コラム vol.084
1棟モノの賃貸住宅購入の落とし穴
公開日:2015/09/11
賃貸住宅経営に取り組む人は、リーマンショック以降増え続けている。
土地活用として賃貸住宅を建てるという方がもちろん多いのであるが、最近では新たに土地を購入してそこに賃貸住宅を建てる、という方も増えている。
土地の値段がそれほど高くなく、その割に賃料が安定しているようなエリアなどにおいては、新たに土地を購入して賃貸住宅を建てても、十分にメリットがある投資だと言えよう。
区分マンションではなく、1棟モノの賃貸住宅経営を行う場合、
- A.自らが所有している土地に賃貸住宅を建てる (土地活用)
- B.土地を購入して、そこに賃貸住宅を建てる
- C.賃貸住宅そのものを買う (新築、中古)
本コラムで何度も述べてきたように、賃貸住宅経営においてのリスクは、「空室リスク」と「賃料の値下がり」である。
賃貸住宅の空室率はエリアにより異なるが概ね15~20%前後(入居者入れ替わり、建て替え予定の募集停止やとても古い物件を含む)である。築年数が20年未満での空室が続くような賃貸住宅は、市場のニーズをとらえていない、エリアニーズをとらえていない、賃料があっていない、などと推測される。
(A)、(B)のパターンの場合は、賃貸住宅の建築に際し、オーナー様はハウスメーカーが行うマーケティングに基づき間取りなどについて検討を行い、決めていくので、大きな見当違いは起こらない。そのため、ダイワハウスの賃貸住宅のようにきっちりとしたマーケティングに基づいた商品を開発し、エリア調査に基づいた間取りを考えて、適切な賃料設定をしていれば、空室率は1桁代に留まっている(※)。
※2015年7月現在大和リビング調べ
一方、(C)の場合は、注意が必要だ。
いま述べたように、きっちりとしたマーケティングが行われていれば問題はない。しかし、利回りを重視するあまり、入居者目線で「安っぽい」設備品が使われていたり、安っぽい外観だったりすると、空室がでやすくなる。「利回り10%」と安易に飛びついたものの、空室が続き、賃料を下げざるを得なくなった、という例も見られる。
すでに建築された賃貸住宅を購入する場合、こうした見極めが必要で、失敗を少なくするためには、実績豊富なハウスメーカーの建てた賃貸住宅を購入することがいいだろう。