猫や犬とならび、ペットとして古くから親しまれてきた「鳥」。
定番のインコやオウム以外にも、最近ではフクロウカフェブームの影響もあり、
自宅でフクロウを飼う方も増えているようです。
今回は、「鳥のいるカフェ」本店店長の鳥山美佳さんに、
フクロウや大型インコ・オウムの魅力、
一緒に暮らすうえでのポイントなどを伺いました。
アドバイスいただいた方
「鳥のいるカフェ」本店店長
鳥山 美佳さん
「家で飼っているフクロウ、タカ、インコ、オウムなどの鳥と一緒に働きたい」との思いから、猛禽類飼育歴20年以上のオーナーと共に、2012年に「鳥のいるカフェ」を開業。「お客さまに楽しんでもらいながらも、鳥にも無理はさせない、みんなが楽しめる空間」であることを大切にしている。
鳥のいるカフェ 谷中本店
住所/東京都台東区谷中2-3-16STビル1F
TEL/03-6721-0220
ここがかわいい!鳥の魅力
「鳥とは意思の疎通ができないんじゃないか?」。そんな意見をよく耳にしますが、鳥たちは人間が思っている以上に感情表現が豊かです。甘えたり、おねだりしたり、やきもちを焼いたり。しっかりと愛情を注いでやれば、猫や犬と同じように、人間と心を通わせることができるのです。
そして、他のペットにはない、鳥ならではの魅力もたくさん。「フクロウは、普段はそっけない態度の子が多いのですが、急に甘えてきたり、服をひっぱって餌をねだったり、そのギャップがたまりません」と鳥山さんは語ります。大きな瞳でじっと見つめられると、その独特の「正面顔」にキュンとしてしまうことも。 インコ・オウムの特徴は、なんといっても「おしゃべり」ができること。「頭のいい子だと、状況と言葉をセットで覚えることもあります」(鳥山さん)。朝は「おはよう!」、お別れのときは「バイバイ、またね!」。しつけ次第で、簡単な会話が成り立つというのは、インコ・オウムを飼う醍醐味ではないでしょうか。
店長の鳥山さんに身を委ねるオオバタン
こんな鳥たちが人気です!
フクロウでは、「モリフクロウ」「シロフクロウ」「メンフクロウ」あたりが人気の種類。状況によって、体を極端に細くしたり、羽を広げて姿を大きく見せたりする「アフリカオオコノハズク」も、メディアの影響もあり、最近注目が高まっています。
大きめサイズのインコ・オウムでは、「タイハクオウム」や「オオバタン」といった白色系のオウム、コミカルな動きが特徴的な「シロハラインコ」などが人気です。
モフモフの綿毛に包まれたモリフクロウのひな
存在感たっぷりのシロフクロウ
白いハート型の顔が愛らしいメンフクロウのひな
アフリカオオコノハズクのひなはお目々パッチリ
純白の羽毛が美しいルリメタイハクオウム
遊ぶの大好き!シロハラインコ
鳥を飼ううえで、これだけは知っておこう
必要な道具
フクロウとインコ・オウムとで、必要な道具は若干異なります。飼う鳥の種類やサイズによってもまちまちですので、ペットショップや専門家と相談のうえ、その鳥に合った道具をそろえるようにしましょう。
フクロウ
- 止まり木
- ロープ、アンクレット(足輪)
- 水飲み・水浴び用のトレイ
- 革製の手袋 など
フクロウはケージ(鳥かご)に入れるよりも、止まり木にロープでつないで飼うのが一般的
フクロウは基本的にあまり動かないため、足の血行不良を防止するためにも、足裏の接する面は凹凸のある素材(人工芝など)がおすすめ
大きく鋭い爪を持つフクロウを手に乗せるときは、革製の手袋を着けるのがベター
インコ・オウム
- ケージ(鳥かご)
- 水飲み・水浴び用のトレイ
- 餌入れ など
小さなケージだと、こすれて羽を痛めてしまう恐れがあるので、ゆとりのあるサイズを選ぶようにしましょう
餌
猛禽類であるフクロウの主食は、マウス、ヒヨコ、ウズラなどの生肉。最近ではカットされた状態で販売されているものもありますが、普段なじみのない生肉を扱えるかどうかが、フクロウを飼ううえでの大きなポイントとなります。 インコ・オウムは、主に「ペレット」と呼ばれる総合栄養食を食べます。
一口大にカットした生肉を、ピンセットでつまんで与えます。食中毒を防ぐためにも、新鮮な餌を用意しましょう
お手入れ
フクロウ、インコ、オウム、いずれもくちばしと爪は定期的にカットする必要があります。飼い主ご自身でカットされる方もいれば、ペットショップや専門店に任せるという方も。
体の汚れについては、特別なお手入れは不要。鳥たちは自ら水浴びを行い、羽づくろいをして、体を清潔に保ちます。
放鳥
家で飼う鳥は、ストレスがたまらないよう、時々部屋の中に放って運動させてあげることが大切です。その際、窓から逃げ出さないよう、戸締まりは忘れずに!
