お気に入りのラグがあれば、
毎日をもっと楽しく過ごせそう。
テキスタイルデザイナー・香月裕子さんが
手掛ける「Katsuki Connection
(カツキコネクション)」は
ラグやテキスタイルなど、
インテリアアイテムをデザインするブランド。
ラグは国内の工場で職人技を
生かしてつくられています。
香月さんにラグを楽しむヒントや
作品への思いなどをうかがいました。
2023.11
ラグを動かして、自由な使い方で
新鮮な空間に!
ラグは室内の印象を左右する、インテリアの大切な要素の一つ。「使い方に正解はないんです。もっと自由に楽しんで」と言うのはテキスタイルデザイナー・香月裕子さん。カツキコネクションの代表であり、すべてのデザインを手掛けています。
テキスタイルデザイナー・香月裕子さん、東京アトリエ&ショールームにて。そばに置いた箱の中は、ウールの色見本。オートクチュールの配色は何百色の中から選ぶそう。壁のアートパネルは2017コレクションの作品。
「ソファなどの家具の前にラグを敷く場合、平行に敷くことが多いですよね。でも、ラグをちょっとずらしてみてください。動きが出て、空間の印象が変わると思います。動線の問題はありますが、たとえば斜めに敷いて、空いた部分にスツールやグリーンを置いてみたり。そういう自由な発想で使ってほしいなと思います」
大胆な構図と深い色合い。ギリシャの島々の自然をテーマに、エネルギーに満ちたカルデラの大地にインスピレーションを受けた作品。壁に対して斜めに敷くことで空いた空間にサイドテーブルをセット。
ラグ(EARTH・1,370×2,000mm)164,406円、アート(BO-KURI・WALNUT・W630×H630×D40mm)88,000円。
もちろん、きちんと敷く場合もありますが、ラグの使い方によっては狭く感じたり、ギュッと緊張感のある状態になったりすることも。「そういうときはラグをどんどん動かしてみてください。動かしながら、空間全体を引いて見てみるとよくわかると思います」
また、季節でラグを変えるのも楽しみ方の一つだと言います。「寒くなったら、小さいラグを椅子の下に敷いたり、寝室のベッドサイドに敷いたりするのもいいと思います」。ご自身の住まいでも実践中だそう。敷いたらずっとそのまま、ではない、新たなラグの楽しみ方を取り入れてみましょう。
旅への高揚感を映した、
カツキコネクションのラグ
カツキコネクションのコンセプトは「旅するように暮らしを楽しむ」こと。「自宅にいるけれど、相反する『旅』というものを掛け合わせて、まるで旅をしているように楽しんでほしい」と、さまざまな旅の情景をテーマにした作品を手掛けています。
さらに大胆な構図や独特の深い色味、少し変わった形…。カツキコネクションのラグは、既成概念を取り払い、自由に空間をクリエイトしてほしい、そんな思いを抱かせるデザインが特徴です。
もともと、ファッションデザイナーをめざし、その一環としてテキスタイルを学び始めた香月さん。「実際に学んでみると、ものすごく奥が深くて。みんなで共感できるものがつくりたいなと、インテリアの方向に進みました」。その後、就職した織物メーカーでカーペット部門に配属されラグの世界を知ることに。研鑽を積んだ後、2011年に独立。優れた技術を持つ産地に貢献したいと国内製造でのラグを手掛けるようになりました。
ラグを空間のアクセントに!
