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インタビュー 010
  • 土地活用税務コラム

税理士リレーインタビュー 第十回 「税理士は地元でお困りのお客様の窓口。まずはお気軽にご相談ください。」 税理士法人キャンバス代表社員税理士 越川利明様

公開日:2017/11/30

仕組みづくりやチーム化などによって、間口を広げる

インタビュアー(以下I):キャンバス様は「ISO9001」の認証取得をされていますが、税理士業務ではあまりないことだと思います。

越川(以下K):新しい職員が入ってきたときなど、仕事を覚えるための基準というものがなくて、ISO(国際標準化機構)の力を借りて標準化をしたいと考えました。最初に誰が依頼を受けても、しっかりアポイントを取って面談までたどり着ける仕組みづくりも必要でしたし、やはり仕事は自分一人ではできませんからね。また、この仕事をしていると個人情報がたくさん入ってきますので、2017年の3月には「ジャフィック(JAPHIC)」という個人情報保護体制の第三者認証も取得しました。これは「契約書や書面添付など、しっかり管理しています」という外向きのアピールでもあります。

I:地元の法人様をメインのお客様として活動されているのでしょうか。

K:私どもの事務所の柱としては、法人、個人事業者、不動産オーナーなど資産家の方々ということになるでしょうか。最初に埼玉県上尾市で開業したときはなかなか地元のお客様を取り込めませんでしたが、駅前に場所を移してからはいろいろなお客様が来てくださるようになりました。上尾には金融機関が非常に多く、そうしたところとの連携も深めながら、少しずつお客様を増やしています。

I:個人のお客様の資産税対策についてはいかがでしょうか。

K:私は所長として間口の広い対応をしていますので、資産税だけに特化することはできません。そこで、どんなご相談が来てもきちんと対応できるよう体制をつくり、資産税については2人のベテラン税理士に顧問になっていただいています。資産税は1人では解決できなかったり、経験値がものをいったりするケースも多いので、素晴らしいキャリアをお持ちの先生方とチームで当たることができるのは私自身にとっても安心感があります。

少子高齢化に伴い、さまざまな専門家との協力体制によって相続対策を実施

I:土地オーナー様における相続対策の実態はどのような状況ですか。

K:皆さん、遺言を書いたほうがいいのは重々わかっているのですが、それは自分の死を見つめていくことでもありますから、書かずにいるケースは多いですよね。
親は対策を始めたいけれど子どもが嫌がる、子どもは遺言を書いてほしいのだけれど親が嫌がる、あるいは親は財産を子どもに継いでほしいのだけれど子どもはいらないと言う、などの不一致があって、なかなか相続対策が進まないのだと思います。
基本的には財産を残す側、つまり親がうんと言わない限り、話は進みません。そのうちに親が年を取って、認知症になってしまったり、意思能力に問題が出るといった状況はよくあるので、事前の対策といってもなかなか難しいものがあります。

I:キャンバス様では、どのような対策を講じることが多いのでしょうか。

K:私たちが今までやってきたことですと、祖父や祖母の財産がたくさんある場合、銀行と話をして管理会社をつくり、その資産を移管していくという方法が多いです。
また、金融機関側から相談を受けることもあります。相続する側のお子さんが、自分の親の預金がどこにどれだけあるのか、あるいは昔からの財産がどうなっているのかわからないというケースは少なくありません。

I:相続対策と一言でいっても、さまざまなケースがありそうです。

K:そうですね。今は皆さんがどんどん長生きになってきていますから、おしなべて相続人の年齢層がかなり高くなっているという実感があります。
しかも、昔と比べると相続側の人数自体が少なくなっていますから、残された高齢の配偶者様やお子様たちの心情に対するケアも大切になってきていると感じます。

I:まさに高齢化・少子化の縮図ですね。

K:そうなりますと、遺産の分割はいいとして、残された方々のその後の生活やサポートをどうしていくかという話になります。そこで、司法書士、弁護士、土地家屋調査士、あるいは鑑定士の先生など、あらゆる専門家と協力体制を組みつつサポートを進めるようにしています。
皆さん、最初は私たち税理士のところに相談に来てくださいますが、実は私たちの専門分野以外のこともたくさんあって、相続税の計算などはともかく、それ以外の分割をまとめていくにあたっては非常に苦労します。
どなたかにとって意に沿わないケースがある場合、「先生はどちらの味方なんですか?」などという事態にもなりかねません。

I:被相続人が不動産をお持ちの場合、保有されている不動産の状況によっても事情が異なると思いますが、少しでもリスクを小さく抑えるにはどのような手立てが考えられますか。

