大型犬と暮らすには、住環境を整えることがとても重要です。
カラダのサイズや運動量、そのコの性格などをよく考え、
大型犬に合った住まいを用意してあげることが、
愛犬も人も快適に暮らせることにつながります。
そこで今回は、愛犬も人も幸せになれる家づくりを目指す大和ハウス工業と、
ドッグトレーナーで学術博士でもある鹿野正顕先生による共同企画をお届け!
大型犬との暮らしの中で、お悩みを抱える飼い主さんにインタビューを実施。
鹿野先生のアドバイスと、それをふまえた愛犬も人も快適な「理想の間取り」をご提案します。
今回は『大型犬との暮らし』がテーマ。大型犬の飼い主さんなら誰でも共感できる4つのお悩みを、住まいの工夫で解決します!
今回モデルケースとしてご協力してくれたのは…
- メルくん(2才/オス/ゴールデン・レトリーバー)
- 赤ちゃんのいるご夫妻と一緒に暮らす
- 現在は2階建ての一軒家にお住まい
メルくんと飼い主さん
お悩み①カラダが大きく力も強い
「普段は室内で自由にさせていますが、愛犬は力があるので、家の中の引き戸をどこでも自力で開けることができてしまいます。入ってほしくない部屋もありますし、小さい子どもがいるので目が離せず、自由にさせるときは子どもをベビーサークルに入れるなどの対策が欠かせません。
また、ダイニングテーブルやキッチンのコンロに顔が届いてしまうので、誤食やけがも心配です。」
ドッグトレーナー 鹿野先生のアドバイス
大型犬は、その大きなサイズゆえの問題が起きやすいので、しっかりしつけなければなりませんが、それには時間と根気が必要です。しかし、お子さんがいたり忙しいご家庭ではなかなか難しい場合もありますよね。そのためじっくりトレーニングを行いつつ、同時並行で環境面もきちんと整えておく必要があります。
最近は、愛犬も家族の一員なので常に同じ空間にいるのが当たり前というご家庭が多いですが、実はそれによる問題も起きています。必要に応じて、「人だけが生活できる空間」と「犬が自由に過ごせる空間」を物理的に分けた方が暮らしやすい場合もあります。
メルくんのように飛びついて扉を開けてしまうのは、ゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバーによく見られる行動です。赤ちゃんとの暮らしで、どちらかの行動を制限して不便な場合もあるようなので、メルくんを家中どこでも自由にさせるのではなく、ゲートを常設して行動範囲を完全に分けてしまうのも手かもしれません。犬は生活している面積が広くなるほど興奮しやすく、また常に人との交流があると落ち着かなくなることもあるため、安心して穏やかに過ごせる専用の場所を提供してあげましょう。
お悩み②シャンプーや散歩帰りの足洗い
「大型犬はお店でシャンプーすると高額になるので、家でお風呂に入れていますが毎回とても大変です。玄関に足洗い場がないことも、お散歩帰りに手間を感じます。」
ドッグトレーナー 鹿野先生のアドバイス
ゴールデン・レトリーバーなどの大型犬は、シャンプーの後に毛がとてもよく抜けます。お風呂場の壁にくっついた毛はなかなか取れないので、掃除の手間もかかってしまいますよね。庭がある家であれば、外にシャンプースペースを設けられると、夏場など毛の飛び散りを気にせずシャンプーができ、さらにお散歩後に汚れてしまったときも洗い流すのに活用できます。
そうはいっても、大型犬を自宅で洗うのはやはり大変です。最近はペットをセルフでシャンプーができる施設も増えていますので、そのような場所を活用するのもおすすめです。
なお普段のお散歩では、あまり汚れていなければ毎回足を洗わなくても大丈夫です。油分を落としすぎると乾燥してしまうので、拭くだけで済ませてしまいましょう。
お悩み③ムダ吠えやトイレの失敗
「外を人が通っているのを見ると、家の中から吠えてしまいます。カラダが大きい分、声のボリュームも大きいので困ってしまいます。トイレでは、おしっこの量が多いためトイレシートで吸い込みきれなかったり、はみ出したりしてしまうことも。たまにシートを踏んだ足でトイレから出てきて周りを汚してしまうこともあります。」
ドッグトレーナー 鹿野先生のアドバイス
窓際に愛犬のサークルやケージを置いている飼い主さんが多くいらっしゃいますが、犬は縄張り意識が強いので、自分の居場所が窓の近くにあると、外と縄張りとの境界線を警戒して落ち着かなくなってしまいます。また、窓付近は冬の寒さや夏の暑さも心配。愛犬の居場所を考える際は、できるだけ家の中心に配置し、窓からも離れている方が望ましいです。
また、トイレスペースはできるだけ広く取りましょう。特に大型犬は十分に回転できる広さが必要なので、トイレは壁にくっつけず外周をあけて置くようにすると失敗が減ります。また汚してしまうことを想定して、床材を撥水性のあるものにしたり、クッションマットを敷くなどして、フローリングを保護するのもよいでしょう。
お悩み④シニアになった時のお世話
「今は若く元気なので、玄関の外の階段も平気ですが、将来足腰が弱くなった時に歩くのが大変にならないか心配です。」
ドッグトレーナー 鹿野先生のアドバイス
シニアを意識した設備を取り入れておくことは、とても大切だと思います。外への移動はスロープを設置してあげたり、ちょっとした段差をなるべく減らしたり、負担のない工夫ができるとよいですね。大型犬は外に出る機会が減るとすぐ運動不足になってしまいますので、庭やウッドデッキのような手間をかけずに好きに遊ばせられるスペースがあると、運動量を維持しやすくなります。また、大型犬を抱っこして階段を上り下りするのは飼い主さんにとっても危険なので、バリアフリーにすることは家族にとってもメリットがあります。
完成した「理想の間取り」をご紹介
愛犬のしつけはとても時間がかかりますので、住環境を整理するのが非常に大切。特に大型犬の場合は、「すみ分け」を意識するのが上手に暮らすコツです。お互いに自由に過ごせる空間を分けることで、結果的に愛犬にも人にも不便がなく安心して過ごすことができます。
監修
ドッグトレーナー 学術博士
鹿野 正顕先生
スタディ・ドッグ・スクール 代表。株式会社 Animal Life Solutions (ALS)代表取締役社長。日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT)理事長。CPDT-KA(Certified Professional Dog Trainer - Knowledge Assessed)
麻布大学介在動物学研究室(旧 動物人間関係学研究室)にて、人と犬の関係、特に犬の問題行動やトレーニングの研究を行い、人と犬の関係学の分野で日本初の博士号を取得。
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