インパクトのあるラグでスペースをつくろう
カツキコネクションのラグは少し変わった形も特徴の一つ。長方形のラグが少しはみ出ていたり、いびつな楕円や花形のものも。インパクトのある形は空間を区切り、そこに特別なスペースをつくることができます。「少しアクセントがあると、空間の雰囲気もやわらかくなるんですよね。どこかに遊び心を感じる部分を入れたいなとは思っていますね」。奇抜ではなく、ふっと肩の力が抜けるようなデザインは、旅の開放感にもつながるよう。スペースに心地よさを広げてくれます。以下に続く写真は、遊び心のあるデザインに合わせてコーディネートしてみました。
お気に入りの椅子を置いて読書を楽しむコーナーに。ラグのデザインのテーマは、ギリシャの島々の情景から。船から望む島には、丘と見まがうような巨大な岩、その存在感を表した作品。
ラグ(HILL・1,300×2,100mm)163,801円、アート(TSUNO・NATURAL・W630×H630×D40mm)88,000円。
ダイナミックな構図を生かし、室内に自分のためのマイコーナーを。アラスカの自然界の輪廻、そこに生きるものたちをモチーフにしたシリーズ。「現地で見た美しい地層をイメージしています。その横を1匹のオオカミが歩いていたんです」。心躍る旅のシーンを落とし込んだラグは、まだ見ぬ想像の世界へと誘ってくれそう。
ラグ(SOU No.1・1,100×2,000mm)128,337円。
玄関用ラグシリーズから。花モチーフのラグを置けば床が花畑に。座布団代わりに置いて、のんびりとお茶の時間を。玄関や椅子の下など、さまざまな場所で使って楽しんで。
ラグ(BLOOM・全3色・600×600mm)各25,300円。
ホテルや商業施設のインテリアはもちろん、個人のオーダーでラグを手掛けることも多い香月さん。ラグ選びに迷ったらどうしたらよいでしょう?
「お客さまからよく質問されるのが、『このラグを使いたいけど間違ってないですか?』『この組み合わせっておかしくないですか?』というもの。正誤ではなくて、好きかどうか、もっと自由に、自分がほしいものを選んで楽しんでほしいなと思います」
その際は、まず、どう暮らしたいかが大事だと香月さん。「どうしてもこのソファを置きたいとか、このラグを敷きたいとか、メインにしたいものを決めて、予算も考慮しながら、それに合わせていけばいいと思います」とアドバイス。「たとえばメインにしたいラグを決めて、それがブラウン系ならベージュの家具を選ぶとか、あるいは、ラグの色から1色とってソファを選ぶとか、そういうことで空間がフィットしていくと思います」
また、ラグ初心者には玄関などの小さいスペースから始めるのも一案だそう。小さなラグは持ち運びも自在なので、さまざまなスペースやシーンで使えます。「まず一つ敷いてみて、ウールのラグがどんなものか使ってみるといいですね。慣れたら大きなラグにもぜひチャレンジしてみてください」
目を引くヤギのラグは玄関用シリーズから。「玄関から悪いものが入ってこないように、守り神として大きな角を持ったヤギをデザインしました」。毎日触れるたびに天然素材のラグの心地よさを感じて。
ラグ(GOAT・全3色・680×580mm)各25,300円
column
国内の工場で製造。
ウール100%の、職人の手仕事が
生かされたラグ
カツキコネクションの特徴である、深みのある色合いや質感は手仕事ならでは。仕事で国内のテキスタイル工場を訪ねていくなか、その技術に感銘を受けるとともに高齢化などで廃業が進む現状を知った香月さん。少しでも産地に貢献したいと国内での制作を決めたと言います。
原料となる羊毛は、やわらかいニュージーランド産羊毛が8割、張りのある英国産羊毛が2割のミックス。仕入れた羊毛は国内の工場で紡績し、染色します。ハンドタフト工場で糸巻きをして、基布にフックガンで糸を打ち込んでいきます。完成後は丁寧にブラッシングして、表面の毛並みの長さをそろえるシャーリングを何度も行うことで、ウールの艶が引き立ち、柄も鮮明に出るのだそう。「染色は海外だと光が違うので、求める色と違ってしまうことがありますし、表面のシャーリングはそれだけで表情がぐんと変わってきます。そのあたりの見えない部分は職人の方の優れた技術で、すごくこだわっていただいてる部分ですね」
遊び心のあるデザインと丁寧な技でつくるラグで、わが家のインテリアをもっと豊かに新しくしてみませんか。
国内の工場で紡績されたウール糸は、ハンドタフト工場で糸巻きを実施。巻き具合でもラグ表面の印象が変わるそう。
最後の仕上げでは、鋏を使って1枚1枚、手作業で縁をカットする。
東京アトリエ&ショールームではカツキコネクションのさまざまなラグから選んだり、オーダーメードにも対応。完全予約制。
Katsuki Connection(カツキコネクション)
東京アトリエ&ショールーム
東京都世田谷区尾山台
tel.03-6903-5822
11:00~19:00 日曜・祝日・年末年始休み
※ショールームは完全予約制です。事前にご確認ください。
www.katsuki-c.com
※表示価格は消費税込み2023年11月現在。
詳しくはカツキコネクションのウェブサイトをご確認ください。