最近、音楽関係のお仕事をされている方や、趣味で演奏を楽しまれる方から「天井の高い家にしたい」というご希望をいただくことが増えています。
今回は音の響きに強いこだわりをお持ちのプロの音楽家・小堀さまご夫妻に、奈良県奈良市にある登美ヶ丘展示場へお越しいただきました。
天井高2m72cmの「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」のグランリビングで実際に演奏していただいた感想を伺いつつ、音楽家が考える、理想の響きと空間についてインタビュー。「xevoΣの天井高は、まさに音の響きのためにある」と力説する大和ハウス工業の玄晴夫が、住宅音響研究員の観点から、お二人の体感を実証します。
小堀様ご夫妻プロフィール
夫:小堀英郎 こぼりひでお(ピアニスト)
フランス留学中からキャリアを積み、現在は日韓欧米を定期的に巡り演奏活動を展開。近年では日韓の文化交流になくてはならない重要な役割を担っている。日韓で計8枚のCDをリリースし、その作品は韓流スターたちからも親しまれている。大阪国際音楽コンクール審査員、日本国際飢餓対策機構 親善大使。声楽家で妻の葉子との活動も行う。
妻:小堀葉子 こぼりようこ (ソプラノ)
合唱のソリストやオペラにも出演。プライベートレッスン等も行う。
研究者プロフィール
大和ハウス工業株式会社 総合技術研究所 工業化建築技術センター
性能研究グループ 主任研究者 一級建築士 環境計量士(騒音・振動関係)
玄 晴夫
「住まいの騒音問題から音楽を楽しむ空間の提案まで、住宅の音に関する幅広い技術を研究しています。生活するのに快適な騒音・防音対策を追求すると同時に、音楽をはじめとした“音響”という楽しみを家の中にプラスすることで、人生はより豊かになると実感しています。」
天井が高いと音はどう変化する?
- 玄:今回お越しいただいた登美ヶ丘展示場のグランリビングは39帖ありまして、グランドピアノがゆったりと配置できる広さです。天井高はxevoΣの特長である2m72cmです。まず葉子さんに歌っていただきました。時に力強く、時にやさしく響く素晴らしい歌声に、胸を打たれました……! ご自身では、声の響きについてどう感じられましたか?
- 葉子さま:こちらのダイニングは、響きがいいので、気持ちよく歌えますね! 声楽は頭の上から声を出すイメージで歌うので、天井までの空間に余裕があるほうがいいんです。
- 玄:天井が低いと音がすぐにぶつかります。はね返りの音も、強くてきつい音になりがちですが、その距離が遠くなればなるほど、音が返るまでの時間に余裕が生まれます。天井が高いことで、声の響きもよくなったのだと思います。
英郎さんも、堂々たるご演奏でした。ピアノの響きはいかがでしたか?
- 英郎さま:ピアノの音が耳にやさしいです。たとえば狭い部屋で、コンサートに使うような大きなグランドピアノをいっぱいいっぱいに置くと、壁や天井に当たる音の反射がきつくなり、耳をつぶしてしまうこともあります。ですが、こちらのように広さに加えて天井が高いと、和らげることができますね。
- 玄:これだけ天井が高いと、ピアノから出る音は一度天井まで上がったあと、部屋に柔らかく広がっていく。そのほんのわずかな時間の差が音を和らげるんですね。
- 英郎さま:それからもうひとつ、この空間ならピアノの低音から高音まで、バランスよく響かせることができますね。
- 玄:ピアノは音域の広い楽器。高音と低音の組み合わせでハーモニーをつくることで、重厚さが生まれます。中でも低音は音の波が大きくて長いので、狭い空間だとピアノと壁や天井との距離が近すぎて充分に鳴らず、バランスが悪くなってしまいます。
これは部屋がただ広ければいいわけではなくて、たとえ水平に広い空間でも天井が低ければ、天地の距離が狭くなるので、波長が響き渡りません。低音から高音まで鳴らすには、部屋の広さに加えて高さが必要になるのです。
