おうち時間をより充実させるためにペットを家族に迎え入れるという方も増えてきました。
「犬や猫もかわいいけれど、もっと変わった動物に興味がある」
「眺めて癒やされる動物を飼いたい」と考える方におすすめなのが爬虫類です。
しかし、爬虫類の飼育に関しては情報が少なく、
具体的なペットとの生活をイメージできない方も多いのではないでしょうか。
今回は、田園調布動物病院の院長として多くのエキゾチックアニマルの診療に携わる田向健一先生に、
爬虫類の魅力や飼育の際のポイント、理想の住環境についてお伺いしました。
独特の外見や行動が爬虫類の魅力。
最初は飼いやすい種類を選んで
田向先生:爬虫類は、カラフルなカラーリングや大きく愛らしい目、マイペースな行動など、それぞれ魅力的な個性があります。犬や猫、ウサギなどの哺乳類が触れ合いやコミュニケーションを楽しむ動物なのに対し、爬虫類は、見て楽しむ動物といえるでしょう。
専門店には海外から輸入された珍しい動物も並ぶことがありますが、初めて爬虫類を飼う方は、飼いやすい種類とされているものを選びましょう。具体的にはロシアリクガメやギリシャリクガメ、ヒョウモントカゲモドキやフトアゴヒゲトカゲ、コーンスネークやカリフォルニアキングスネークなどが挙げられます。
中には、パンサーカメレオンやコノハカメレオンなどのカメレオンを飼ってみたいと思う方もいるかもしれませんが、カメレオンの飼育は割と難易度が高めで初心者向けとはいえません。カメレオンは、専用の設備を整える必要があります。また、大変デリケートな種のため、湿度・温度管理は他の爬虫類よりも気にかける必要があります。さらにカメレオンは基本的に動いているものに反応するので、エサや水は動いているもの、つまり生き餌や水を滴り落とすドリッパー設置、霧吹き…など様々な工夫を凝らさなければなりません。
ロシアリクガメ
ギリシャリクガメ
ヒョウモントカゲモドキ
カメレオン
これらの生き物は、国内のブリーダーが繁殖を行っているため、一緒に暮らしやすく、環境の変化にも適応しやすいです。比較的、飼育に関する情報も手に入りやすいでしょう。ほかになにか気になる動物がいたら、お店の人に飼いやすいかどうかを尋ねてみることをおすすめします。
「まずはどんな動物がいるのか知ってみたい」という方は、年に数回大都市、例えば東京、大阪、名古屋…などで開催されている、展示販売会に足を運んでみてはいかがでしょうか。さまざまな動物について知れますし、お店の人に気軽に話を聞けるチャンスです。
爬虫類の飼いやすい面と気をつけたい面。両方に注目を
近隣トラブルや、住宅へのダメージが比較的少ない
田向先生:爬虫類は基本的にケージの中で飼うので、部屋の中に汚れや傷などがつくことが少ないです。犬や猫の場合はお留守番が苦手な個体もいますが、爬虫類は良い意味で人を気にせず、マイペースに、自由に過ごしてくれます。基本的に家の外に出て散歩をさせる必要もないので、昼間仕事で家を空ける方にとっても飼いやすいといえるでしょう。鳴くこともほとんどなく、フンは臭いますが、生体自体は比較的臭いも少ないので、近隣の方へ迷惑をかける可能性が低いのも飼いやすいポイントです。
健康状態に合わせた適切なお世話をするために、情報収集が肝心
田向先生:動物の種類によって異なりますが、爬虫類は比較的寿命が長く、環境が良ければ10年〜20年、特に長寿のカメであれば50年以上という長い年月を生きるものもいます。
しかし、爬虫類は飼育環境を適切な状態に保つのが難しく、残念ながら数年で亡くなってしまうことが少なくありません。爬虫類は表情や行動から健康状態を把握するのが難しいですし、診療できる動物病院の数も少ないのがその理由です。長期間飼育方法が間違っていて、それが数年後に体の不調として表れるということも。ペットとして迎えるからには、環境を整えて長生きさせることを目指していただきたいと思います。
注目する最低限のポイントとして、エサの食べ具合や目の輝き、皮膚の状態の変化などをしっかり観察しましょう。とはいえ、知識がないとわからないこともありますから、インターネットのコミュニティを活用したり、専門店のスタッフさんに話を聞いたりと、爬虫類に詳しい方と情報交換・相談できる場をつくることが大切です。
温度管理が最大のポイント。環境を整えてからお迎えを
田向先生:爬虫類を飼う場合は、事前にケージや暖房設備など必要なものをすべて用意し、数日かけてケージ内の状態をチェックしておくことをおすすめします。
爬虫類は変温動物ですから、温度の変化がすぐに生死に直結しますし、人間が快適と感じるよりも高い温度・湿度を好むことが多いです。ケージの中に保温ランプや加湿器、水を入れた容器などを置いて飼うことになりますが、すべて準備したうえで、数日間温度や室温が最適な状態に保てているかを確認しましょう。また、室内の明るさにも配慮が必要です。爬虫類用のライトで人工的に昼と夜をつくり、生活リズムを整えることも大切になります。
脱走をしっかり防止。近隣の方への配慮を忘れずに
田向先生:爬虫類は、適切に飼育できていれば近隣に迷惑をかけることは少ないのですが、ひとたび脱走してしまうと大変です。テレビのニュースなどでヘビの脱走が話題になることがありますが、大きさや種類に限らず脱走したら見つけるのは困難ですから、脱走防止の対策は欠かせません。
