住宅の間取りの良しあしとは?
間取りをしっかりと考えることはとても大切です。住宅の間取りを表現するのに、普通は3LDKとか4LDKとか言いますよね。「お宅は5LDKですか!それはずいぶん広い家なんですね!」というような言い方です。でもまずこの呼び方の習慣を捨てることからはじめる必要があります。部屋数が多くても狭い家はありますし、逆に部屋数が少なくて広い家もあります。また、実際の広さ(床面積)より工夫ひとつで広く感じられたり、あるいは逆に狭く感じてしまうこともあるのです。良い間取りをつくるためには重要な秘訣(ひけつ)があります。それは家族の居場所を可能な限りたくさん設けることです。例えば、4人家族だったら各自の部屋を除いて6~8カ所ぐらいつくる。なぜなら人はその時々によって気分を変えたいと思うからです。ウィズコロナの時代に、テレワークをするにも、くつろぐにも、外の景色が見える場所が良いと思う時もあれば、逆に壁に向かって集中したい時もあるでしょう。また、イージーチェアでオットマンに足を投げ出して本を読みたい時もあるのではないでしょうか。プロに設計を依頼する時は、とにかく「居場所を家族数の2倍ぐらいつくってください」とお願いしてみてください。きっと永く住みつづけられる楽しい間取りになるはずです。
ハウスメーカーを選ぶメリット
家の設計は、ハウスメーカーでも設計事務所でも工務店でもできます。どこに頼むかはデザインが好きだとか、今までの実績を見てとか、様々だと思います。では、その中でハウスメーカーを選ぶメリットとは何でしょうか?ものすごく奇をてらったデザインで住宅雑誌に載りそうだとか、構造的にどこよりも強く何が起きてもびくともしないとか、特別な得意技を持っているという点では、ハウスメーカーより優れている設計事務所や工務店はあります。一方、ハウスメーカーの家は堅固で、デザインもラインアップされていて、さらに加えて長期保証もされるという点で大きなメリットがあります。そんな保証に合わせて、リノベーションが簡単にできるとか、空間がその時のライフスタイルに合わせて変更できるとか、そういったところまでサポートするハウスメーカーも増えてきていて、今後さらに魅力が増すと思います。家づくりは、人生をカタチにしていくとても楽しい作業です。いろいろな選択肢の中から、家族にベストなものを選び、ぜひとも夢を叶えてください。
住宅設計アドバイザー 一級建築士
山形大学工学部 特任教授 (前)近畿大学建築学部 教授
木村 文雄
1976年 芝浦工業大学 工学部建築学科卒業
ハウスメーカーにて住宅設計、商品企画、研究開発などに携わり
2013年4月より近畿大学建築学部 教授に就任
2019年4月より現職
※掲載の情報は2020年9月現在のものです。