良質な音を出すのに大事なのは
「響き」をつくりだす空間の「反射」
- 英郎さま:先ほどから玄さんがおっしゃっているように、本当にいい音をつくるには、部屋の中で音がどう「反射」するかが大事。たとえば人と人との会話において、自分が放った言葉が何を言っているのか自分でわからないと、会話が成立しませんよね。これと同じように音楽においても、「自分がどんな表現をしているか」「どうすればもっと良くなるか」を研究するには、音のはね返りは絶対不可欠。そして、それを実現してくれるのはやっぱり空間なんです。
- 玄:音は空気の振動ですから、さまざまな要素によって影響を受けます。中でも壁のような硬い素材に音が反射すると反響したり減少したり、音質も変化します。空間の長辺と短辺の微妙なバランスで、理想的な響きとなるか、そうでないかが変わってきます。
- 葉子さま:音楽を楽しむには、音だけを切り出すのではなく、空間でどう響くのかが大切なのかなと思います。私は以前、耳の不自由な方の前でコンサートをしたことがありますが、その方がどのように楽しんでいるかというと、もちろん歌詞があれば歌詞を見てらっしゃるんですけど、響き、もっといえば、空気の振動……といったものを楽しんでおられるように思うんです。
- 英郎さま:一般的には、音楽は耳で聴く、美術は目で楽しむ、料理は舌で味わう……と言いますが、すべては五感全部なんですね。音楽でいうなら五感全部でその響きを、感じ取ってると思うんですよ。
- 玄:五感で響きを感じていただくためにも、音が反射する空間が大切だということですね。
音楽家が住まいに求める「天井高3m」。
その理由とは?
- 玄:そのように音の「響き」を大切にされているお二人ですが、特に葉子さんは、「家を建てるなら絶対、3m以上の天井高がほしい」とのご希望をお持ちだったとか。「3m」は、一般の方には思いつかない具体的な数値だったので驚きました。「天井が高いと音のバランスがいい」というのは研究でも明らかになっているのですが、音楽家のみなさんの中でも常識なのでしょうか?
- 葉子さま:声楽家は、歌う時に口の中の空間をできるだけ広げるように発声します。そのほうが、声がよく響くんです。ならば、家の中でもいい響きを得るには、タテの空間を高くすればいいはずだと思ったのです。家のことをいろいろ調べる中で、日本の住宅の天井は2m40cmが一般的だと知りました。それを基準にすれば、3mなら実現可能なのでは?と思ったんです。
- 玄:なるほど。先ほど部屋の長辺と短辺のバランスが響きに影響を与えるとお話ししました。バランスは部屋ごとに変わりますが、ひとつ言えるのは、どんな空間であれ、天井が高いと一定の響きの良さをもたらしますので、まさに葉子さんのご体感そのものです。
xevoΣなら標準で天井高が2m72cmですし、いまお話ししているこちらのグランリビングモアのように、床レベルや天井レベルに変化をつければ、天井高3mを超える空間※1も実現できます。これなら、音の響きを大切にされるプロの音楽家の方にも、満足いただけるかと思います。
- ※1天井高は2m40cm、2m72cm、さらにグランリビングモア(36cmダウン)と折上天井(8cmアップ)を組み合わせることで、最高3m16cm(1階のみ)まで実現。天井高は間取りや建設地、建築基準法(法令)等により対応できない場合があります。
- 英郎さま:あと、音楽の専門家としては、ピアノを弾く空間そのものをまず大切にしたいので、このように天井が高いと、開放感があっていいですね。音楽を生み出すには集中力が必要で、何かに集中する時には、空間の居心地も非常に大事ですので。まず環境を整えることで、すべてがはじまると思うんです。
自宅の音響設備がいいと、生活はどう変わる?