爬虫類はとても素早く、ちょっとした隙間から家の外に出てしまいます。のんびりしているイメージのカメも、いつの間にか脱走していてバルコニーから落下し甲羅が割れた、という事故も少なくありません。
基本的にはケージなどの中で飼育しますが、掃除は必要ですし、カメなど日光浴や室内での運動が必要な動物もいるため、絶対に飼育場所から出さないというわけにはいきません。そのため、ケージから出すときは最初に室内のドアや窓がすべて閉まっているかを確認し、動物から目を離さないよう注意してください。
ペットがどんな動物であっても、苦手な人がいることを忘れてはいけませんが、特に爬虫類は好き嫌いがハッキリと分かれます。脱走対策のほか、飼育場所は外から見えない場所にする、といった配慮も大切になります。
温度管理や防災対策を整えた家で、人も動物もいつも快適に
田向先生:爬虫類を飼育するにあたって、温度や湿度の管理は大切ですが、一定温度に保つのは難しいものです。住まいに24時間空調システムがあれば、室内の温度が安定するため、ケージ内の温度調整もしやすくなります。
また、災害時の備えも重要です。エアコンやケージ内のヒーターが停電で使えなくなってしまった場合、変温動物である爬虫類は命の危機に直面します。「全天候型3電池連携システム」で家の電気を自給自足できるダイワハウスの「災害に備える家」ならば、急な停電でも電気を太陽パネルとエネファームでつくって蓄えることができます。もちろん、カイロを用意するなど電気に頼らない備えをすることも大切です。また、ペットを飼っていらっしゃる場合は避難所などへ行きにくい、ということもあるでしょう。爬虫類ならなおさらです。そのためにも、耐震性能が高い家で過ごせれば理想的といえるでしょう。
「あんしん空気の家」で効率よく空気をコントロール
ここまで田向先生にお話をうかがってきましたが、コミュニケーションが図りにくい爬虫類ならではの魅力を再発見するとともに、飼い方の難しさやデリケートな生き物であることを改めて教えていただいたように思います。変温動物である爬虫類を飼育するためには、温度調節が何よりも重要なようですね。
ペットと暮らしやすい住まいのための工夫を凝らしてきたダイワハウスには「あんしん空気の家」という住まいづくりがあります。これにより、室内の温度を24時間一定に保つことが可能です。空調システムである「エアヒーリング」は家全体の空調をコントロールするとともに、部屋ごとに温度を設定できるので、人と爬虫類、それぞれの適温に調節することができます。温度管理がしやすくなりますが、爬虫類の種類によって最適な温度は異なるので、飼育環境をよく調べてから、適切な照明・ヒーターなどを準備しておくことも大切です。
さらに、HEPAフィルターが花粉やハウスダストからPM2.5のような微粒子まで取り除くため、爬虫類のようなデリケートな生き物や体が小さい動物たちへの影響を少なくすることができそうです。
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高断熱・高気密、そして耐震性の高さが魅力の「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」
また、高断熱・高気密の「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」も変温動物を飼育している方、飼育したい方におすすめです。これは、冷暖房効率が良いため、24時間空調システムを利用した場合も光熱費を抑えることが期待できます。震度7クラスの地震に耐えられるよう、巨大地震のエネルギーを繰り返し吸収する構造を採用しているため、耐震性の面でも安心感があります。
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「全天候型3電池連携システム」で停電時も安心
さらに、非常時に太陽光発電、エネファーム、蓄電池の3つが連携する「全天候型3電池連携システム」があれば、停電時にはエネファームで発電した電力も蓄電できるほか、太陽光発電との連携で、長期的な停電にも備えることができます。暖房などを使うことができるため、人にも爬虫類を含むペットも安心です。
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まとめ
今回は、爬虫類を飼う際に気をつけたいポイントや、理想の住環境についてお伝えしました。種類により違いはありますが、爬虫類は10年以上生きることもできる動物たちです。爬虫類を家族に迎えるときは、ぜひこの記事をご参考に、動物にも人にも心地よい環境を整えて、健やかなペットライフを目指していただければと思います。
Profile
田向 健一さん
田園調布動物病院院長、獣医学博士。犬、猫、ウサギのほか爬虫類の診療を積極的に行っている。主な著書に『珍獣の医学』(扶桑社)、『生き物と向き合う仕事』(筑摩書房)、『珍獣ドクターのドタバタ診察日記: 動物の命に「まった」なし!』 (ポプラ社)など。