K:理想をいえば、今の母屋がある場所に収益物件を建てるのがベストです。敷地の中心部さえ更地にできれば、かなりいい建物を建てられますから、その後の収益もまったく変わってきます。
ただ、そのような提案をすると、ご本人たちはあまりいい顔をされませんので、息子さんやお孫さんのほうに「駅近のマンションなどに移られてはいかがですか?」と地道な提案を続けていきます。
また、手元に現金がないと、相続の際に結局は土地を切り売りするしかなくなってしまいます。それでも相続はできるのですが、私どもの仕事においては「土地を売らずに相続ができた」というのが一つの成果であり、「いい相続だった」と思っていただけるかどうかも、そこにかかる比重が大きいと思います。

ベッドタウンとしての立場を認識しながら、土地オーナーにとってのメリットを見極める

I:上尾市は東京から1時間ほどの通勤圏内にありますが、現状、どのような位置付けにある地域だとお考えですか。

K:今、上尾駅周辺にはマンションがどんどん建っていて、小学校の生徒数が増えています。昭和40年代に作られた公団が四つあり、これによって人口が増えてきた経緯がありますが、現在は若い人が減り、高齢者世帯が増加し、商店街に活気がなくなっています。
関東信越国税局管内で昼夜の人口数を調べたところ、昼間人口が最も少ないのが上尾税務署管轄でした。ある時期からJRの便が良くなって、東京まで1本で行けるようになった影響も大きいと思いますが、昼は都内に働きに行った人が夜になると帰ってくるという典型的なベッドタウンです。そのせいか、金曜日の夜に上尾で飲食されている方は多く見かけませんし、デパートも混んでいるとはいえない状況です。
ベッドタウン化がすごい勢いで進む中、地元になかなかお金が落ちない地域といえるのではないでしょうか。

I:人口が微増しているということは、賃貸住宅へのニーズはまだあるということでしょうか。

K:上尾駅の西口は区画整理が進行中で、住宅建築が進んでいます。賃貸住宅も増えていますし、今後、どういう人口構成になっていくのかはわかりませんが、新しく建物が建つということは、借り手のニーズもあるということではないでしょうか。
賃貸物件においては建て替え需要が出てきているように思いますが、まず、土地オーナー様にとってのメリットを見極める必要があります。それによって税金がどう変わってくるのか、新たに建て替えた建物を誰にあげたいのかなどです。賃貸住宅経営を行うことで、適切に収益が上がり、生活費や税金を払えて、手残りもあって、ということであれば、それはそれでいい選択なのではないかと思います。

I:上尾市周辺の法人のお客様にはどのような特徴がありますか

K:私は51歳ですが、地元の中小企業の経営者層の平均年齢もそれくらいです。ということは、ちょうど今、世代交代の時期に差し掛かっているわけです。これまでは開業支援や創業支援など前向きで明るい仕事が多かったのですが、今後5~10年くらいは株価の算定なども含め、組織の承継や経営者の方の相続をお手伝いすることが増えると思います。そうした需要を踏まえて、私どもが毎月行っている「キャンバスセミナー」でも、株価算定のセミナーや事業承継のセミナーを少しずつ組み込んでいます。

I:今後はどのような土地活用事例が増えていくと思われますか。

K:上尾市も今後は高齢化がどんどん進んでいくので、どちらかというと高齢者向けの施設などの需要が出てくるのではないかと思います。実際、賃貸住宅を高齢者向けのものにしたいというご要望なども出てきています。
そうしたニーズは増えてはいますが、現実的にそれだけの敷地があるかという問題もあります。業者さんから「そういう土地を持っているオーナー様を紹介してくれませんか」という話もいただきますが、なかなかすぐには出てこないのが実情です。
「今ある農地をどう活用するか」「生産緑地をどうするか」といった土地オーナー様からのご相談は、これから増えてくるのではないかと思います。

I:国内には持ち主がわからない土地が九州の面積くらいあるという話もあります。地価が下がっていけば、そういうケースはたくさん出てくることになるのでしょうか。

K:地方の山林などに関しては、「どうにもならないから、相続の登記はもうしません」とか「そのまま放っておきたい」とおっしゃるお客様もいらっしゃいます。
また、上尾に広く大きな家があっても、お子さんは全員独立して他の土地に住んでいるケースが多く、ご両親が亡くなるとその家は空き家になってしまうわけです。お子さんたちは現在の場所にコミュニティーができていますから、こちらに帰ってこようという人はほとんどいません。
昔は団地住まいの人たちが憧れるような、50坪くらいの住宅が上尾にもたくさんありましたが、今はそうした家が売りに出されていたり壊されて更地になっていたりします。団地にもかなり空きが出ていますし、そうした空き家対策については上尾市がしっかり考えていかなくてはならないでしょうね。

I:そういう状況だからこそ、やはり早めの対策が大切になりそうですね。

K:今は持ち家に対する需要も変化して、都心にマンションを借りれば持ち家も車も不要、という価値観が出てきているのは事実です。それでもお客様にとっては大事な土地ですから、やはり土地の有効活用ができるのであればその方法を一緒に考えたいと思いますし、相続対策についても私どもには多くの蓄積があります。若手からベテランの顧問までおり、バックアップ体制も万全です。駅前という立地ですから、ぜひ気軽にご相談にいらしてください。