- 英郎さま:ちなみに、今こちらの部屋で演奏したピアノの音や歌声は、どの程度外に漏れているのでしょう? ちょっと気になるところです。
- 玄:xevoΣの「外張り断熱通気外壁」は、断熱性や気密性に優れているだけでなく遮音性能も高く、住宅業界では最高クラスを誇ります。窓を閉めた状態であれば、外に聞こえているか、聞こえていないかという程度。オーディオを楽しんだり、趣味で楽器を演奏される方にも、周囲に気兼ねせずに、音のある暮らしを楽しんでいただけると思います。
- 葉子さま:このようにリビングで音楽の練習ができる環境があると、子どもさんの楽器練習などにもいいですね。親御さんにとっては、子どもが何をしているのか、目の届くところのほうが安心だと思うので。
- 玄:そうですね。お子さんの練習にもぴったりですが、私はあえて、親御さんにも音楽を楽しんでいただくことを提案します。なぜかというと、子どもだけにピアノを習わせて、習わせる大人が何もしていないと、子どもが嫌になってしまうケースが多いのです。大人がまず楽しんでいると、その姿を見た子どもも、自然に音楽が好きになっていくようになると思うんです。
- 英郎さま:人が食べて生きるように、音楽もやはり目に見えないところだけど、無意識に人を生かすものかなと。ほんとに食事と同じくらい重要なものじゃないかと思っています。
- 玄:確かに、音楽が生活の中にあると、暮らしがより良いものになると思います。xevoΣの遮音性ならば、ファミリーコンサートを開いたりもできますし、自宅での開催なら、そのあとに料理やおしゃべりを楽しむ時間も持っていただけますよ。
- 葉子さま:ところで遮音性に優れているということは、車の騒音など屋外の音も遮ってくれるということですか?
- 玄:その通りです。高速道路や交通量の多い道路や河川の近くなど、屋外の騒音が気になる場合があると思います。xevoΣの住まいなら交差点と同じレベルの80dB(デシベル)の騒音も50dBほど軽減。屋内では換気扇の音と同じレベルの30dB程度とかなり小さく※2なります。
また、キッチンでの洗い物、テレビの音量、廊下を歩く音など、室内ではいろいろな生活音が発生しますがxevoΣの天井の高さは、そんな生活音全般のはね返りまでやわらかくする効果がありますので、生活する上でも居心地のいい音響環境を保つことができます。
- ※2実験値であり、現場での性能を保証するものではありません。
防音室との併用で、日頃の練習・作曲活動も活発に
- 英郎さま:より本格的に音楽をしたい人にとっては、何時でも周囲に気がねなく音を出せる防音室もあると理想的ですね。特に作曲活動は時間を選びません。深夜であってもメロディを思いついた時にはすぐにピアノに向かって試したくなります。
- 玄:ダイワハウスには、防音と音響を両立した防音室「奏でる家」があります。小堀さまご夫妻に今日感じていただいたような高い天井や広さを確保しつつ、さらに響きの良さを追求したものです。
- 英郎さま:従来の防音室といえば、部屋の中にもうひとつ部屋をつくるようなイメージがありました。
- 葉子さま:天井も低くて、幅も狭い。圧迫感がある印象です。
- 玄:「奏でる家」は、xevoΣの建物をベースに設計・施工するので、天井は最大3mまで高くできます。ヴァイオリニストの場合、天井が低いと弓をあげた時に天井にあたることがありますが、「奏でる家」なら立ったままで演奏していただける高さ。圧迫感も感じにくくなります。
また遮音性能に優れたxevoΣの外壁に加えて、防音パネルを追加したり、音がもれやすい窓やドア、換気扇にも防音加工を施します。仕様によっては、ドラムや金管楽器などの大音量になる楽器でも対応できます。その上で、豊かな響きを生むために開口部や家具の配置にまで工夫を凝らします。 - 英郎さま:それだけ高い防音性と響きの良さを持つ部屋なら、作曲や日頃の練習だけでなく、コンサートのリハーサルなどにも使えそうです。
- 玄:防音のガラス引き戸の設置も可能で、防音室とは思えない明るさや開放感が得られるんですよ。
明るく開放的な防音室(小平xevoΣ展示場)
- 葉子さま:窓も設置できるなら明るくて快適そう。こんな部屋でレッスンができるなら、生徒さんにも喜ばれそうですね。よく生徒さんと、立っているだけじゃなく、座って歌う練習をするんです。二足歩行だと体幹が良くないと歌っているうちに不安定になりやすいのですが、正座をすることにより下半身が安定し音程等が良くなったりするんです。自宅でのレッスンなら、くつろいだ雰囲気の中、体の感覚を覚えていただくために、そういう柔軟なカリキュラムも実践できて、音楽に深みが出ると思います。
まとめ
プロの音楽家と住宅音響研究員が実証する「音と天井高の関係」。美しい音楽から生活音に至るまで、住宅の音響環境は、毎日住んでいると気になってくる重要なポイントです。上質な音響を実現するにはどのような家がベストなのか、一度立ち止まってじっくりとご検討いただくことをおすすめします。
※掲載の情報は2018年1月現在のものです。