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コラム vol.170
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2016年9月 レポート

賃貸住宅はどのタイミングで建て替えるべきか? ~都道府県別、賃貸住宅築年データを読み解く~

公開日:2016/09/30

今回のレポートでは、賃貸住宅の建替えについて考えてみたい。

賃貸住宅経営を始めて30年も過ぎると、あちらこちらにリフォームすべきところが出てくることだろう。
さらに、築30年を超えてくると、よほどの一等地でもない限り入居者の募集にも苦労し始める。家賃の下落と築年数の関係を見ると、築20年くらいまでは、景気の動向もあるが、概ね家賃は横ばいという状況が続くが、築20年を過ぎると賃料下落の可能性がぐんと上がる。

こうした状況がしばらく続き、築35年~40年を過ぎたころ、多くの賃貸住宅オーナーは、大きなリフォームをしようか、それとも建て替えようかと悩み始めるようだ。

現在築40年といえば、建築年は1975~76年ごろ。築35年といえば、建築年は1980年か81年ごろということになる。1981年に建築基準法が見直されており、1981年以前の物件は旧耐震物件といわれ、地震に関する不安・関心が高まる時勢では敬遠されることもしばしばみられる。

築35年以上の物件はどれくらいあるのか、現状を見ておこう。

図1:都道府県別 貸家における建築の時期別割合 ※時期不詳を除く

総務省統計局「平成25年住宅・土地統計調査」より作成

図1は平成25年に総務省が発表した都道府県別の賃貸住宅の建築時期を示したものだ。
赤色が2000年以降、灰色が1980年以前(旧耐震物件)である。
2000年以降物件は20%~40%。京都・大阪・兵庫・奈良といった関西エリアの低さが目立つ。一方、関東エリアは軒並み30%を超えている。

次に、賃貸住宅のうち1980年以前に建てられた物件の割合が高い県の順に並び替えてみた。

図2:都道府県別 貸家における1980年以前に建てられた物件が占める割合 ※時期不詳を除く

総務省統計局「平成25年住宅・土地統計調査」より作成

これをみると和歌山、奈良、大阪、徳島の各府・県が30%を超えており、圧倒的に西日本各県が多いことが分かる。一方、滋賀県(西日本だが)や栃木県、富山県、新潟県あたりは20%を下回っている。また、最大と最小の幅は、15%以上と大きな開きがあることが分かる。

これらを組み合わせてみると、老朽賃貸住宅が多く、築浅物件の少ないエリアが見えてくる。

図3:都道府県別 貸家における建築の時期別割合 ※時期不詳を除く

総務省統計局「平成25年住宅・土地統計調査」より作成

赤い線が灰色の線を上回っている県が、それに該当するエリアだ。
これらのエリアは、建て替えを検討してもいいエリアといえそうだ。
では、建替えのタイミングはどう見定めたらいいのだろうか?

老朽賃貸住宅が抱える問題は多種多様だ。まずは、空室が埋まりにくいという問題。長期間埋まらないと、家賃の値下げが必要となる。また、一時的な改善策としてのリフォームや大規模修繕も検討し始める。さらには、最近の賃貸住宅は修繕費用が少なく済むように(建物のライフサイクルコストの軽減)なっているが、古い賃貸住宅は、老朽化に伴う修繕費がかさんでしまう傾向にあるため、採算が悪化してしまう可能性も少なくない。

一方で、築年数が30年を超える賃貸住宅の場合、ローン返済が終わっているケースがほとんどなので、少しぐらい空室があっても採算上あまり問題にならないというオーナーも多いようだ。
しかし、先に述べたような耐震上の問題があるとなると採算上問題なしとはいえないような状況になってくる。特に古い木造建築の賃貸住宅の場合は倒壊の危険もあるので、建替えの検討も必要だろう。

老朽化した賃貸住宅は、空室が多く、賃料値下げ圧力も大きく、いうなれば不良資産化している賃貸住宅ということになる。もし、この状態で相続が発生すると、相続する人が最も困るだろう。
もし、建替えを行って、賃貸住宅経営が健全化すれば、不良資産が優良資産に変わることになる。相続の観点からも、老朽化した賃貸住宅の建て替えは検討に値するだろう。

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