上尾で困っている方たちの役に立ちたい

I:「遺産に係る基礎控除額」の引き下げによって相続税の対象者が増えていますが、キャンバス様のお仕事にはどのような影響がありますか。

K:私どもの事務所にいらっしゃるお客様は、いわゆる富裕層というよりは、持ち家があり退職金も出て金融資産が少しある、あるいはワンルームの投資物件を一軒だけ持っている、という層が中心です。そういう方々が、税制が変わってお子さんに相続税がかかりそうだということで、ご相談に見えるケースは確かに増えてきています。
駅前という立地から、初めてのお客様がお見えになりやすいというのもあるでしょうね。小規模な案件だからこそ、大手の事務所よりも逆にやりやすいと思いますし、職員にとってもいい経験になりますから、ここは頑張っていこうと思っています。

I:それだけ相続問題が身近になってきた今、一般的な会社員の家庭でも事前に何らかの相続対策を考えておく必要があるわけですね。

K:今まで相続税の対象者は4~5%といわれていましたが、今後はどんどん増えるでしょうし、少額でも税金がかかるとなれば、やはり備えはしておくほうがいいのではないかと思います。
ただ、一般的な会社員の方は税理士との接点がほとんどありませんから、実際にお父さんが亡くなってからあたふたする、というケースがほとんどだと思います。そういう皆さんのために、普段からセミナーを行ったり、別件でいらっしゃるお客様にもそれとなく相続税のお話をしたり、何とか周知を進めていこうと努めています。

I:相続の件で初めて税理士さんに相談する場合、どのような準備をして伺うべきでしょうか。

K:家族構成と財産構成をざっと把握して来ていただけると助かります。預貯金については各種の通帳、不動産については固定資産税の通知書などがあるといいですね。
私どものほうで「相続税の早見表」というものをご用意していますので、それを見ながら、財産や相続人、さらに配偶者の有無などから、だいたいどれくらいの税金がかかるかということをお伝えすることができます。それらをもとに、「これなら相続税は払えますね」とか「税額を減らすには贈与をしたほうがいいですよ」などとアドバイスをします。
不動産は場所や広さがわかれば、おおよその路線価などは推定できますが、やはり具体的な情報がたくさんあったほうが、よりきちんとしたお話ができると思います。

I:初めの1回だけでも、かなり有用なアドバイスをいただけそうですね。

K:うちの場合、初回のご相談は無料でお受けしています。その結果、初回のご相談だけで納得して帰っていかれる方もいらっしゃいますが、そうすると私たちとしては仕事になりません(笑)。有料という選択肢もあるのでしょうが、まずはお話を伺ってうちの事務所のことを知っていただき、そこから次につなげていければ、という考えから、初回は無料で承っています。大事なのはその後の継続的なフォローだと思いますし、そこは私たちの今後の課題でもあると考えています。
次回のために個々のお客様の相談票を作成し、先ほどお話ししたISOの枠組みの中に保管しておきます。それを見れば、そのお客様がどういうきっかけで、どんな相談で、私どもの事務所にいらしたかがわかるようになっています。「前に相談に来たんですけど」とおっしゃって、確定申告の直前にお見えになるお客様もいらっしゃいます。

I:キャンバス様は独自のシステムをお持ちですから、どのようなお客様にもご対応いただけそうです。

K:会計事務所というのは、何かお困りの皆さんの最初の窓口であり、受け皿です。「税理士に頼りたくない」とお考えの人に無理に来ていただいて「また来てください」とも言えませんが、まずはうちにご相談いただければ、何らかのお手伝いができると思いますし、ジャンルが違う場合は別の専門家をご紹介することもできます。
私も長年、上尾でお世話になっていますので、できるだけ上尾で困っている方たちのお役に立ちたいと考えています。

I:キャンバス様と大和ハウス工業のパートナーシップについて、土地活用における実例や課題などがあれば、ぜひお伺いしたいと思います。

K:大和ハウス工業さんは豊富な事例をお持ちで、個人オーナー様向けの賃貸住宅だけではなく、郊外や国道沿いの大型店舗なども手掛けておいでですから、私どもとしては非常に勉強になります。
これまで大和ハウス工業さんと連携して賃貸住宅経営などのお手伝いをしてきましたが、現在でも、住宅の建て替え、あるいは経年劣化による家賃相場のダウンや空室の増加といったご相談が頻繁に出てきています。
一時的に相続対策として新しく建物を建てるケースは今もあるのですが、やはり既存の建物をどうしていくかが今後の課題になるように思います。

I:上尾市周辺の実情に沿った貴重なお話をたくさん伺うことができました。ありがとうございました。

越川利明(こしかわ としあき)

税理士法人キャンバス代表社員税理士

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