活動時間
フクロウは主に夜行性の生き物ですが、ペットとして飼われるフクロウは「狩り」を行う必要がないため、夜間に活発に動き出すといったことは多くありません。猫や犬と同じように、自分のペースで遊んだり、お休みしたりと、思い思いの時間を過ごします。
インコ・オウムは昼行性で、特に活動時間を気にする必要はありませんが、十分な睡眠時間が必要です。
トイレ
猫や犬と違い、鳥は基本的にトイレのしつけができません。飼い主が責任を持って処理しましょう。止まり木の下にペットシーツや新聞紙を敷いておくと、掃除が楽ですよ。
鳥を飼うのに適した環境、住まいにおけるポイントは?
天井高
天井の高い部屋や吹き抜けは、鳥たちにとって楽しい環境です。ただし、高いところに着地できる場所があると、格好の遊び場となってしまい、ふんの処理が大変。シーリングファンや高さのあるカーテンレールなどは要注意です。掃除のしづらい場所が定位置となってしまわないよう、止まり木を複数用意するなどして、しっかりと「居場所」を作ってあげましょう。
フクロウは、お気に入りの止まり木があると、長い時間そこでじっとしています
防音対策
フクロウは基本的におとなしく、とりたてて防音対策は必要ありませんが、白色系のオウムや大型のインコは鳴き声(おたけび)がとても大きく、防音対策が欠かせません。防音室を用意できるかどうかが、購入時のハードルとなる方も多いです。ケージの周りをアクリルのケースで覆って、大きな音を軽減する工夫をされている方も。
ダイワハウスでは、快適防音室&静音室「音の自由区」をご案内しています。
快適防音室&静音室「音の自由区」
床材
前述のとおり、鳥はトイレのしつけができないことから、汚れの取れにくいカーペットはおすすめできません。フローリングでも、時間が経つとこびりついてしまうので、速やかに掃除をするのがよいでしょう。また、羽の生え変わる時期には、「脂粉」と呼ばれる白い粉が散るため、掃除のしやすい床材をおすすめします。
フローリングは種類によって表面の加工もさまざま。事前にお手入れのしやすさなどをチェックしておきましょう。
温度、湿度、空気環境
種類によって生息地が異なり、適した温度、湿度はさまざま。その鳥にとって最適な環境を、購入時にしっかりと把握しておきましょう。
また、インコ・オウムは気管支があまり強くないため、空気環境は常にきれいにしておくことが大切。芳香剤や殺虫剤、蚊取り線香、アロマなども苦手です。
鳥を飼ううえでの注意点、心がまえ
鋭いくちばしと 爪に要注意
鋭いくちばしと爪をもつ鳥。遊んでいるところをジャマされたりすると、感情的になって攻撃してくることもあり、特に小さなお子さまやご高齢の方がいる家庭では注意が必要です。
また、鳥が止まるところはどうしても傷がついてしまいますので、傷がついても問題のない家具を選ぶようにしましょう。
体が大きく、力も強いルリコンゴウインコ
誤飲防止のため、 部屋は片付けておく
小さな雑貨や紐状のものなどを、誤って飲み込んでしまうことがあります。誤飲を防止するためにも、できるだけモノは少なくし、部屋はきれいに保っておくことをおすすめします。
責任をもって 飼い続ける覚悟を
寿命は種類によってさまざまですが、フクロウは小型で10年程度、大型だと20~30年程度と言われています。大型のインコ・オウムでは長いものになると、なんと50年以上生きる種類も!長い付き合いになることを前提に、責任をもって飼い続けることができるか、購入前にしっかりと考えましょう。
まとめ
大きめサイズの鳥を飼うにあたっては、さまざまな注意が必要ですが、一昔前ではハードルの高かったフクロウも、今では販売店や相談できる専門家も増え、飼いやすい環境が整っています。鳥の特性や最適な環境をしっかりと理解して、かわいい鳥との暮らしを楽しんでください。
取材場所:鳥のいるカフェ 谷中本店
取材日:2018年6月1日