朝食を気持ち良く食べるために
食事をする場所は、家族にとってとても大切な場所。家族の食事というと思わず夕食をイメージしてしまいますが、まずは朝食を思い浮かべてみましょう。朝陽の入ってくる食卓はとても心地よく、体も心もスッキリ目覚めそうではありませんか。そう考えるとダイニングは東に窓を設けることができる場所が理想です。しかし、東側に隣家が迫るような場所ももちろんあります。季節や時間によって光の入り方は変わるので、隣家との距離が近すぎるなら、ダイニング上部を吹き抜けや屋根にして天窓や高窓を設けることも効果的です。心地よい朝食を摂るためにも、ここはプロの建築士などに相談するのがよいと思います。
ダイニングテーブルにも一考を
家族の揃ったダイニングテーブルは、一家団らんの象徴と言えます。多く見られるのは家族構成に合わせた4人掛けや6人掛けの四角いテーブル。6人掛けだと大き過ぎて場所をとって邪魔だなと思う方は、必要に応じて天板を伸ばせるエクステンションタイプが便利です。でも、ここで特に私がお薦めしたいのが丸テーブル。お客さまなどで人数が増えても少し詰めれば対応でき、その上それほどスペースを必要としません。私自身、かしこまって真正面に座るのが苦手ということもありますが、丸テーブルなら斜め向かいに座ることができ、程よい距離感で食事や会話を楽しむことができると思います。
キッチンは北東の位置が理想的
キッチンは毎日立つ場所なので、しっかり考える必要があります。まず、どこに配置するかですが、言うまでもなくダイニングのそばが動線的にもベストと言えます。しかし、食材を長持ちさせるためには室内がなるべく暑くならないようなゾーンが理想的です。そう考えると陽射しのきつい南西側は避けるべきで、おのずと北東側に置くのが理想だと考えられます。キッチンの形態は、対面型やペニンシュラ型、アイランド型など緩やかにダイニングとつながる設計が今の主流。ご家族、とりわけお子さまが小さい時などは、ダイニングに目の届くプランが理にかなっていると思います。
キッチン周りに、ひと工夫&ふた工夫
キッチン周りをより使いやすくするなら、パントリーが有効です。 聞き慣れない言葉かもしれませんが「食品庫」という意味。食器棚に収まらないものを置くのに便利ですし、災害時に備えて保存食や水を備蓄するのにも役立ちます。大きなスペースでなくてもいいので、ぜひ一考をお薦めします。また、最近はパソコンで家計簿をつけたり、ネットで食材を注文する人が多いようです。では、このパソコン作業をどこでするのか。キッチンの横の家事コーナーはそんな時にとても便利。食事時にパソコンを片付ける必要もありませんし、アイロン掛けや洗濯物をたたむなどにも大活躍。長時間過ごすかもしれないなら、少し大きめにつくるのがコツ。快適さを考えるなら、できれば西陽が直接入らない場所をお薦めします。
住宅設計アドバイザー 一級建築士
山形大学工学部 特任教授 (前)近畿大学建築学部 教授
木村 文雄
1976年 芝浦工業大学 工学部建築学科卒業
ハウスメーカーにて住宅設計、商品企画、研究開発などに携わり
2013年4月より近畿大学建築学部 教授に就任
2019年4月より現職
※掲載の情報は2020年2月現在のものです。