CRE意識調査レポート
アンケート調査に見る、企業のCREに関する意識【1】現状の活用法について
公開日:2017/03/31
企業が保有する不動産資産を、経営者、事業責任者は、CRE戦略の観点からどのようにとらえているのでしょうか。不動産資産を有すると答えた全国のビジネスパーソン(経営者ならびに部門・部署責任者)300名にアンケート調査を行いました。
これから、5回にわたってアンケート結果について紹介していきます。今回は、現状の活用状況、取り組み意識などについて紹介します。
調査方法:インターネットによるアンケート調査(調査協力:クロスマーケティング)
回答者プロフィール
・企業の以下の役職に所属し、企業で不動産資産を有すると答えたビジネスパーソン300名
役職 | 回答数 |
---|---|
経営部門【会長、副会長、社長、副社長、取締役、執行役】 | 96 |
事業部門、本部トップ【事業部長、本部長、工場長】 | 75 |
部署トップ【総務部門、経営企画部門、財務部門、不動産管理部門、資産管理部門】 | 129 |
・業種
回答数 | 回答数 | ||
---|---|---|---|
全体 | 300 | 電気機器関連 | 91 |
食品関連 | 68 | 自動車関連 | 67 |
スーパー・デパート | 22 | 電気機器販売業 | 22 |
オフィス機器関連 | 18 | 食品販売業 | 12 |
オフィス機器販売業 | 9 | 自動車関連販売業 | 8 |
コンビニエンスストア | 7 |
・会社規模
従業員規模 | 回答数 |
---|---|
50名未満 | 0 |
50~100名未満 | 36 |
100~1,000名未満 | 125 |
1,000名以上 | 139 |
・保有不動産
保有不動産 | 回答数 |
---|---|
1,000坪以上の土地・不動産を保有している | 186 |
100~999坪以下の土地・不動産を保有している | 51 |
100坪未満の土地・不動産を保有している | 41 |
保有しているが、面積はわからない | 51 |
【評価額の認識】
Q:あなたの会社の不動産資産の評価額を知っていますか。(SA)
会社保有の不動産資産の評価額についての質問です。経営の中枢にいても、半数以上の人は「自分は知らない」と回答しています。担当部門、経営陣、自分自身を含めても、明確にわかっている企業も約半数となっています。
会社の保有不動産の評価額についての認識は、全体的に高いとはいえないようです。
不動産評価額に対する認識
【現状の活用法】
Q:土地・不動産をどのように使っていますか。(MA)
不動産資産を保有していると答えた企業幹部に対して、「現在、土地・不動産をどのように使っているか」という質問をしました。その回答が以下の内容です。
やはり、「工場、倉庫、事務所など、自社の業務に合わせて活用している」と答えた人が約76%と大半を占めましたが、本業とは別の使い道をしていたり、他社に貸したり、証券化などの運用手段としたりするケースも合計で25%程度(複数回答含む)存在します。
「どうなっているのか分からない」「遊休土地になっている」も合計15%(複数回答含む)存在し、もったいない状況にある企業も少なくありません。「証券化などの資産運用」は1.7%とまだまだ少数派です。
土地・不動産の活用状況
【CRE戦略への取り組み意識】
Q:企業不動産(CRE)の活用戦略についてどのように取り組んでいますか。
「CRE活用戦略」の取り組み意識、現状の度合いに関する質問です。半数以上の人が、「CRE活用戦略」の必要性を感じており、想像以上に、「CRE活用戦略」への意識は浸透しているといえるでしょう。
必要性を感じながらも、「主要戦略として取り組んでいる企業」は12%と、必ずしも主要な戦略とは位置づけられていない状況が見てとれます。
企業不動産(CRE)活用戦略への取り組み度合い
【現在の活用法への満足度】
Q:保有不動産の現在の活用法についてどのように考えていますか。
「現状の活用法に満足する」と答えた人は28%。保有不動産の活用方法の現状に満足していなくて、何か違う方法を探している人がかなり多いようです。
「満足はしているが、もっと有効な活用方法に取り組んでいる」と「もっと有効な活用方法があるはずなので、すでに相談し検討している」を合わせた20%強がすでに新しい取り組みを始めており、保有不動産のより有効な活用方法に対する関心の高さがうかがえます。反面、「活用状況が分からない」人も3割近く存在し、企業によってかなりの差が生まれているようです。
保有不動産の活用方法に対する考え
【管理体制】
Q:自社の企業不動産についてどのような管理体制をとっていますか。当てはまる、または近いものを一つお選びください。
近年、CRE戦略の意識が浸透してきているといっても、CRE戦略の「社内専門部署」が設置されている企業は、まだ約16%です。総務部門などが兼任するという企業が約20%、「わからない」が約18%も占めています。CRE戦略は、多くの企業で、ほかの事業と同様の認識がされていないことがうかがえます。
企業不動産の管理体制
【意思決定者】
Q:企業不動産(CRE)戦略を実施する際に、最終的な意思決定をするのはどなたですか。
CRE戦略の意思決定者に関する質問です。企業のトップ、あるいはそれに準じる役員が全体の8割近くを占め、CREの専任部門と答えた人はわずかに5.3%です。「管理体制」に関する項目で16%あった社内専門部署であっても、意思決定の権限はほとんど与えられていないようです。
企業不動産(CRE)の最終的な意思決定者