場面積別(表2)に見ても同様の傾向がうかがえます。売場面積の拡大とともに「増加」の回答割合が高くなり、売場面積1,600m2以上の企業では「増加」の回答割合が半数を超えています。
これらのデータから、ある程度の規模を持つスーパーマーケットは店舗展開を積極的に実施しており、小規模小売企業が淘汰されていく傾向があるといえるでしょう。

表1:前年と比べた店舗数の増減/全体、保有店舗数別

出典:「平成27年 スーパーマーケット年次統計調査報告書」(一般社団法人 日本スーパーマーケット協会)

表2:前年と比べた店舗数の増減/全体、標準的1店舗あたり売場面積別

出典:「平成27年 スーパーマーケット年次統計調査報告書」(一般社団法人 日本スーパーマーケット協会)

コンビニエンスストアのさらなる躍進と経済的拡大

次に、コンビニエンスストアに目を向けてみましょう。
小売業全体が低迷する間もコンビニエンスストアの販売額は拡大の一途をたどり(表3)、平成21年にはついに百貨店の販売額を抜き、平成25年には店舗数が5万店を超えました(表4)。
コンビニエンスストアの店舗数が増加を続ける背景には、自治体や公共のサービスが財政難の影響を受けて縮小傾向にある中、オフィス街や郊外への積極的な出店をはじめ、コンビニならではの多様な出店形態が可能であることも大きな強みとなっているようです。
たとえば、調剤薬局チェーン、鉄道関係、カラオケチェーン、外食チェーンなどとの「異業種提携店」が増加しています。
さらに、駅、空港、病院、パーキングエリア等への出店、高齢化や世帯人員の減少に対応するための宅配・移動販売や生活支援機能の提供、また医薬品や生鮮品等の拡充など、フレキシブルな展開を進めています。
また、災害時においては、被災地での仮設店舗や移動販売車による営業、店舗の設置が難しい場合はヘリコプターなどによる輸送など、実店舗にとどまることのないコンビニエンスストアの機動性や拡張性は、新たな小売業の時代の到来と可能性を告げるものといえそうです。

表3:小売業販売額の推移(単位:兆円)

出典:「商業動態統計調査」平成25年(経済産業省)

表4:コンビニエンスストアの店舗数の推移

出典:「商業動態統計調査」平成25年(経済産業省)

成熟期からの脱皮が望まれるショッピングセンター

次に、ショッピングセンターを見てみましょう。
ショッピングセンターの新規オープン数(表5)は、2007(平成19)年をピークにしばらく減少傾向となりました。しかし、新規オープンがわずか35店舗と大きな落ち込みを見せた2012年を底値として、2013年は65店舗、2014年は55店舗、2015年は60店舗と、回復・安定傾向を見せています。
一方で、2015年における新規1店舗当たりの平均面積(表6)は19,942m2となっており、2008年の27,791m2をピークに、2009年以降は20,000m2前後で推移しています。この背景には、2007年の都市計画法の改正により、土地用途が制限されて大型ショッピングセンターの郊外出店が難しくなっていることが挙げられます。
さらに、2015年末現在の総ショッピングセンター数は3,195店舗となっており、業界自体が成熟期を迎えていることも停滞傾向を招く要因となっています。さまざまなアイデアや手法が出尽くし、それぞれの店舗における同質化が進む中、各企業がどのように差異化を図り、ブレークスルーを果たすかが注目されます。テナントの選定、ショッピングセンターそのもののキャラクター設定など、地域の特性や顧客ニーズの変化を鋭敏に捉えた着想、従来とは異なる新しいショッピングセンターのあり方を模索していく必要があるでしょう。

表5:年次別・立地別オープンSCの分布(2001年以降)

出典:一般社団法人日本ショッピングセンター協会資料

表6:オープン1SC当りの平均店舗面積とテナント数の推移

出典:一般社団法人日本ショッピングセンター協会資料

CRE戦略の視点から三業態を見てみると

ここまで、小売業三業態の現状を見てきました。大まかに全体像を捉えると、コンビニエンスストアが販売額、店舗数ともに活況、スーパーマーケットは堅調(特に大型店、多くの店舗を有する小売企業)、ショッピングセンターは停滞傾向にあるといえます。
コンビニエンスストア市場が小規模スーパーマーケットの市場に取って代わったという見方もできるかもしれませんが、土地活用の観点においても、地域社会、地域住民に貢献できる業態が求められていることは間違いないでしょう。
一方、都市計画法の変更により大型店舗の新規出店がままならず、業界自体が頭打ち状態にあるショッピングセンターについては、今後さらに進むであろう少子高齢化、人口減少の流れに沿った、コンパクトシティ化が進む中での新しいショッピングセンターの形が求められているのかもしれません。
CRE戦略という視点に限らずいえることですが、どの業態も流通形態の進化、顧客ニーズの変化、地域活性化の必然性などを踏まえ、他業種との連携も視野に入れた新たな需要を生む着想とノウハウが強く求められるところです。

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